「馬の小便か?こりゃ、ビールならもっと冷やいの持ってこいや!!」
「わりゃあ、馬の小便が嫌なら、わしの小便飲ませたろかぁっ!」
「オウ! 飲ましてみいや!」
この映画を邦画ベスト1に推す人もかなりいるということですが頷けます
実話ベースだとは知りませんでした
ストーリーは生々しく、ドキュメンタリーのようなナレーション
手持ちカメラを多用した演出が異様なリアルさを生んでいます
「ゴッドファーザー」(1972)の影響も見受けられますが
何よりもファミリーを大切にするマフィアとは違い
こちらは兄弟だろうが容赦なく騙し、裏切ります
舞台は戦後の動乱期、広島呉市
そのなかでヤクザ社会がどんどん成長していきます
日本刀で腕をブッた斬られる凄まじい幕開け
基本的には二部構成の映画で
まずは山守組と土居組の対立、続いて山守組の内部分裂を描いてます
登場人物は多いのですが、混乱することなくストレートでわかりやすい
そしてとにかく怒号の嵐、喧嘩の嵐、暑苦しい群像劇
撮影に際しては当時を知る「ホンモノ」が呼ばれ監修したそうです
山守組長のモデルも、呉市に古くから住んでる人は
みんな知ってる人物だったそうです
仁義と裏切りと暴力と死が交錯する中
梅宮さんと、文太兄ぃの兄弟分の男気と
金子信雄さん演じる山守組長のクズっぷり
親分はやっぱり悪人だったか
騙されて涙する文太兄ぃ
葬式の時のかっこよさはない
「正義は勝つ」を完全否定し
突如出現した実録やくざ映画の傑作
人間には暴力的な猛々しさへの憧れもあるのだと
思い知らされる作品でした
【解説】allcinemaより