「何処出身だ?」
「ディズニーランド」
原題は「The Hitcher」(通りがかりの車に(無料で)乗せてもらう旅人のこと)
「ナイトホークス」(1981)「ブレードランナー」(1982)の
カリスマ的な悪役でルドガー・ハウアーに惚れてしまった
映画ファンは多いと思うのですが(笑)
このハウアーはマジで怖かったですね
一緒に見に行った友だちとの間では
「フレンチポテトを食べるときは気を付けろ」が
合言葉になったほど、トラウマなシーン(笑)
車の長距離陸送を頼まれた青年ジム(C・トーマス・ハウエル)は
何度も居眠り運転をしそうになり
眠気覚ましも兼ねてジョン・ライダーと名乗るヒッチハイカーを乗せます
すると彼は車の持ち主を惨殺しながらヒッチハイクしていることを打ち明け
ジムは咄嗟にライダーを車から降ろし逃げますが
ライダーはその後も神出鬼没に現われ、ジムに付きまといます
目的を聞かれたライダーが答える
「俺を止めてくれ」
開始10分で、もうクライマックス
しかし殺人が直接映しだされるシーンは、ほぼありません
ハウアーの不気味な笑いとトークだけで
彼が何人も殺してきた男だとわかるのです
シナリオを書いたエリック・レッドは
ドアーズの「L.A. Woman」(1971)のラストナンバー
「Riders On The Stoom」からインスピレーションを受けたそうです
この曲はドアーズの最高傑作と言われていて
ジム・モリスンはこのアルバムの録音後に死を迎えます
次にライダーはワゴン車の家族連れを惨殺し
次のトラックはガソリンスタンドの給油機に衝突して爆発
警察を呼ぶため必死の思いで電話を探し、たどり着いた食堂で
ジムはウェイトレスのナッシュと出会い、電話を借ります
しかし逮捕されたのはジムのほうで
ジムは牢に監禁され、疲れ果てて眠ってしまい目が覚めると
独房のドアは開けられ、警官たちが殺されていました
拳銃を持って警察署を出たジムは警官2人を人質に取るとパトカーに乗り
無線で事件の責任者であるエステリッジ警部に話を聞いてもらうと
ライダーがパトカーの横に車でやって来て警官を殺害します
次にジムはライダーに呼ばれカフェで対峙することになりますが
ライダーはジムのリボルバーに弾が入っていないことを指摘
弾丸を置いて立ち去ります
カフェではジムが自分から唯一生き延びた男ということで
かなり高く買っているんですね
しかも一方的に友情的なようなものを感じ
ジムに(自分を殺す)ゲームの主人公を託すのです
つまりライダーは自分が殺されたい願望のために、次々と殺していく
人間の姿をした哀しきモンスターなのです(たぶん)
バスに乗り込んだジムはナッシュと再会し
ジムの話を信じたナッシュは彼に同行
その後パトカーがバスを停車させジムは降伏しますが
同僚を殺された警察官が復讐として、ジムを殺そうとします
ジムのリボルバーを持ったナッシュが警官たちを脅し、ふたりはパトカーで逃走
ライダーはふたりを追うパトカーを自動車事故に巻き込み
警察のヘリコプターを撃ち落としてジムを守ります
たどり着いたモーテルでジムがシャワーを浴びている間に
ナッシュがライダーが誘拐されてしまいます
ジムがナッシュを探していると、エステリッジ警部に見つかります
ナッシュはライダーがハンドルを握る大型トラックと
トレーラーの牽引装置の間に縛り付けられていました
警官がライダーを撃てば、ライダーの足がクラッチから外れ
トラックが走り出してしまう
ジムがライダーと交渉するため運転席に入ると
ライダーはジムにリボルバーを渡し自分を撃てと言います
撃てないジムにがっかりしたライダーはトラックを走らせてしまいます
(ナッシュは引き裂かれたと思わせる)
ライダーは警察に拘束されますが
彼には前科も指紋も何の記録もありませんでした
エステリッジ警部の車を盗み
ライダーを乗せた刑務所行きの護送車を追跡するジム
案の定ライダーは保安官代理を殺すと、護送車を衝突させ逃げ出し
ジムの乗る車のフロントガラスを突き破って飛び込こんでこようとします
ジムが急ブレーキをかけライダーを道路に叩き落とすと
ライダーはジムに「轢いてくれ」と挑発します
(血だらけのルトガー・ハウアーが絵になる)
ナッシュの死により、チキンだったジムにサイコキラーの魂が乗り移る
言われ通りライダーを車で轢いたジムが死体を確認しにいくと
ライダーはまだ死んでおらず、突然起き上がります
ジムはライダーにショットガンを何発も撃ち込み
ついにライダーの息の根を止めると
夕日の中タバコを吸うのでした
ドアーズの「Riders On The Stoom」の殺し屋は堕天使のイメージ
どこか高次元から、この世(嵐の中)に投げ出されてしまったけれど
愛する女性がいることで、どうにかバランスを保とうとしている
この曲にはモデルがいて、ビリー・クック
通称「ヒッチハイクシリアルキラー」という実際にいた連続殺人犯
(映画「ヒッチハイカー」(1953)のモデルにもなった)
ビリー・クックは1950年から51年にかけてミズーリ州とカリフォルニア州で
22日間にわたり強盗を繰り返し5人家族を含む6人を殺害
恩赦は与えられず23歳でガス室による死刑になったそうです
「Riders On The Stoom」作詞・作曲/ドアーズ
ボーカル:ジム・モリソン
キーボード:レイ・マンザレク
ギター:ロビー・クリーガー
ドラム:ジョン・デンズモア
Riders on the storm. 嵐のライダー
Riders on the storm. 嵐のライダー
Into this house we're born. この家に生まれて
Into this world we're thrown. この世に投げ出されて
Like a dog without a bone. 骨をなくした犬のように
An actor out on loan. 借金だらけの役者のように
Riders on the storm. 嵐の中を走るライダーたち
There's a killer on the road. 路上には殺し屋
His brain is squirming like a toad. 奴の脳はカエルみたいにうごめいている
Take a long holiday. 長い休暇を取って
Let your children play. 子どもたちを遊ばせてやれよ
If you give this man a ride もしもこの男を乗せたら
Sweet family will die. 素敵な家族は死んでしまう
Killer on the road. 路上の殺し屋
Girl, you gotta love your man. ガール、おまえの男を愛するんだ
Take him by the hand. 男の手を取り
Make him understand. 理解させるんだ
The world on you depends. 世界はお前次第だと
Our life will never end. 俺たちの人生は終わらない
Girl, you gotta love your man. ガール、おまえの男を愛するんだ
【解説】映画.COMより
「ブレードランナー」のルトガー・ハウアーが謎の殺人ヒッチハイカーを怪演し大ヒットを記録したサスペンススリラー。陸送の仕事をするジム・ハルジーは、シカゴからサンディエゴへと向かう砂漠地帯で、1人のヒッチハイカーを拾う。その男ジョン・ライダーは、ハンドルを握るジムの喉元にナイフを突きつける。一瞬の隙を見てライダーを車から突き落としたものの、その後も彼は執拗にジムを付け狙う。警察やウェイトレスのナッシュも巻き込み、事態は最悪の方向へと転がっていく。主人公ジム役に「アウトサイダー」のC・トーマス・ハウエル。「ボディ・ターゲット」のロバート・ハーモン監督がメガホンをとった。2021年1月、東京・シネマート新宿ほかにてHDニューマスター版をリバイバル公開。
1986年製作/97分/アメリカ
原題または英題:The Hitcher
配給:アンプラグド