君の瞳(め)が問いかけている(2020)

チャールズ・チャップリンの名作「街の灯」(1931)をモチーフとした

韓国映画「ただ君だけ」(原題Always 2011)のリメイクということ

 

「偶然」(の多すぎ)が重なる、王道のラブストーリー

唐突な既視感と(日本ではありえない)違和感は

リメイクによるものかも?と思えば納得

 

吉高由里子さんの演技は素晴らしいですね

インスタグラムで視覚障がい者の動画を目にすることがありますが

視線の向け方や歩き方、料理やメイクの仕方など

視覚障害者の生活を完璧にコピーしています

ただ失明して数年の中途障がい者

生まれつきの視覚障がい者と同じように

点字が読めたり、音や香りで判断したり

白い杖を使って流ちょうに歩けるものでしょうか(笑)

 

さらに視力が戻ってから2年やそこらで売れっ子陶芸家になり

郊外の一等地に店を構えるというの微妙

そうなれるよう、努力しているくらいのほうがよかった

上司の行動もセクハラを超えて不法侵入に性犯罪

仕事辞めるうんぬんより、警察に届けたほうがいい

 

一方の孤児で元キックボクサーだったという役柄の横浜流星さん

幼いころから空手をやっていたというだけあり

(モデル系ではない)格闘家に近い筋肉は溜息モノ

でも、闇格闘の賭博試合って日本にあるの?

偽名で入院もできるものなの?(笑)

ちょっとでもいいから、実在するボランティア団体を登場させるとか

リアリティさもあったほうがよかった気がします

 

しかも2年ぶりの再会に

何のためらいもなく笑顔で「おかえりー」って

障害はファンタジーじゃないのよ(笑)

 

でもまあ、主演者たちの素敵と

ワンコ(盲導犬というわけではない 笑)の可愛さのおかげで

最後まで見れます

ビルの管理人の面接に来た篠崎塁(横浜流星)と名乗る若い男

支配人は前任のジジイが急にいなくなったので仕方がないと

住み込みで雇うことにします

防犯カメラと小さなテレビがある小部屋に座り

駐車しにきた車に切符を渡すような仕事

 

そこに盲目の女性、柏木明香里(あかり 吉高由里子)がやってきて

おじいさんの好きな、おいなりさんとみかんとお酒だと渡し

テレビドラマの続きを見ようと言います

が、臭いでおじいさんと違うことに気付き帰ろうとしますが外は大雨

ドラマを見ようと誘う塁

明香里は塁の覇気のない態度に

勝手に人生に疲れた「おじさん」だと思い込み

持って帰ろうとした不格好な「おいなりさん」を渡します

翌週のドラマの日、塁は「美味しかった、ありがとう」とタッパを返します

 

「美味しい」と「ありがとう」は

それだけで人を幸せにする金言ですね

塁は元キックボクサーで、以前通っていたジムに顔を出し

世話になった大内会長とトレーナーの原田に

4年前突然辞めた理由を「刑務所に入っていた」からだと説明します

そして再びプロになるためトレーニングに励むようになります

一方で車と接触しそうになり、転んだ明香里をおぶって(後悔する階段を)登ったり

お風呂の排水溝の詰まりを直したり(パンティというのがあざといがな)

ジャズコンサートや焼肉に一緒に行って親交を深めます

そこで塁はやっと自分が「アントニオ・篠崎塁」という名前

24歳であることを打ち明けるのでした

さらに上司に襲われそうになった明香里を助けたことで

障がい者が仕事を見つける大変さを訴えられたものの)

ふたりは親密になっていきます

 

海に行きたいと言う明香里を連れ、砂浜を歩いていると

彼女はシーグラスが好きだと探します

鋭い破片も、揉まれるほど丸くなるからだと

塁はキックボクシングの練習も、副業の配達の仕事も頑張り

明香里に子犬をプレゼントします

すくすく育って欲しいと"スク”と名付ける明香里

そして塁にキスをするのでした

塁に将来への希望が見えてきたとき

孤児院の先輩で、不良集団「ウロボロス」のリーダー

佐久間恭介(町田啓太)から闇格闘に出場するよう頼まれてしまいます

断ったらどうなるかは、自分がよく知っている

さらに明香里の両親のお墓参りに行ったとき

明日香が失明した原因が自分にあったことを知ります

4年前のクリスマス、運転中の彼女は火だるまになって身投げした人間に気をとられ

車を横転させてしまい両親が死に、自分の視力も失われてしまったのです

身投げしたのは債務者の坂本普(岡田義徳)で、彼を自殺に追い込んだのは

当時「ウロボロス」で取り立てをしていた塁でした

塁は(罪滅ぼしのため)明香里の角膜移植の費用を稼ごうと

闇格闘(賭け試合)を引き受けることにします

試合直前に変更になった対戦相手は塁の倍以上体重がある外国人

佐久間は取引先と共に塁の負け賭け

最初から大金をせしめるつもりだったのです

でも塁は「あしたのジョー」には、真っ白な灰にはなりませんでした(笑)

 

見事対戦相手を倒すと、原田コーチに頼み手に入れた大金を

明香里と、焼身自殺した男の妻の口座に振り込んでもらいます

しかしその直後、佐久間の手下により背中を刺されてしまいます

それきり塁は明香里の目の前に姿を表すことはありませんでした

手術は成功し、視力の回復した明香里は塁を待ち続けます

しかし老朽化によりアパートを追い出されることになった引っ越しの日

塁宛の小包が届きます

中身は明香里の大好きな曲、「椰子の実」のオルゴールでした

明香里は差出人の孤児院のシスター

大浦恵美子(風吹ジュン)に会いに行きます

しかし塁の消息は掴めませんでした

それから2年、明香里は「SHOPアントニオ」をオープンします

一方で理学療法士?のボランティアとして診療所を訪問していました

そこでたに入院してきた男性患者マッサージを施しますが

塁は沈黙を守り、明香里も(名前が違う)その男が塁とは気付きません

 

退院した塁は「SHOPアントニオ」を訪れ、キンモクセイの鉢を買います

キンモクセイは明香里と出会ったときの思い出の木)

さらに店員の恵子(坂ノ上茜)がキンモクセイを梱包をしている間

店内に飾られていた「椰子の実」のオルゴールを発見する塁

恵子が「売り物ではない」と説明すると、塁は泣いていました

店を出た塁とすれ違う明香里

普段おとなしいスクが激しく吠え、塁に突進します

塁に謝り、スクを叱る明香里

明香里は塁が診療所にいた男性だと気付き話しかけますが

塁は無言で立ち去ってしまいます

明香里が「SHOPアントニオ」に戻ると

恵子がキンモクセイを買った男性が

オルゴールを聞いて泣いていた、と不思議そうに話すのを聞き

明香里はさっきスクが吠えていた彼こそが塁だと

来た道に戻り探すけれど塁の姿は見つからない

 

塁は「椰子の実」を口づさみながら海の中、沖に向かって歩いていました

そこ塁の名前を叫ぶ声

振り向くと明香里とスクが車から降りて走ってきます

思わず明香里歩み寄る塁

「私の瞳をよく見て」

「一緒に帰ろう」

そしてBTS

 

ジェネレーションギャップ(異なる世代間の価値観の違い)とは

こういうこと(笑)

最終的には年代を感じるということでした




【解説】映画.COMより

吉高由里子横浜流星がダブル主演を務めた純愛映画。チャールズ・チャップリンの名作「街の灯」にインスパイアされて製作された2011年の韓国映画「ただ君だけ」を、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「僕等がいた」の三木孝浩監督のメガホンでリメイクした。不慮の事故で視力と家族を失った明香里は、小さな楽しみを糧に毎日を明るく生きていた。ある日、明香里は管理人の男性と間違えて塁という青年に話しかけてしまう。彼はかつてキックボクサーとして将来を有望視されていたが、ある事件をきっかけに心を閉ざし、現在は日雇いのアルバイトで食いつなぐ日々を送っていた。その後も時々やって来ては屈託なく話しかけてくる明香里に、塁は次第に心を開いていく。やがて塁は自分の過去が明香里の失明した事件と接点があったことを知り、彼女の目の手術代を稼ぐため、不法な賭博試合のリングに立つことを決意する。

2020年製作/123分/G/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:2020年10月23日