仁義なき戦い 広島死闘篇(1973)




「わりゃ、何の肉じゃ?こりゃ!
 オドレラ、何の肉買うてきたんなら?」


金に困った子分たちから、野良犬の肉を食わされる文太兄ぃ
日本でも昔は犬の肉を食べていて
特に赤犬(茶色い毛の犬)の肉が美味しいと聞いたことがありますが
今なら動物愛護団体から非難轟々なシーンですね


2作目にして早くも番外編と呼ばれている本作
文太兄ぃではなく、北大路欣也さんが主人公
この北大路さん演じる村岡組の山中正治という男は
「殺人鬼」と呼ばれた山上光治がモデルなのだそうです





その山中と、村岡組組長の姪である梶芽衣子演じる戦争未亡人
やっちゃんとのメロドラマが軸になっています
この時代は特攻隊で亡くなると「神」として扱われ
その未亡人も相当身分が高く扱われたようです
脚本の笠原さんは被差別部落の問題も伝えたかっということです

ただ、男と女が恋に落ちるというような部分は
作監督が苦手とするジャンルなのか(笑)
二人の惹かれ合っていく過程の描き方はかなり雑です


もうひとりの主人公が大友組組長の息子、千葉真一演じる大友勝利
とにかく下品で凶暴で強烈な印象を残します
仁義などどこにもない、金と利権が目当ての薄汚い存在
諸悪の根源のような男です





良かったのは村岡組松永を演じた成田三樹夫さん
組織内の立ち位置を踏まえているいい男
格好良さと存在感がじわじわと染みてきます


大友組に袋叩きにされた山中は極道の世界に入り
やがてヒットマンとして名をはせるようになります
しかしただ組に利用されるだけ利用され
最愛の女とも引き裂かれてしまう

最後は警察に包囲され、自殺してしまいます
銃に残った最後の一発を
自分を裏切った組長に向けるのではなく
自分に向けたのです

虫けらのように死んでいく男のやりきれなさ
彼を思い泣き崩れるやっちゃん


腐れ外道が生き残るという
本作も虫酸が走る憎たらしいものでございました

ある意味、観客の感情を上手くコントロールする
洗脳映画ではないかと思ってしまいます(笑)



【解説】allcinemaより
仁義なき戦い”シリーズの第2弾。日本のヤクザ社会でも他に類を見ない壮絶をきわめた“広島ヤクザ抗争”を描くバイオレンス・アクション・ヤクザ映画。昭和27年、広島。一時休戦していた博徒の村岡組とテキ屋の大友連合会だったが、ここへきて再び抗争が勃発していた。博奕のトラブルから刑務所に入った山中は、3年後、仮出所早々、大友連合会の連中に袋叩きに遭う。それがもとで、山中はライバル組織の村岡組の組員となった……。