ラストナイト・イン・ソーホー(2021)

原題は「Last Night In Soho」(ソーホーの最後の夜)

1960年代のロンドンのファッションや音楽を背景に

たぶん今、最も将来を期待されている2大女優

トマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイが入れ替わる

タイムリープもののダーク・ファンタジーサイコロジカルホラー

ロンドンにある服飾デザイン学校

ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションに合格し

エロイーズ(トマシン・マッケンジー

だけど寮のルームメイトたちと、60年代好きなエロイーズは全く合わず

(ジョカスタいういじめっ子がいる)とうまく馴染めません

そこでソーホーのアパートの屋根裏部屋を借りることにすると

その夜からエロイーズは1960年代にタイムスリップする夢を見ます

歌手を目指す小悪魔的な魅力を持つ美女サンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)は、

カフェ・ド・パリで女性歌手のまとめ役している

マネージャーのジャックマット・スミスとダンスをして、恋に落ちます

翌朝、サンディからインスピレーションを受けたエリーはワクワク

60年代風のドレスをデザインします

このまま、ガーリーな青春ファンタジー

田舎出身の女の子のサクセス・ストーリーにしたほうが

良かった気がしますが(笑)

この頃までのソーホーは、音楽ホールと小規模の劇場

外国籍の人々の安価な飲食店、売春婦などで溢れ

酔っ払いの知識人、作家、芸術家たちが通う流行の場でもあったそうです

そこから"漂流の60年代" を意味する

「スウィンギング・シックスティーズ」 (Swinging Sixties)

または「スウィンギング・ロンドン」 (Swinging London) という

モッズから始まり、ミニスカート、厚底ブーツ、ヒッピーなどの

ストリートファッション、ストリート・カルチャーが生まれ

後に世界を代表するビートルズザ・フーローリングストーンズらが出現

イギリスの若者による流行や文化のスポットとなります

でもその影では、騙されたり、犯罪に巻き込まれたり

夢に破れてしまった若者も数えきれないくらいいたのでしょう

60年代への導入部はよくできていて

映画館に「007 サンダーボール作戦」の電飾看板

エロイーズの大家にダイアナ・リグ(「女王陛下の007(1969)」)

ナイトクラブのバーでサンディが注文するのは「ヴェスパー」

(「007 カジノ・ロワイヤル」(原作)に登場したマティーニの一種)

エロイーズが働くパブのオーナーに

マーガレット・ノーラン(「007ゴールドフィンガー(1964)

ステージで歌うシラ・ブラック(演じるたのはベス・シン)

謎の銀髪の紳士にテレンス・スタンプ、といった

オールドファンがニンマリするサービスがいっぱい(笑)

エドガー・ライトはそういうセンスだはいい

次の日もエロイーズはサンディの夢を見ます

ジャックの手配したナイトクラブでオーディションを受たサンディは

ぐったりしてエロイーズと同じベッドルームに戻ってきます

サンディもかってこの部屋の住人だったのです

エロイーズは髪をサンディと同じ金髪に染め

サンディと同じようなファッションに変え

サンディと同じパブで仕事を見つけ、所作まで同じくなってきます

パブで(サンディそっくりの)エロイーズを見つめる銀髪の老人

やがてジャックがスターを夢みる女の子を利用し

娼婦として男たちに売春させていることを知り

現実生活でもサンディを搾取した男たちの幻影を見るようになるエロイーズ

さらにサンディがジャックに刃物で刺される場面に立ち会ってしまう

必死に抵抗するエロイーズですが、サンディは殺されてしまいます

殺人事件があったことを警察に通報するものの

じてもらえるどころか、婦人警官から病気かと心配されてしまう

図書館に行き60年代の新聞から

サンディ殺害事件に関する記事を見つけようとするエロイーズ

サンディの記事は見つかりませんでしたが

代わりに、当時地元の男たちが跡形もなく姿を消したことを知ります

なぜ?

サンディを殺したジャックが、銀髪の老人だと悟ったエロイーズは

パブに行き老人と対峙しますが、彼は否認し

パブを出たところをタクシーにひかれて死んでしまいます

(ここまで引っ張って、解決まで絡まず使い捨て 笑)

老人はジャックではなく、サンディに売春を辞めるよう勧めていた

元潜入捜査官(サム・クラフリン)だったのを

エロイーズは夢で見ていたことを思い出します

パニックに陥ったエロイーズはソーホーを離れる決意をし

大家のコリンズ女史に伝えに行く

彼女は署の婦人警官が様子を見にきたことを教え

その婦人警官がサンディだと言います

エロイーズは、サンディがジャックを殺す幻覚を

サンディが殺されたと勘違いしていたのです

しかもサンディは売春させられた男たちを部屋に誘い込んでは殺し

死体を床板や壁の裏に隠していました

そのときコリンズ女史はエロイーズのお茶に薬を混ぜていました

サンディの秘密を知ったエロイーズを口封じのために殺そうとしたのです

エロイーズとコリンズ女史は乱闘になり

エロイーズは灰皿を倒して火事を起こします

そこに単なるお飾りかと思っていた(笑)

エロイーズの黒人のボーイフレンド、ジョンが助けに来ますが

コリンズ女史は彼を刺し、エロイーズを追い詰めます

エロイーズはコリンズ女史がサンディに変わる幻覚を見て

(幻覚というより、生霊だったのか)

彼女こそサンディだと知り、階段から突き落と部屋に逃げ込みます

するとサンディに殺された男たちの霊が現れて

サンディに復讐するよう懇願します

断るエロイーズ

コリンズ女史がエロイーズの部屋に入ってくると

ジャックの霊が彼女を殴り

エロイーズはサンディの自責の念に苛まれ自殺しようとします

しかしサンディの幻覚エロイーズにジョンとコリンズ女史を救うように求め

燃える建物の中で消えて行ったのでした

デザイン学校での年末のファッションショー

祖母とジョンが見守る中、エロイーズのデザインしたドレスが披露され

ショーは大成功

エロイーズは、鏡の中から亡き母親が微笑んでいるのを見ると

その後サンディも現れ、エロイーズにキスを送ったのでした

(でもサンディ、連続殺人犯だから 笑)

 

 

【解説】映画.COMより

ベイビー・ドライバー」のエドガー・ライト監督によるタイムリープ・ホラー。ファッションデザイナーを夢見て、ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学したエロイーズは、寮生活になじめずアパートで一人暮らしを始める。ある時、夢の中できらびやかな1960年代のソーホーで歌手を目指す美しい女性サンディに出会い、その姿に魅了されたエロイーズは、夜ごと夢の中でサンディを追いかけるようになる。次第に身体も感覚もサンディとシンクロし、夢の中での体験が現実世界にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズ。夢の中で何度も60年代ソーホーに繰り出すようになった彼女だったが、ある日、夢の中でサンディが殺されるところを目撃してしまう。さらに現実では謎の亡霊が出現し、エロイーズは徐々に精神をむしばまれていく。エロイーズ役を「ジョジョ・ラビット」「オールド」のトーマシン・マッケンジー、サンディ役をNetflixの大ヒットシリーズ「クイーンズ・ギャンビット」のアニヤ・テイラー=ジョイがそれぞれ演じる。

2021年製作/115分/R15+/イギリス
原題または英題:Last Night in Soho
配給:パルコ