
長年連れ添った夫婦が感謝の気持ちを1枚のハガキに綴る
住友信託銀行主催の応募企画「60歳のラブレター」をヒントに映画化
2000年から毎年行われている人気の企画ということで
世の中の夫婦は60歳になってからもらうラブレターが
そんなに嬉しいものなのかという驚き(笑)

私だったら、今さら遅い
女性が綺麗でいられる年齢は短い
その貴重な時間を育児と家事労働に捧げたんだから
もっと若い時から感謝しろよ
首都高の設計は誰だという問題のほうがよっぽど共感したわ(笑)

それでも良かったのは、鮮魚店を営むイッセー尾形と綾戸智恵の夫婦
夫婦喧嘩が絶えず、妻の尻に敷かれ
夢も叶わず失敗した人生を送ったと後悔していた夫が
(妻が布団でオナラをするタイミングの素晴らしさ 笑)
妻の脳腫瘍がわかり手術することになり大ショック
涙ながらにビートルズの「ミッシェル」を歌い続けるのです

仕事で成功したはずのイケオジのラブレターがベタでカッコ悪く
この冴えない夫の飾らないメッセージのほうが素敵という
夫婦の幸せとは見た目では決してわからない
男と女の「愛している」は「尽くすこと」と別ものなのです

大手建設会社を定年退職した日、橘孝平(中村雅俊)は
妻のちひろ(原田美枝子)と、不倫のはて妊娠中の娘マキ(星野真理)と
マキの現在のパートナーの八木沼(内田朝陽)が待つ家ではなく
愛人の夏美(原沙知絵)が暮らすマンションに向かいます
これからは今まで培った経験を生かし、夏美の建設事務所を共同で経営
(出世のため)結婚して30年のちひろには最初から愛は感じておらず
ちひろもそれをわかっていて、離婚はあっさりと決まります

橘家の近くで鮮魚店を営む正彦(イッセー尾形)と妻の光江(綾戸智恵)は
夫婦喧嘩が絶えないものの、光江は糖尿病の正彦と毎晩一緒にウォーキング
食事の管理も厳しく正彦から鬼嫁と呼ばれています

そのおっかけのひとりで、いちばん可愛かったのが
集団就職で京したばかりの光江でした
今でもウォーキングのたびに楽器店に飾られている
マーチンギターに見惚れています
だけど店主はすでに買い手が決まっていると言います

正彦の担当医の静夫(井上順)は、翻訳家の麗子(戸田恵子)から
海外医療小説の監修を依頼され時々喫茶店で会っています
いかにもバリキャリで結婚とは無縁そうな麗子でしたが
(基本こういう女は知性のある男にヨワイ)
細菌学のことになると話が止まらない静夫の人の好さと無欲さに惹かれ
静夫も麗子の見た目とは違う純真さに好感をもちます

ただ5年前に妻を亡くした静夫には
中学生になる娘の理花(金澤美穂)がいました
理花は父親が、死んだ母親のように優しいピアノの先生と結婚してくれればいい
化粧が濃く、たばこを吸うような女と付き合うことを許せないでいます

その麗子の住む高級マンションに家政婦としてやって来たちひろ
離婚し仕事しようと思っても出来ることは家事くらいしかなかったからです
そんなちひろを麗子は気に入り、彼女を「原石」だと
「プリティ・ウーマン」のごとくサロンやブティックに連れまわし
友人でミステリー作家の麻生圭一郎(石黒賢)の新作発表パーティに出かけます
美しく磨かれたちひろに一目惚れした麻生は猛アタック
「あなたは今まで恋をしてこなかった」という臭いセリフが似合うのも
バブル時代の月9世代(笑)

ちひろがキラキラを手に入れたのとは真逆に
孝平は若い社員のプレゼンをこき下ろして反発をかったうえ
なじみの施工業者に受注の依頼をすれば
「うちが付き合ってきたのは、あなたじゃなくて京亜建設」と断られてしまう
自分の実力だと思っていたことがすべて
会社のネームバリューだったことにら気付く

さらに孝平が否定した若い社員のプレゼンの受注が通る
今と昔ではやり方が違うことを知らしめられる
ついには夏美のヒモ状態になり、甲斐甲斐しく料理したり洗濯物を干す孝平
そんなとき娘のマキが出産したという知らせが届きます

ちひろと再会した孝平は、彼女が美しく変身したことに戸惑います
さらに孝平が空腹であることに気付いたちひろは孝平を自宅に招き
夕食を用意し、帰るときには上着を着せ、鞄を渡し、玄関で見送るという
身についた習慣が自然と現れてしまいます
この生活を取り戻したいと願ってしまう孝平(最低だな)

定期検診に訪れた正彦は血糖値が安定していることから
静夫からビールを許されて大喜び
そのとき光江が不意に診察室のドアに頭をぶつけたのを見た静夫は
光江に精密検査を受けるよう指示します

手術室に入る前、光江は正彦に
「押入れの戸の調子が悪いから直しておいて」と頼みます
押入れを開け、何も戸の調子なんか悪くないと思った正彦でしたが
そこにはギターのケースがあり中身はマーチンでした
光江は正彦の誕生日プレゼントにするために
手紙と一緒にこっそり押入れに隠していたのです
妻はいつだって自分のことをいちばんに考えていてくれた
マーチンを抱きしめて泣きじゃくる正彦

翻訳本が完成した麗子は、監修のお礼に静夫と理花を
自宅で夕食に招待します、当然料理は出来ないのでちひろがヘルプ
だけどすぐに理花は(母親と全くタイプが違い)父親には不釣合いだと
悪態をつくと部屋を飛び出してしまいます
静夫は謝り、当直のため病院へ戻ってしまう
「恋なんてしなければよかった」と、酒を飲み寝てしまう麗子

翌朝、突然静夫が訪ねてきてすっぴん寝巻で慌てる麗子
静夫は麗子に「訳してもらいたい」と1通の英文の手紙を渡します
それは理花が謝罪の意味を込めて書いたものでした
弱気な男が反抗期の娘に背中を押され、ついにプロポーズする

病院に孫を見に行った孝平は
新婚旅行先の四国の「こんぴらさん」で記念撮影をした
「橘孝平」を探していた青年(石田卓也)に会います
当時その写真館を経営していた彼の祖父は
30年後に写真と手紙を送るという(タイムカプセル的な)イベントをやっていて
やっと東京の「橘孝平」を探し当て届けに来たといいます

30年前のちひろからの手紙の内容は
「頑張っていい奥さんになる
いつか本当に好きになってもらえるように
おじいちゃんおばあちゃんになった時
縁側でお茶を飲みながらこの手紙を読んでいられたら素敵」
というものでした

麻生と長年の夢だったラベンダー畑を見に行ったちひろを追い
自分も富良野に向かう孝平
そこでシーツに紫色のラベンダーを描き、ちひろに思いが届くよう
「幸せの黄色いハンカチ」如く掲げます
それを見てあっさり身を引く麻生(笑)
確かに残りの短い人生
見込みのない恋愛に無駄なエネルギーは使うべきじゃないわな

ラストはちひろの「今から私は生まれて初めて本当の恋をする」という
ナレーションで幕を閉じます
結婚してから家庭も顧みず不倫ばかりしていた夫に恋できるとは(笑)
私的にはシルバー川柳の「断捨離で うっかり夫 捨てそうに」のほうが
よっぽど夫婦円満のような気がしてなりませんでした
【解説】KINENOTEより
長年連れ添った夫婦が、口に出しては言えない互いへの感謝の言葉を1枚のはがきに綴る応募企画「60歳のラブレター」。2000年から毎年募集され、日本中から約8万通を超えるはがきが寄せられ大きな反響と共感を得ている人気企画に着想を得て製作された映画。中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵といった豪華キャストが、個性的な3組の夫婦を熱演。歳を重ねてこそ感じる迷いや焦り、喜びや幸せ、そしてかけがえのない大切な人との絆を丹念に演じる。監督は「真木栗ノ穴」の深川栄洋。