
原題は「Angel Heart」
原作は1978年に発表されたウィリアム・ヒョーツバーグのホラー小説
「Falling Angel 」(堕天使)
アメリカでは発禁運動が起こった問題作ということ
映画のほうもアメリカ映画協会( MPAA )から
X指定(主にポルノに関連される指定で公開される劇場が限られる)を
与えられてしまいます
性的なシーンを約10秒間削除し
なんとかR指定で劇場公開にこぎつけたそうですが
アラン・パーカー曰く「無駄で無意味、そして高価な作業」だったそうです
確かに今見るとそんなに過激な性描写でもない(笑)

それどころか、アラン・パーカーのファンなら十分満足のいく
オカルト作品にしてハードボイルドのスタイルを借りたスタイリッシュな映像
ノワールらしい陰影のある芸術的なカット
カメラはパーカー組ではお馴染みのマイケル・セレシン
そして魅力的でアクの強い俳優たち
特にこの頃のミッキ・ロークはいちばん輝いていたときで
無精髭にくわえタバコ、ダボダボでヨレヨレのスーツ
仕事のためには汚いこともやる、でもトラブルには巻き込まれたくない
小心者の探偵を情けなくも、カッコよく演じています
(この頃ミッキー・ロークの大ファンだった 笑)

やはり凄いのは、伸ばした爪だけで悪魔を演じたロバート・デ・ニーロ
その長い爪でゆで卵の殻を剥きむしゃりと食べる
それだけで逃げ場も命もないことをわからせる迫力
そして当時「コスビー・ショー」のでお茶の間のアイドルだたっというリサ・ボネット
ブードゥー教と、黒人女性とアメリカ人白人男性のセックスをミックスさせる行為
しかも近親相姦という役は、大きな論争を巻き起こしたそうです

端役ながら、失踪した男の婚約者にシャーロット・ランプリング
ウーロン茶に「ミルクかお砂糖は?」はジョークなのか本気なのか(笑)
40歳くらいですかね
相変わらずミステリアスな妖艶さで惹きつける魅力があります
唯一、大人になって見直してみて不満を言うとしたら
「悪魔」ものならなんでもありだなということ(笑)
実はデ・ニーロが人間で、ロークが洗脳されていく・・ほうが
もっと怖くなったような気がします

1959年、ニューヨーク
私立探偵ハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)は
(デ・ニーロ)という男から連絡を受け
失踪してしまったジョニー・フェイバリットという
伝説の歌手を探してほしいという依頼を受けます

気安く引き受けたエンゼルは、捜査のためニューオーリンズへ
まず、ジョニーが入院していた病院に行くと
移送記録がファウラーという元医師によって偽造されていることを発見
ファウラーの家に押し入り、彼が数年前にある男女から賄賂を受け取り
ジョニーを連れ出したことを認めます
モルヒネ中毒のファウラーから、さらに情報を聞き出すため
(禁断症状で苦しませるため)彼を寝室に閉じ込めたエンゼルですが
翌朝ファウラーは自殺していました

エンゼルはジョニーには婚約者の
マーガレット(ランプリング)という女性がいたことを突きとめ
さらにエヴァンジェリンという黒人女性とも付き合っていたことを知ります
さらにエヴァンジェリンすでに亡くなっていましたが
ジョニーとの間に17歳になる娘エピファニーがいることを突きとめます

エンゼルはジョニーのバンド仲間トゥーツ・スウィートを探し出し
ジョニーの最後の居場所を聞き出そうしますがわからず
トゥーツはエンゼルにマーガレットに紹介します
トゥーツが何か隠していると感じたエンゼルが彼のあとをつけると
ブードゥー教の儀式と、儀式に参加するトゥーツとエピファニーの姿を見てます
エンゼルに問い詰められたトゥーツは
悪魔崇拝していたことを打ち明けます

翌日トゥーツの死体が発見され、エンゼルが容疑者にされていました
逃げるようにマーガレットの家に行くと
マーガレットもナイフで心臓が取り除かれていました
マーガレットの父、イーサン(ルイジアナの有力者)の部下に襲われ
町から立ち去るよう脅されるエンゼル
エンゼルがホテルに行くとエピファニーがやってきて
エンゼルは彼女を部屋に招きセックスをします
絶頂しそうになると、天井から血がシャワーのように滴り堕ちる幻覚が現われ
気がつくと彼女の首を絞め殺そうとしていました

そのあとイーサンに、ガンボ(ルイジアナで人気のシチュー)の
レストランに呼ばれたエンゼルは
ファウラーを買収しジョニーを病院から連れ去ったのは
イーサンとマーガレットだったことを聞かされます

ジョニーはスターの座と引き換えに悪魔に魂を売り
スターの座を手に入れたものの
その後自分の人生を取り戻そうと、悪魔との取引を破棄するため
タイムズスクエアで自分と同じ年齢でよく似た若い兵士を誘拐
儀式で兵士を殺し、まだ鼓動している心臓を食べることにより
兵士の魂を盗んだのだといいます

ジョニーは殺した兵士になりすますつもりでしたが
徴兵され、顔面の傷と記憶喪失で入院
1943 年の大晦日 (病院で見つけた偽造記録の日)
ジョニーを病院から連れ出したイーサンとマーガレットは
彼をタイムズスクエアに置き去りにしたことを告白します

イーサンの話を聞いたエンゼルは気分が悪くなり、トイレに駆け込み嘔吐します
タイムズスクエアの兵士の顔を思い出したエンゼル
「兵士の名前は?」と自分に問う
エンゼルが席に戻ると、イーサンは沸騰したガンボの大釜で溺死していました

再びマーガレットの家に向かったエンゼルは
花瓶の中に認識票を見つけます
そこに刻印されていたのは「Angel, Harold」という名前でした
ジョニーとエンゼルは同一人物だったのです
探していたのは自分だった

そこにルイ・サイファー(ルシファー(悪魔)と同音異義語)が現われ
「思い出したか?」と笑顔で尋ねるのでした
誰も殺していないと主張するエンゼル、しかし鏡を見ると
ファウラー医師、トゥーツ、マーガレットとイーサン父娘
そしてエピファニーを殺した記憶が甦ります

エンゼルが急いでホテルの部屋に戻ると、そこはエピファニーの殺害現場でした
彼女の遺体には「Angel, Harold」の認識票
「俺の娘だ」と呟くエンゼル
警官がエピファニーの幼い息子、つまり孫を連れてやってくると
彼の目が光ります(父親は悪魔だと暗示している)
刑事に連行されていくエンゼル

しかしエンゼルはエレベーターに乗っていました
ルシファーが「ハリー」「ジョニー」と、エンゼルの名前を呼ぶ声が聴こえます
果てしなく下降していくエレベーターは
まるでまっすぐに地獄の業火に向かっているようです
【解説】映画.COMより
ウィリアム・ヒョーツバーグの小説「堕ちる天使」を、名匠アラン・パーカー監督が見事に映画化したオカルト・ミステリー。1950年代のブルックリン。私立探偵ハリーの元に、サイファという男から高額の依頼が舞い込む。それは、大戦後に失踪した人気歌手ジョニーを探してくれという内容のものだった。彼は早速調査を開始するのだが、行く先々で不可解な殺人事件が起こり……。謎の人物サイファをロバート・デ・ニーロが怪演。
1987年製作/113分/アメリカ
原題または英題:Angel Heart
配給:東宝東和