仁義なき戦い 完結篇(1974)




「お前とは飲まん」


シリーズ5作目にして、一応の完結作
今までのシリーズが広能昌三(文太兄ぃ)と山守親分(金子信雄)の
対立が背景にあり、そのことで感情移入できたのですが
「完結編」で落とし前がつくわけでなく、完全に無視されています

天政会2代目会長武田の引退に伴い
武田組若頭である松村(北大路欣也)の
三代目就任の襲名披露までを描いたもの

広能をはじめ、武田(小林旭)、山守親分はあまり登場せず
愛着がわいてきた(笑)槙原(田中邦衛)は殺されてしまいます
再登場の大友勝利は、千葉真一さんから宍戸錠さんに交代
これまでのシリーズの要の人物が不在で、寂しさを感じます

そのうえ小林旭さんと宍戸錠さんの共演を見ていると
どこからか石原裕次郎さんが出てくるような
いらない期待まで膨らんでしまうではないですか
(日活映画じゃないっていうの!笑)





ベスト・オブ・ヘタレは広能組若衆の桜木健一さん
襲撃用水中銃で自分の足は撃つものの
腰抜け失禁してしまうものの
最後は藤純子さんのポスターと倒れてしまう
お気の毒だけど、あまりの滑稽さに笑ってしまいます


クライマックスは昭和45年に大阪西成区で実際に起きた
襲撃犯たちによる共政会三代目襲撃事件をリアルに再現したもの
実際の車はメルセデスベンツということですが
製作費の関係で中古のアメ車になっているそうです

しかし松村は一命を取り留め、襲名披露を実行します
そして広能は世代交代を悟り
長年のやくざ人生からの引退を決意するのです





シリーズ映画としてはトップクラスの出来でしょう
「完結編」まで失速することなく、ここまでリアルに
やくざ社会を描いたのは凄いと思います
最後に「仁義なき戦い 完」の文字が映し出されたときには
ジーン・・とくるものがありました

なのに同年には「新」シリーズを製作がされるとは(笑)
そしてついに東映の「お正月映画」になったそうです



【作品情報】Moviewalkerより
仁義なき戦い」シリーズ第5部・完結篇。警察の“頂上作戦”で一応終息したかにみえた広島やくざ抗争は、服役していた組長・幹部などの出所をきっかけに、組織の再編成にともなう流血の縄張り争いを再然させた。脚本は「ザ・カラテ」の高田宏治、監督は「仁義なき戦い 頂上作戦」の深作欣二、撮影は「殺人拳・2」の吉田貞次がそれぞれ担当。