泥棒成金(1955)


ヒッチさんの観光ラブ・サスペンス

グレース・ケリーのファッション・ショーと言ってもいい(笑)

衣装はもちろん、イーディス・ヘッド女史

 

ストーリーは正直、良い出来とは言えませんが

ヒッチさんお気に入り俳優が勢ぞろい

それぞれの持ち味を存分に発揮しています
ただしケイリー・グラントのメイクは黒すぎ()
 

引退した宝石泥棒キャットと同じ手口盗みが行われ

警察に追われるハメになる元祖キャット

なんとか偽キャットを捕まえようと

保険会社と警察巻き込み、罠をかけようとします

 

次に偽キャットが現れそうな金持ちが集まるリビエラ

カジノでは突然石油が湧き出て金持ちになった母娘と知合います

富豪で美貌グレース・ケリー

それ目当てだけで近づく男たちのせいか、かなりの皮肉屋

今までで唯一自分に興味を持たないケイリー・グラントにキスし

若いフランス女に対抗意識を燃やすのです

 

グラントをドライブに誘い出し正体を暴くシーンは見もの

(この場所の近くでグレース大公妃は自動車事故により他界)

そこでお腹が空いたとグラントにグリルチキンを

「胸と脚どちらがいい」とすすめるケリー

グラントは「どちらでも」と答えます

 

この「(グリルチキンのような鶏の)」と「」どちらが好き?」の質問は

カジノでグラントが女性のバストにチップを落としたエピソードに対して

「あなたは(女性の)胸と腿のどちらが好きなの?」というニュアンスだそうで

「どちらでも」と答えたグラントに、すかさず「脚」を渡すケリー

私たちも「確かにケリーは胸より、脚かもな」と思ってしまうわけです(笑)

 

しかも結構本気でグリルチキンを食べている姿は

当時の美人女優からはなかなか見れないシーン

 

しかし母親の宝石が何者かに盗まれたことで

ケリーはグラントを疑い罵ってしまいます

 

この目玉焼きで煙草の火を消すようなマッドママがいい

お洒落であろうが無かろうが、飲みたいバーボンを飲む

いくら金持ちになっても、上流でなんかないんだと

自分の分というものを知っているのです

 

怒る娘に、身に付けずして何が宝石?宝石なんてどうでも良いのよ

とサラッと言える姿勢もかっこいい

 

そして屋根の上での偽キャットとの対決は

アニメ「ルパン三世」のようです

偽キャットの予想はだいたいついてしまいますが

一番人の良さそうな人が黒幕でした

 

花火のシーンなどはヒッチコックを敬愛するデ・パルマ監督が

愛のメモリー」(1976)や「ミッドナイト・クロス」(1981)で

オマージュしているそうです

見比べてみるのも楽しいかもしれません

 

【解説】allcinemaより

身軽に屋根を飛び歩く事から“猫”と異名をとっていた宝石泥棒のジョン・ロビー。彼は、今はリヴィエラに別荘を持って悠々自適に堅気の生活を送っていた。そんな平穏な彼のもとに、“猫”が再び活動を開始したというニュースが舞い込んできた。驚いた彼は、さっそくそのニセモノの調査に乗り出すが……。サスペンス映画の巨匠、ヒッチコックが軽快なタッチで描いたラブ・サスペンス。ヒッチコックは、一般的には「サイコ」や「めまい」などの本格的スリラーを得意とする監督だと認識されがちだが、「裏窓」などで見られるようにコミカルな演出にも卓越したセンスを持つ人物である。「ハリーの災難」などは彼のその部分が前面に出た傑作であったが、本作もその才能が発揮された秀作。「ダイヤルMを廻せ!」「裏窓」に続き本作で3作目の出演となっているグレイス・ケリーの美しさが光る1本