魔法使いにも、人魚にも、手品師にも」
「月世界旅行」で有名なジョルジュ・メリエスをリスペクト
過去の映画人たちの功績を改めて世界に知らせ、未来に残したい
そんなスコセッシ監督の決意と映画愛がヒシヒシと感じられる作品でした
史実も見事に脚色していると思います
怪奇映画を築いてきたクリストファー・リーが
図書館のムッシュ・ラビス役として登場
何気にカメラマン役にはスコセッシ監督自身(笑)
チャップリン、キートン、ハロルド・ロイド、ダグラス・フェアバンクス
といった映像をさり気なく見せるのもいい
そしてクロエ・グレース・モレッツ(当時14歳)はやっぱりいい
本人はナタリー・ポートマンを目標にしているそうですが
(私はスカーレット・ヨハンセンを目指してほしいがな)
子役だけで終わってほしくない女優さんです
ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、駅の時計台に住み
時計のネジを巻く仕事をしていました
そして父(ジュード・ロウ)が遺した、壊れた“機械人形”を修理する日々
でも、どうしてもハート形の鍵の秘密がわかりません
ある日駅のお菓子と玩具を売る店で、“機械人形”の部品にするため
鼠のからくり人形を盗もうとしたヒューゴ
しかし店主のジョルジュ(ベン・キングズレー)に捕まってしまい
父の形見の大切な手帳を奪われてしまいます
ジョルジュの養女であるイザベル(クロエ・グレース・モレッツ)に
協力を求めます
次第に仲良くなっていくふたり
やがてイザベルが“機械人形”の
ついに動いた“機械人形”が描いたのは
メリウスの「月世界旅行」のイラストでした
メリエスの映画は高く評価され
人々は驚き、感動し、夢の世界へ誘われました
しかし戦争がはじまり、娯楽=悪という考えが植え込まれ
誰も映画に見向きしなくなってしまったのです
燃料にするため燃やされるフィルム
ちょうど同じ時代の山中貞雄監督と重なりますね
ほとんどのフィルムがプロパガンダのため焼き増し
または戦災で焼失、紛失してしまい残ったのはたった3作品
それさえもGHQの検閲によって
いくつもの貴重なシーンが削除されてしまったというのです
どれだけ命がけで完成させたかなど、思いつきもしないのです
メリエスが腐って、やる気がなくなってしまうのもわかります
ついには大切な手帳を灰にしてしまうような冷たい老人になってしまった
だけど、アナログ仕掛けに魅せられたヒューゴのおかげで
彼の心に再び温かさと、映画への情熱が蘇るのです
パパ・ジョルジュに長年尽くした奥さんも
カフェで挨拶しあう紳士淑女も
花屋の売り子に恋心を抱く駅の警官も
みんなが寛容で、やさしくなっていく
凶暴な犬さえも(笑)
ヒューゴはきっと、少年時代のスコセッシ監督なのです
ものづくりに没頭し、映画を愛し
古いものを忘れず大切にしようとする
劇場では「人々が映画を初めて見たときの感動」をと
デジタル3Dで公開されたそうです
ファンタジックな映像に、アドベンチャー的な見せ場が多いので
小さなお子さんでも楽しめますし
大人のシネフィルも満足できる1作だと思います
ブライアン・セルズニックのベストセラー小説を「グッドフェローズ」「ディパーテッド」のマーティン・スコセッシ監督が自身初の3Dで映画化したファンタジー・アドベンチャー。1930年代のフランス、パリを舞台に、駅の時計台に隠れ住む少年が父の遺した機械人形の謎を追って不思議な大冒険を繰り広げるさまを、ジョルジュ・メリエスはじめ映画創成期へのオマージュをふんだんに、美しく幻想的な3D映像で描き出していく。主演は「縞模様のパジャマの少年」のエイサ・バターフィールド、共演にクロエ・グレース・モレッツ、ジュード・ロウ、ベン・キングズレー。
1930年代のフランス、パリ。父を亡くした少年ヒューゴは、駅構内の時計台に隠れ住み、時計の整備をしながら孤独な毎日を送っていた。そんな彼の心のよりどころは、父が遺した壊れたままの不思議な“機械人形”。その修理に悪戦苦闘していたヒューゴは、おもちゃ屋で万引きを働いて店主の老人に捕まり、人形について書かれた大切な父のノートも取り上げられてしまう。そんな中、ヒューゴは老人の養女イザベルと仲良くなり、一緒に機械人形の秘密を探ってゆくのだが…。