世界一キライなあなたに(2016)




原題は「Me Before You」(あなたに出会う前の私)
ロマンス版「最強のふたり」(2011)です

障がいを乗り越えるラブロマンスかと思いましたが、違いました
最後には尊厳死という深いテーマを考えさせられます
場合によっては障がいを乗り越えて生きている人達や、その家族からは
批判が出るかも知れない作品ですね
実際公開時には賛否両論あったようです


舞台はイギリスの田舎町
ある日突然職を失ってしまった主人公のルー(エミリア・クラーク)は
車椅子生活をするウィル・トレイナー(サム・クラフリン)という青年の
介護兼話し相手をするという期間限定の仕事に就きます

このヒロイン、一生見ていれます(笑)
ちょいとポッチャリで、変カワな自由ファッション
よく喋る、よく笑う、八の字眉毛、明るく前向き
どんな時でも決して人を見下したり、同情したりしない

人生に絶望し、最初はルーに冷たく当たるウィルでしたが
ルーが「お給料のため」とキッパリ言い切ったことで
かえってふたりの関係はうまくいくようになります

ふたりは徐々に心を通わせ、ウィルは明るさを取り戻していきます
やがてルーを喜ばせようとパーティやコンサートにも出かけるようになり
当然のようにふたりは恋に落ちます

しかしある日、ルーはウィルが障がい者のまま生きることより
尊厳死することを選んでいたことを知るのです





スイスには「ディグニタス」という機関があり
安楽死による死ぬ権利を訴え、裁判所が許可した場合には
医師と看護師により、対象者への自殺幇助を提供するのだそうです

日本においての尊厳死とは
「不治で末期に至った患者が、本人の意思に基づいて
死期を単に引き延ばすためだけの延命措置を断わり
自然の経過のまま受け入れる死のこと」日本尊厳死協会
ということで、安楽死とは違うようです

国によっても、尊厳死の考え方が違うことを知りますし
生きる価値は、やはり本人が決めることだと思います


どんなに説得しても、ウィルの選択を覆せなかったルー
彼女は怒って介護をやめようとしますが
父親からウィルの決意を尊重するべきだと教えられ
再び彼を受け入れることとなります


ラストはシンミリとしたものの
微笑ましい終わり方でした
結ばれるだけが、愛ではないのです
相手を受け入れるのが、愛なのです





これも邦題で損をしている作品のひとつですが
最近の恋愛映画にしては佳作だと思います
とにかく、ヒロインが好い

ウルルンしたい方はどうぞ



【解説】allcinemaより
ジョジョモイーズのベストセラー『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』を「ゲーム・オブ・スローンズ」のエミリア・クラークと「ハンガー・ゲーム」シリーズのサム・クラフリン共演で映画化したラブ・ストーリー。不慮の事故で四肢麻痺となり生きる希望を失った元実業家の青年と彼の介護師として雇われたヒロインの切ない恋の行方を描く。監督は長編デビューのテア・シャーロック。
 イギリスの田舎町に暮らす天真爛漫でおしゃれが大好きな26歳の女性、ルー。ある日、働いていたカフェの閉店で失業してしまう。ようやく見つけた仕事は、交通事故で車椅子生活を余儀なくされたイケメン大富豪ウィル・トレイナーのお世話係というもの。それは6ヵ月の期間限定という条件付きだった。生きる意欲を失い、すっかり心を閉ざしていたウィルだったが、ルーは持ち前の明るさで少しずつ彼との距離を縮めていく。そしていつしか恋に落ちるルーとウィルだったが…。