ワイルド・マン・ブルース(1997)




シドニーベシェーや、コルトレーンなら
 何を演っても常に創造的だが
 私などはいつも練習しないとダメなんだ」


アレン率いるバンドの、イタリア、フランス、イギリスでの
演奏旅行を追ったドキュメンタリー
各地のホテル内での妻や妹とのやりとりがほほえましい
スン・イーはとても感じが良い女性ですね
「マンハッタン」のマリエル・ヘミングウエイとよく似ています


タイトルの「Wild Man Blues 」とは
ジャズクラリネットの名手ジョニー・ドッズの名曲のこと
アレンの音はニューオーリンズでジャズが生まれた
19世紀末~20世紀はじめに吹かれていたような
忘れられつつある純粋な初期ジャズの音色なのだそうです


作中でもバンジョー奏者が
「我々のやっている音楽は、今はアメリカでも聞けない音楽だ」
と語っていました
それくらいジャズ・ファンにとってはマニアなライブなのでしょう





ただ、アレンの両親なども登場し
アレンの家族とのやりとりは確かに面白いのですが
(アレンのシニカルで神経質な発言はこの母親譲りだな 笑)
せっかく貴重な音楽を聴けるチャンスなので
もっとライブシーンが多くてもいいと思いました

だいたいライブの途中からインタビューを入れるなんて考えられない
この監督にとってはクラリネット奏者のアレンより
単純にウディ・アレンの私生活に興味があるようです


スコセッシに撮らせたら、絶対感動モノになったのに!
(と、誰もが思ったはず 笑)





それでも、アレンや、アレンの映画を好きな人は
興味深く観ることができる作品でしょう

アレンは本当に女性にやさしくて、いつも気を遣います
そして甘えます
これだもの、モテるわ(笑)



【解説】映画.comより
「地球は女で回ってる」など映画監督としてだけではなく、俳優・作家・脚本家など多岐に渡る才能を発揮しているウディ・アレンクラリネット奏者としても知られる彼が自身のバンド、ニューオーリンズ・ジャズ・バンドを率いてのヨーロッパ・ツアーの模様と、アレンの知られざる素顔を追ったドキュメンタリー。ツアーに同伴した恋人のスン・イーなど、彼の私的な一面も見ることができる。監督はドキュメンタリー作品『American Dream』(日本未公開)などの作品を手掛けたバーバラ・コップル。製作は「ブロードウェイと銃弾」以降、アレン作品のプロデューサーを務めるジーン・ドゥマニアン。製作総指揮は「地球は女で回ってる」のJ・E・ボーケア。撮影はトム・ハーウィッツ。編集はローレンス・シルク。録音はバーバラ・コップルとピーター・ミラー。