原題の「Babylon」は
メソポタミア地方の古代都市のことで「神の門」という意味
序盤から中盤までとにかくお下品
糞(象も下痢をするのか)尿、ゲロ、クスリ
セックス、SM、綺麗な裸と肥満男の裸と小人症の裸
ポップコーンを買って鑑賞するのは
少し考えたほうがいいかも(笑)
テキストになっているのは
「ハリウッド・バビロン」という(信憑性のない)ゴシップ本
サイレント時代の悪声の人気女優を描いたミュージカル「雨に唄えば」
ポルノ映画スターの名声と転落を描いた「ブギ―・ナイツ」
ラストは「ニュー・シネマ・パラダイス」
しかも50年代の映画館の回想シーンで
近代の映画まで思い出に蘇るというサービスぶり(笑)
ジャック(ブラッド・ピット)のモデルは
トーキーになり声が高過ぎることで人気が落ち自殺した
ネリー(マーゴット・ロビー)はサイレント期のセックス・シンボル
アルコール、ドラッグ、ギャンブル、セックスなど
多くのスキャンダルで世間を騒がせたクララ・ボウ
レディ・フェイ(リー・ジュン・リー)はアンナ・メイ・ウォン
トランペットの名手シドニー・パーマー(ジョヴァン・アデポ)は
俳優として役を演じながら、同時に自分たちの音楽も演奏した
エセル・ウォーターズ、ベッシー・スミスらから
インスピレーションを受けたそうです
デイミアン・チャゼルのジャズ愛は本作でも健在
ツウのオールドファンならこの説明だけで
映画を見なくても内容が想像できますね(笑)
サイレント時代は屋外の同一のスタジオで
何本も同時に映画撮っていたとか
火事が起こっても撮影を続けたとか
いかに撮影が命がけであったとか
知識で知っていたことでも、映像で見れるのはやはり面白い
それからたった10年で機材の数も増え部屋は大きく防音になり
さらに10年でカラーになり、シネマスコープになり
「ベン・ハー」のような超大作が撮られたのですね
ただテンションアゲアゲなパリピなシーンと
ブラックなギャグ
鳴り響くBGMが延々と「189分」も続くので(笑)
疲れるのは確か
見世物小屋のシーンは丸々カットしてもよかったかも
(いちばん驚いたのはワニのシーンだったけど 笑)
正直「ラ・ラ・ランド」の批判を踏まえた
人種やLGBTに配慮しすぎが少々あざといし
商業的なウケ狙いもこれでもかと感じられ
アメリカ本国では興行的に大コケしたそうですが
デイミアン・チャゼルはまだまだ若い
作中でブラット・ピットが舞台女優で何人目かの妻に伝えたように
「映画は観客がいちばん大事」というスタンスを忘れずに
次回作に取り組んで欲しいと思います
【解説】映画.COMより
「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督が、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーら豪華キャストを迎え、1920年代のハリウッド黄金時代を舞台に撮り上げたドラマ。チャゼル監督がオリジナル脚本を手がけ、ゴージャスでクレイジーな映画業界で夢をかなえようとする男女の運命を描く。
夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニーと、彼と意気投合した新進女優ネリー。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャックとの出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せ……。
共演には「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイア、「レディ・オア・ノット」のサマラ・ウィービング、監督としても活躍するオリビア・ワイルド、ロックバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のフリーら多彩な顔ぶれが集結。「ラ・ラ・ランド」のジャスティン・ハーウィッツが音楽を手がけた。
2022年製作/189分/R15+/アメリカ