さらば友よ (1968)

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「Yeah! 」「Yeahー!」

チェイサーさん主催の「アラン・ドロン生誕84年記念祭」
(2019年11月9日(土)12:30~(開場12:00)
勝手に前夜祭もここまできました
お待ちかね、原題も「ADIEU L'AMI」(さらば友よ)

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緊迫感あるコインゲーム
ドロンがブロンソンのタバコに火を付け「イェー」で終わるラスト
「男」を感じる名シーンに痺れます

テーマ曲は「冒険者たち」「サムライ」のフランソワ・ド・ルーベ
要所要所でニクくて素晴らしいメロディを聞かせてくれます

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アルジェリア帰りの兵士たちを乗せた船が、マイセイユに到着し
多くの軍人が港に溢れていました
その中で軍医のディノ・バラン(ドロンさま)は
同じ軍医で「モーツァルトと同じ綴り」のモーツアルトを探している
美しい女性から「バランさんでしょ?」と尋ねられますが
無視して移動します

次に外人部隊アメリカ人兵士プロップ(チャールズ・ブロンソン)が
やってきてバランをコンゴの戦地で人稼ぎしようと誘います
戦争に嫌気が差しているバランはプロップの申し出を断り
先ほどのモーツアルトという軍医を探していたイザベルと会います

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大手広告代理店に勤める彼女は、会社の債権を盗み利用していたけれど
年末の決算が近いのでクリスマスの連休に金庫に戻したい
金庫室は医務室の隣にあり、そこに勤めていて共犯で
死んだモーツアルトの代わりに、バランに仕事を依頼し
バランは彼女の会社に医師として潜り込みます
(そして若い女性社員ばかり身体検査をする 笑)

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バランは金庫室を覗くことができる医務室の小窓に
連写装置のついたカメラをセットし
警備員が金をしまうとき、金庫のダイヤルの組合せ番号を
写真に映して盗み出そうとします

週末の金曜日は帳簿をしまうため金庫が開けることになっていましたが
その日は社員のクリスマスのボーナスと月給を含めて
約二億フランの現金も金庫に入れられることを知ったバラン
バランは債券を返したとき、二億フランをいただこうと計画するのです

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しかしカメラには7つのダイヤルのうち
(警備員に隠れて)3つしか写し出されていませんでした
組合せは無数、時間は金曜の夜から月曜の明け方までの3日3晩

一方のプロップはコンゴ行きの仲間が集まらなかったのか退役
変態の金持ちが集まる秘密売春クラブで詐欺を働いていましたが
一発大きな仕事で大金を稼ぎたいと考えていました

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ふらりとバランを訪ねると、そこはまさにその時
バランが金庫破りをしようとしていた現場でした
プロップが仲間に入れてくれなきゃドアを開けないと言えば
バランは自販機の飲み物を買い占めて隠す意地の張り合い
(男っていつまでたっても子どもよね 笑)
なのにバランが隠した飲料の入れ物を見回りの警備員が持ち帰ってしまう

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それでもひとりよりふたり、同期の桜(笑)
同じ戦地を潜り抜けたふたりには友情が芽生え始め
バランはアルジェリアで一緒だったモーツアルトのことを話し出します
一緒にばかをした、楽しくて最高の奴だったと

バランがイザベルの依頼を引き受けたのは
それがモーツアルトが引き受けた仕事だったからかも知れません

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そうして交代で何千種類もある番号の組み合わせ試し
警備員の見回りのたび隠れる
なのにやっと開けた金庫は空っぽ、しかも金庫室に閉じ込められ
脱出しようとプロップが壁の向こうの電線をナイフで切ったら
電気は消え、空調まで止まるという災難
暗闇の中、金も、水も、食料も、希望もない

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あるのはドロンさまと、ブロンソンさまの光り輝く上半身の裸体だけ(笑)
これぞ「大人のエレガンス」と「男のマンダム」
日本のテレビコーマーシャルで外国人俳優を採用し始めたのは
この作品がきっかけだったかも知れません(笑)

もはや無用になったイザベルから渡された債権に火をつけ明かりを灯す
酸素がなくなるのが先か、脱水症状が先か
そのときプロップが壁に触れると、1か所だけ冷たい場所
通風孔があることを発見します

金庫の番号の組み合わせの次は、通風孔に通じる壁の破壊(笑)
ふたりは金庫の棚で少しづつ壁を壊し、通風孔から脱出
(「地下室のメロディー」もだけどドロンさまには通風孔がよく似合う)

歓びもつかの間、そこに転がっていたのは
死後2日は経っている警備員の死体でした

そこではじめて、バランは罠にかけられたとを悟ります
バランが金庫室に入る前に、金庫の番号を知ってる何者かが
警備員を射殺し、2億フランを盗み、バランに罪をきせようとした

「さらば、友よ」

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バランとプロップは、何があっても知らない者同士だと約束し別々に逃げます
金庫破りと警備員殺しのニュースは派手にかきたてられ
空港で非常線によって捕まったバランを救うため
プロップ奇怪な行動をし自分が逮捕されます

その間バランは、イザベルの行方を探すために
医務室の助手をしていたドミニクの家を訪ねます
助けてくれるのは君だけだ、会社に行ってイザベルのカルテを探してくれと
相変わらずの(笑)キスとベッドイン攻撃で落とそうとするのです

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警察ではプロップはバランのことは知らない
空港で逃げたのは秘密売春クラブの詐欺のせい
バランから電話が欲しいという供述が新聞に取り上げられます

バランはプロップの連絡係の看護師の勤める病院から
警察に捕えられているプロップに電話
その後刑事とカフェで待ち合わせして「夜まで待て」と告げると
あえて警察に尾行させドミニクを連れて
イザベルのカルテを探すため会社の医務室に向かいます
そこに現れたイザベル

同時に警察で金庫のダイヤルの番号を突き付けられたプロップは
それは”ワーテルローの戦い”(1815.6.18)だと告げ

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バランはドミニクのニックネームが”ワーテルロー”であることから
警備員殺しはドミニクと、(同性愛の関係にある)共犯のイザベルで
尾行し潜んでいる警官たちにもわかるよう説明します
犯行がばれ警官の存在に気付き、逃げようとするイザベルとドミニク

武器であるバランのリボルバーにもう弾は入っていない
バランは警官を阻止しようとしますが、ふたりは射殺されます
夜まで待てと約束したのに

バランはイザベルとドミニクに騙された被害者で
プロップは刑事の取引に応じず、売春詐欺で逮捕

警察署で煙草をくわえ連行されるプロップに
さりげなくマッチの火を差し出すバラン

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すれ違うふたりは最後まで目を合わせない
ここ、背筋に悪寒が走るほどかっこいいです

金持ちは保釈金ですぐ釈放されるでしょうし
売春と言っても、美女が回転駐車場で全裸になり
お喋り人形の「パパ~」を真似をするマニアなものなので(笑)
プロップも、よほど金持ちが立場を考えず控訴しないかぎりは
財布を盗んだ罪くらいにしかならない

たとえ善人でなくても、義理と人情を重んじる人間には
神様は罰を与えません

 

「イェー!」(笑)

 

 

【解説】allcinemaより
 A・ドロンとC・ブロンソンの共演による犯罪ドラマで、ブロンソン人気に火をつけた作品。アルジェリア外人部隊から帰還した軍医ドロンは、広告会社に勤める女ジョルジュ=ピコから奇妙な依頼を受ける。彼女が黙って持ち出した債券を会社の金庫に戻して欲しいというのだ。ドロンと同じく戦争帰りのブロンソンは、ドロンの仕事に興味を持ち、二人は金庫に潜入する事となった。こうなれば債券を持ち出す代わりに金庫の金を奪い取ろうという魂胆だ。だが、ようやく開いた金庫の中には金はなく、そのうえ二人は金庫に閉じ込められてしまった……。日本では他に「ジェフ」や「太陽の200万ドル」ぐらいしか知られていない監督ジャン・エルマン(その後は仏製アクションの脚本の仕事が多い)の代表作。スタイリッシュなラスト・シーンはやはりカッコ良い。「禁じられた遊び」から大分成長したB・フォッセーの姿も見れる。刑事役にB・フレ


ッソン。