原題は「Ennio」(エンニオ)
500以上の映画やテレビの音楽を手がけ
2020年7月にこの世を去った、作曲家エンニオ・モリコーネの偉業を
解き明かすドキュメンタリー
ツウのムービーファンからの評価が高いですね(笑)
ぎりぎりラスト上映で鑑賞してきました
まず最初に映し出されるのがモリコーネの書斎
壁一面を覆いつくす書籍、山のように積まれた紙
音楽家の部屋じゃない、まるで数学者(笑)
常に難問を解こうとしていて
答えが見つからないときは床に寝ころび、謎の体操(笑)
普通才能ある音楽家は、監督から駄目出しされたら
プライドが許さず仕事を降りてしまうのでしょうが
モリコーネは違う、ひとつの答えにこだわらない
まさしく音楽の学者であり研究者
B級映画だろうが
ホラーだろうが
無名の新人監督だろうが、どんな仕事も引き受ける
しかもセンスが良くて痺れる
どんな不調和音も、いちいちかっこいいのです
(モリコーネはゴミと言ってる 笑)
唯一のこだわりはひとつの映画はひとりの音楽家が担当する事と
オリジナル曲であるということ
しかも自分の作曲した曲をすべて覚えているのです
これだけの天才だと孤独に悩んだり
アルコールや薬物に溺れたり
精神的におかしくなる音楽家が多いものですけど
モリコーネは苦労人なんですね
そして支えてくれる奥方がいた
モリコーネのバリアとなり彼をあらゆる敵から
守っていたのです(笑)
ジョン・ウィリアムズが、ハンス・ジマーがモリコーネを語る
いかにその映画のワンシーンワンシーンを自分のものにして
完璧な曲を作り出すか
天才同士にしかわからない産みの苦しみ
これも偉大な音楽家なら怒りそうなものだけど(笑)
モリコーネは歓迎
音楽は生き物
常に成長し、変化していくものなのです
不満はといえば、日本未公開のイタリア映画のなんて多いことか
「荒野の用心棒」以前は、ほぼ知らない作品ばかり
(しかもなぜかグロいシーンばかり 笑)
日本の映画会社のシステムは、ホントどうにかしたほうがいいな
(アカデミー賞もだけど)
でもさすがのジュゼッペ・トルナトーレ
最後には数々の名場面と名曲に幸せな気持ちになれます
できれば謎の体操の意味も解き明かして欲しかったけど(笑)
【解説】映画.COMより
「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が、師であり友でもある映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネに迫ったドキュメンタリー。
1961年のデビュー以来、500作品以上もの映画やテレビの音楽を手がけ、2020年7月に惜しまれながらこの世を去ったモリコーネ。「ニュー・シネマ・パラダイス」「荒野の用心棒」「アンタッチャブル」など45作品にも及ぶ傑作から選ばれた名場面や、最高の音響技術で再現されたワールドコンサートツアーの演奏、クエンティン・タランティーノ、クリント・イーストウッド、ウォン・カーウァイ、オリバー・ストーンら錚々たる顔ぶれの監督・プロデューサー・音楽家へのインタビューを通して、モリコーネがいかにして偉業を成し遂げたのかを解き明かしていく。
さらに、モリコーネのプライベートライフやコメント、初公開のアーカイブ映像などにより、モリコーネのチャーミングな人間性にも迫る。2021年製作/157分/G/イタリア