ゴジラ-1.0(2023)

「この国は生命を粗末にしすぎた」

英題は「GODZILLA MINUS ONE」(ゴジラ マイナスワン)

ゴジラ」シリーズ第37作目

ゴジラ生誕70周年記念作品

 

公開されて2週間ちょっとですが

すでに数多くネタバレも考察もされていて

これほど「いまさら感」が強い公開中の作品もありませんでした(笑)

期待を裏切ることなくツッコミどころも満載ですし(笑)

心的外傷後ストレス障害(PTSD) とは別の理由で)

幼児に「お父さんじゃない」と言い放つような

性格が煮え切らない主人公に好感ももてませんでしたが

ゴジラの造形はいままででいちばん好きかも

ゴジラで萌えるのが

何と言っても熱線を吐く直前に放つ背びれの光

ハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」(2014)もよかったけど

いちいち丁寧に背びれを突起させるあたりに

ゴジラ愛」を感じて嬉しくなりました

そして、今も昔も変わらずアメリカとロシアの関係が背景にあったり

政治家たちが自分たちの利権のためだけに国民を蔑ろにする

政策への批判も感じられましたね

ゴジラでも現れないと日本は変わらない

ゴジラに全員で敬礼したのはそのため? 笑)

第二次世界大戦末期の1945年

特攻の敷島浩一(神木隆之介)が零戦が故障したと大戸島の守備隊基地に着陸

整備兵の橘(青木崇高)は、故障が嘘と見破ったものの

特攻から逃げた敷島を見逃します

その夜、島に伝わる巨大生物「呉爾羅(ゴジラ)」襲撃

(島民はどこに消えた)

橘は敷島に零戦の20ミリ砲でゴジラ撃ってくれと頼みます

敷島がゴジラに怯え動けないでいるうちに、整備兵たちはゴジラに襲われ

(殺し方が「ジェラシックパーク」のティラノサウルスすぎる問題)

翌朝生き残っていたのは敷島と橘のふたりだけでした

やがて終戦になり本土に戻ることになった敷島に

橘は整備兵たちの遺品である写真を投げつけ立ち去ります

敷島は焼け野原の東京で隣家の太田澄子(安藤サクラ)と再会

敷島の両親も、澄子の3人の子どもたちも空襲で死に

戦争に負けたのは敷島ら日本兵のせいだと澄子は罵ります

ある日、闇市でうどん?を食べていた敷島に

(無銭飲食をした?)若い女が赤ん坊を預けて逃げてしまいます

夕方になり赤ん坊を迎えに来た女、大石典子(浜辺美波)と

みなしごの赤ん坊の明子に身寄りはなく

そのまま敷島のボロ家に居ついてしまいます

敷島は(典子と明子を養うため)米軍が残した機雷の撤去作業の仕事を

高給という理由だけで引き受けますが

特設掃海艇で新生丸艇長の秋津淸治(佐々木蔵之介

乗組員の水島四郎(山田裕貴

元海軍技術士官の野田健治(吉岡秀隆)と作業をしていくうち

彼らの人柄に惹かれ、友情や信頼関係をはぐくみ

典子と明子とも本当の家族のように暮らしていました

 

秋津らは敷島に典子と結婚するように勧めますが

敷島は「俺の戦争は終わっていない」と頑なに拒否してしまいます

1946年ビキニ環礁行われた米軍の核実験により

被ばくしたゴジラ細胞が変異が起こし、さらに巨大化があり

 

1947年になると、典子は自立のため銀座で働くことになり

彼女が働いている間(本当は優しい)澄子が明子の面倒を見ます

同じ頃、日本近海に謎の巨大生物が現れたことを知った政府から

新生丸に回収した機雷で巨大生物の上陸を阻止せよという命令が下ります

敷島は「呉爾羅だ」と、大戸島の守備隊が全滅したのは戦死ではなく

ゴジラだと打ち明けます

敷島らは機雷をゴジラの口に投げ込み機銃で爆破させますが

ゴジラの自己修復力にまったく歯が立たず

シンガポールからやってきた接収艦で重巡洋艦「高雄」は

ゴジラの吐いた熱線で瞬く間に沈没

翌日ゴジラ東京湾から品川を経て銀座へと向い

人々が逃げまどいパニックの中、敷島は典子を救出し逃げますが

(よくあんな人ごみの中で見つけられたものだ 笑)

ゴジラが熱線を吐くと同時に、典子は敷島を建物の陰に押し込み

爆風に吹き飛ばされ消えてしまいます

そもそも電車からあの高さで海(まさか隅田川ではないよな)に

落ちた時点で死んでると思うし

しかもそこから歩いて、わざわざゴジラのいる銀座まで行った不思議(笑)

 

しめやかに典子の葬儀は行われ、号泣する明子

神木隆之介が霞むほど演技がうますぎる子役 笑)

ゴジラに復讐を誓う敷島に野田は

民間によるゴジラ對策(たいさく)作戦に参加しないかと誘います

それはフロンガスによりゴジラを深海まで沈め、水圧によって倒す

さらに二次攻撃として、大きな浮き袋を膨らませ海上まで一気に引き揚げ

急激な減圧で息の根を止める

名付けて「海神作戦」(わだつみさくせん)というものでした

それでも未知の怪獣ゴジラを完全に倒せる保証はない

そこで敷島は戦闘機でゴジラの気を引くことを思いつき

野田は戦後忘れ去られていた未完成の戦闘機「震電」を見つけ

整備のため敷島は大戸島の守備隊だった橘を探すことにします

「あいつの戦争も終わってないはず」だと

「海神作戦」で瀕死になったもののゴジラは死なず

敷島は爆弾を積んだ「震電」でゴジラの口の中に突っ込みます

しかし橘は敷島のため脱出装置を用意していました

ゴジラの顔は砕け、海の藻屑と消えていき

パラシュートで(だけど放射能だらけの)海に落下する敷島

陸に上がった敷島に澄子が電報を渡し

急いで病院に向かうと、そこには典子の姿がありました

典子が「浩さんの戦争は終わりましたか」と尋ねると

敷島は泣きながら頷き、典子を抱き寄せます

 

すると典子の首には

黒い痣(あざ)のようなものが蠢(うごめ)いていました

ラストのゴジラの心臓の鼓動は

ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001)の

オマージュ(まんますぎるわ 笑)

 

典子の黒い痣は、ゴジラの熱風に吹き飛ばされた際に

「G(ゴジラ)細胞」に「感染」し

ゴジラ同様)自らを傷を再生する能力が備わったため

ここからは、(たぶん)ふたつの解釈があって

 

ひとつめは、第1作目の「ゴジラ」(1954)はメス個体という説から

「G細胞」に感染した典子が、のちの女子ゴジラになり

ミニラ(またはベビーゴジラ)の母親になるというもの

 

ふたつめは典子が「G細胞」を持ったまま人間として生き延び

ゴジラvsビオランテ」(1989) に登場する超能力少女

三枝未希(さえぐさ みき)が、典子と敷島の孫にあたるというもの

 

うら若き美しい女性が怪獣になるのには抵抗あるので

もし続編があるとしたら、ビオランテ版のほうがしっくりくるかもですね

 

 

 

【解説】映画.COMより

日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の生誕70周年記念作品で、日本で製作された実写のゴジラ映画としては通算30作目。「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズをはじめ「永遠の0」「寄生獣」など数々の話題作を生み出してきたヒットメーカーの山崎貴が監督・脚本・VFXを手がけた。
タイトルの「−1.0」の読みは「マイナスワン」。舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。
主演を神木隆之介、ヒロイン役を浜辺美波が務め、2023年4~9月に放送されたNHK連続テレビ小説「らんまん」でも夫婦役を演じて話題を集めた2人が共演。戦争から生還するも両親を失った主人公の敷島浩一を神木、焼け野原の戦後日本をひとり強く生きるなかで敷島と出会う大石典子を浜辺が演じる。そのほか山田裕貴青木崇高吉岡秀隆安藤サクラ佐々木蔵之介と実力派豪華キャストが共演。

2023年製作/125分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2023年11月3日