ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります(2014)



原題は「5Flights up」(5階上)


物凄くいい、とは言わないけれど(笑)

お昼に主婦がほっこりするのにとか

これから結婚する恋人同士が見るのにいいと思います

こんな夫婦になりたい


そしてブルックリン橋を見下ろせる南向きのアトリエ

屋上に家庭菜園、お洒落な街並み、毎朝の犬の散歩

こんな暮らしに憧れてしまいます



だけど、老いた夫婦が階段を5階まで上がるのはキツい

40年間住んできた家を売ろうとオープンハウスを決意

そしてちょっと風変わりな人々と出会っていくのです


明らかにウディ・アレンの「アニー・ホール」(1977)や

「マンハッタン」(1979)にインスパイアされています(笑)

見覚えのあるベンチのある川辺の景観

早口で膨大な台詞量の男女の掛け合い




ただダイアン・キートンのお相手はウディでなくモーガン・フリーマン

普段は寡黙な役が多い彼だけど

ここでは雄弁なセリフがポンポンと出てきます(笑)


ダイアンもモーガンも、この記憶力のよさと、安定した演技力が

何歳になっても一線で活躍する秘訣のひとつなのでしょう


そこに住宅のバイヤーの女性がまたまた鬱陶しいくらいお喋りで(笑)

なんとか部屋を売り、新しい部屋を買おうとしますが

なかなかうまくいきません




人種の違いや、売れない画家という苦労を乗り越え

長年連れ添い齢を重ねてきたふたり

だけど、今の家のちょっとした不便さに囚われ、周囲に流され

大切なことを忘れてしまったのです


結局大事なのは、「どこに住むのか」よりも「誰と住むのか」ということ

やっぱり長年住んだ我が家が一番だと気が付く

もう少しこの部屋で暮らそう





ドタバタがあっても、喧嘩をしても

最期まで一緒にいるしかない夫婦

そこはやっぱり「愛」を育んできた家がいい


ただ最後は犬にすべて持って行かれました

そんな私も老後は(今もだけど)夫より

ペット一番になってしまう派かもしれないのですけれど(笑)




そして若き日のダイアンを演じた

クレア・ヴァン・ダー・ブームという無名の女優のなりきりが凄い

昔のウディ作品ファンは一見の価値ありだと思います



【解説】allcinemaより
モーガン・フリーマンダイアン・キートンというオスカー俳優2人の初共演で贈るハートフル・ドラマ。原作はジル・シメントの全米ベストセラー『眺めのいい部屋売ります』。ニューヨークを舞台に、階段がきつくなってきたために古いアパートの5階にある我が家を手放す決断をした夫婦が、愛着のある住み慣れた我が家の売却と新居探しを巡って織り成す悲喜こもごもの人間模様を綴る。監督は「ウィンブルドン」「ファイヤーウォール」のリチャード・ロンクレイン
 ブルックリンが一望できる眺めのいい部屋に暮らして40年になる仲睦まじい夫婦、アレックスとルース。2人にとってその部屋はまさに理想の我が家だったが、エレベーターがないのが唯一の欠点だった。足腰の弱ってきたアレックスにとって、我が家のある5階まで階段を上るのは容易なことではなくなってきた。そんな夫を心配したルースは彼を説得し、エレベーターのある住居への買い替えを決めたのだった。こうして明日には、いよいよ購入希望者のための内覧会が開かれようとしていたのだったが…。