グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札(2014)



「おとぎ話のような人生こそ、おとぎ話だわグレース・ケリー



グレース妃の自伝的作品という触れ込みですが、実はほぼフィクション

グレース・ケリーを聖人化しようとした演出なのでしょうが


モナコの王室は不快感を示し、現大公であるアルベール2世は

父である)レーニエ公が現実より無能に描かれ過ぎていると

苦情を申し立てたそうです




物語はモナコにいるグレース公妃のもとに、ヒッチコック

新作「マーニー」に主演しないかと依頼にくるところから始まります


ハリウッドから嫁いで6年、ふたりの子宝に恵まれるものの

王室の疎外感に悩み国事優先の夫との不和も深刻

唯一の相談相手はアメリカ人の神父だけ


まだ女優に対する未練残っていたグレース公妃は

秘かに女優復帰を目指します




その時、モナコフランスとの関係が政治的危機にあ

レーニエ公はアルジェリア戦争の戦費調達のため

フランスからの課税に抵抗することに苦しんでいました


しかも王室の中にフランスのスパイがいる可能性があり

グレース公妃の女優復活のスクープがリークされ

更なるピンチに追い込まれます




グレース公妃はヒッチコック映画を諦め

いちからモナコの上流社会マナーを学び

モナコのシンボルとして”公妃”という”役”を演じ切る決意します


これはもう、ニコール・キッドマンのファッションショー(笑)




でも「マーニー」1964)には主演しなくて正解だったと思います

ヒッチさんのなかでも、結末が弱いし、評判もよくないし()

しかもヒロインには盗み癖があり、相手役はイギリスの諜報部員

ぜったいモナコ国民が許しません


こんな脚本をグレース公妃に持っていくなんて(ばかだ)

ヒッチさんは離婚させてでも

グレース・ケリーに戻ってきてほしかったのかな



強硬な姿勢を崩さないドゴール大統領を

グレース公妃は赤十字の晩餐会に招待します

そして公妃のモナコの危機を救うための、大芝居のスピーチ行われます


クライマックスのスピーチで感動させるシークエンスあるある(笑)


しかし、あたかもの公妃のスピーチだけが

モナコを救ったように描かれているうえ

「愛」という言葉に過剰に頼りすぎているのには白けてしまう




それでもフランスでも人気のあったグレース・ケリーの存在が

国境閉鎖の危機を救った理由のひとつには間違いないと思います

たとえドゴール大統領でも世論を気にしないはずはない


そんなスーパーヒロインものにはせずに

王室に嫁いだ元女優が、女優という特技をいかして

慈善活動に身を捧げ、自分の居場所を見つけて、国民の信頼を得ていく




そんな本来のグレース公妃の姿をドラマチック化したほうが

よかったと思います

モナコという美しいロケーションもあるのですから




【解説】allcinemaより

 ニコール・キッドマンがハリウッド・スターからモナコ公妃となった伝説の美女グレース・ケリーを演じる伝記ドラマ。モナコ公妃としての生活に馴染めず苦悩を深めるグレース・ケリーの心の葛藤と、夫レーニエ公とフランス大統領シャルル・ド・ゴールとの政治的対立をめぐる国家の危機に際し、彼女がいかなる選択をしたか、その知られざる秘話を描く。共演はティム・ロスパス・ベガフランク・ランジェラ。監督は「エディット・ピアフ愛の讃歌~」のオリヴィエ・ダアン
 1956年、人気絶頂の中、26歳という若さで突然ハリウッドから引退し、モナコ大公レーニエ3世の妻、モナコ公妃となる道を選んだグレース・ケリー。その“世紀の結婚”から6年、彼女はいまだに宮中のしきたりに馴染めず、孤立感を募らせる息苦しい毎日を送っていた。そんな時、ヒッチコック監督から次回作「マーニー」のヒロイン役を直々にオファーされ、心ゆれるグレース。ところが折しも、モナコが国家存亡の危機に直面してしまう。フランスのド・ゴール大統領がモナコに過酷な課税を強要し、一触即発の緊張状態に陥ってしまったのだ。大国フランスを相手にやがて万策尽きるレーニエ。そんな夫を支え、愛する家族と国家を守るため、グレースはある覚悟を胸に行動を開始する。