ブルージャスミン(2013)




「Blue Moon」
ケイト・ブランシェット演じるジャスミンはこの曲がすごく好き
アレンの選曲はいつも上品でセンスがいいですね
でも、そんな上品な映画ではありませんでした

実在する史上最大級の巨額詐欺事件の犯人
バーナード・マドフという人物の
ルースという奥さんがモデルということです

投資家として名高い実業家のハル(アレック・ボールドウィン)の
ジャスミンケイト・ブランシェット)は家庭も資産も失い
サンフランシスコに住む妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)の
アパートに転がり込みます





破産して一銭もないくせに、ファーストクラス
バッグや服はヴィトンかシャネル
しかも離婚してスーパーで働くジャスミンには「負け犬ね」
「こんな汚いアパート住んで、ダサいわ」とぼやきます

ジャスミンも一応は自立しようとして
インテリアデザイナーの学校に行こうとしますが
やっぱり金持ち男を見つけて、また玉の輿に乗ろうと決心





妻に先立たれた政界進出有望な男性と
自分も未亡人でインテリアデザイナーだと嘘をつき交際開始
そしてもう少しで婚約直前というところで
偶然ジンジャーの元夫と鉢合わせしてしまいます
そして恋人に投資詐欺師の妻だったと、過去を知られてしまうのです

ジャスミンの身の程知らずな無知っぶりは、最初は面白くても
やがて「笑うに笑えない」状況へと追い込まれていきます


ケイト・ブランシェットは「ロード・オブ・リング」の妖精や
「エリザベス」の女王のように、気高い女性が似合う美女ですが
このジャスミンのこわれゆく女は、イメージを完全に覆しました

ラストでのほとんどすっぴんだろう、皺だらけの泣き顔
この体当たりな演技は、見事にあらゆる賞の主演女優賞を総ナメにしました
彼女の代表作のひとつとなることでしょう





そして、この年のアカデミー賞のノミネートが決まった時
アレンが養女への性的虐待でスキャンダルになったことも覚えています
今回この作品を見て、これが原因かなと思いました

だんだんとジャスミンの結婚生活が明かされていったとき
夫が何度も浮気をし、ついには10代の女の子に本気になってしまう
そしてついに壊れた妻が夫を陥れるというエピソードがあります
これには確かに、アレンとミア・ファローの関係を想像してしまいます


この作品が公開されたとき、息子のローナン・ファローがtwitter
「みんなウディ・アレンを賞賛してるけど、あいつは7才の娘にイタズラした男だ」
というツイートをし

養女ディランも、ニューヨーク・タイムズ
ウディ・アレンに私はイタズラされたんです、7才の時に」
という手紙を発表

そこにもう1人の、養子であるモーゼスが
「ディランが言っているのは全くのデタラメ
 母さんに洗脳され、植え付けられた記憶なんだ」と告白

ミア・ファローにはどれだけ養子がいるのよ 笑)


19才の女の子に手を出して結婚したらロリコンと疑う人もいるでしょうし
そうなると「7才にも?」と信じる人も当然いるわけで
アレンにとってスキャンダルの方が話題になりました

ハリウッドでもアレンをアカデミー賞から引きずり落としたい派と
擁護派に分かれたそうですが、結果的にはアレンの勝ちだったのでしょう


それにしても1992年に破局しているというのに
ミア・ファローの怨念はあまりにも強い
アレンと付き合った後も、自分だってシナトラと密会していたくせに(笑)


とにかくこのことが原因でアレンが映画を撮れない
なんていうことにならなくてよかったです
御年80歳、もう火遊びはやめてほしいですね(笑)



【解説】allcinemaより
ウディ・アレン監督が初顔合わせとなるケイト・ブランシェットを主演に迎えて贈るシニカル・ドラマ。富豪との結婚生活が破綻し、妹のアパートに身を寄せてどん底からの再出発を図る中年女性が、セレブ生活が忘れられず惨めな悪あがきを重ねては身も心もすり減らせていくさまを辛辣に描き出す。共演はアレック・ボールドウィンサリー・ホーキンスピーター・サースガード
 ニューヨークでのセレブ生活が崩壊し、妹の住むサンフランシスコへとやって来たジャスミン。質素な生活を送る妹の厄介になりながらも、虚栄心が捨てられずに周囲にまるで馴染めない。おのずと精神もますます疲弊していく。それでも華やかな生活を諦めることができず、再びセレブな舞台への返り咲きを期して躍起になるジャスミンだったが…。