「ほおか ほいじゃあ言うとったるがの
広島極道はイモかもしれんが、旅の風下に立ったことはいっぺんもないんで
神戸のもんゆうたら猫一匹通せんけえ、おどれらよう覚えとけや!」
原作においての事実上の最終作が、この「頂上作戦」ということです
暴力団という存在を肯定するつもりは一切ありませんが
1作目での、敗戦による喪失と屈辱、貧困と飢えが
仲間を作り助け合い、生きていくため暴力に駆り立てられたのは
事実なのでしょう
しかし時は流れ、時代は高度成長期
やがて淘汰されていくことになるのです
前作から続く「広島抗争」の決着がいよいよ
つくことになるはずの本作
しかし、銃や、喧嘩や、刀だけで
ドンパチを繰り広げるわけにもいかなくなり
戦うための大義を探して、したすら膠着する2大勢力
そんな中、ぬくぬくと凌いでいく山守組長(金子信雄)の
腹立たしい老獪
「代理戦争」でやっと広能(文太兄ぃ)と、山守組長が
それゆえ、主役は武田(小林旭)だと言ってもいいでしょう
神戸ヤクザにタンカを切る
山守組長の請求書の束に悶絶
エンストしたクルマまで必死に押す
知的なインテリが、子分にやらせておけばいいのに、頑張る
この妙で真面目なギャップは可愛い(笑)
ボスに疑問を感じるナンバー2という設定にも
共感がもてます
そして本作のベスト・オブ・クズ野郎は、小倉一郎さん
気弱で、「原爆スラム」に住むヲタク的なキャラ
そんな彼のことを同情したのか、松方部長(再々登場)は
面倒を見てあげようとします
なのに、家族にテレビを買うためだけに
この若者は外道の所業をしてしまうのです
己の私欲だけのために行動する「新時代」
そして、今まで以上に深まっていく警察、新聞、市民の介入
仁義と度胸を貫いたせいで長期刑になった、兄ぃやアキラさん
なのに、山守組長のようなクズがすぐに釈放されてしまう仕組みには
今も昔も変わらない、権力と法律の矛盾を感じるラストでした
でもその理不尽が、実話らしい
「広島ヤクザ戦争はなんの実りもなく終結を迎えた」
そんなナレーションで、物語は幕を感じることになります
【解説】allcinemaより