映画と恋とウディ・アレン(2011)




「彼は何を言われても気にしない
映画製作者というよりも芸術家の感性」


原題は「WOODY ALLEN: A DOCUMENTARY」
これからアレン映画を見ようとしている
若い世代のムービーファンには
ウディ・アレン入門編」として最適だと思います

少年時代からギャグライター、コメディアン
そして映画監督と歩んできた人生をアレン本人と
「アニーホール」のダイアン・キートン
マーシャル・ブリックマン(脚本家)ゴードン・ウィリス(カメラマン)
ほか、一緒に映画製作した人たちによって
アレンと彼の映画について語るスタイルで構成されています


第一に、コメディ路線からシリアス路線への転身について
転換期は「アニー・ホール」(1977)
ダイアン・キートンと「自分たちの別れまでの映画を作ろう」と
誘ったことも凄いなと思いますが(笑)

アレンがカメラにゴードン・ウィリスを招いたことは
当時としてはとてもセンセーショナルなことだったのですね
ダイアン・キートンが何度作中で「闇の王子よ!」と叫んだことか(笑)
しかし結果そのことは成功し、独創的な映像美は
アメリカ映画界に大きな影響を与えることになります





第二に、アレンがいかに俳優に愛される男かについて
かつて彼の作品に出演した俳優のインタビューでは
アレンは演技指導をほとんどしないと答えていました
ただアレンを喜ばせたいと、いい演技をしようと俳優が自ら願うのです

これにはクリント・イーストウッドと共通点を感じます
自らが俳優としても活躍しているからこそ
ベストアクトを引き出す方法を知っているのでしょう





アレンの前では女優がいい顔するなあ・・

第三に、破局したミア・ファローについて
いかにアレンとミアは良い関係だったか
アレンはミアの才能を開花させ
「サマー・ナイト」(1982)から「夫たち、妻たち」(1992)まで
彼女のために脚本を書いています
それが突然ミアの養女、スン・イーとアレンの関係がミアに知れ
破局を迎えてしまうのです

それでも「夫たち、妻たち」を最後まで撮影したミラのことを
スタッフは頑張ったと言います
次回作「マンハッタン殺人ミステリー」(1993)も
ミラのために書いた脚本ですがミラが降板したため
ダイアン・キートンが代役を務めたということ


これを見ると、ダイアン・キートンは本当にいい女だと思いますね
かっての恋人が生涯の友人でいれるということは
かなり寛大な心でないとできないような気がします


第四に、アレンのプライベートについて
子どもの頃からシニカルだったこと
10代の時タイプライターを買いライターの仕事をはじめ
その古いタイプライターで今も40年以上仕事していること

アレンが作品で好んで使うソプラノサックスのシドニー・ベシェの演奏
ベシェに憧れたアレンが、ソプラノサックスを勉強したが難しく
クラリネットに転向したこと

そんなタイプライターでも、音楽でも
そしてニューヨークにもこだわっていたアレンが
ヨーロッパでロケをするようになり

文科系女優ばかり選んでいたのに、セクシー女優に転向し
今ではカンヌ映画祭にも、妻子が好きだからと出席する

スン・イーによって、アレンはいい意味で変われたと思います





ガイド代わりとして、アレンの代表作を一通りさらってくれるので
見たい映画がきっと見つかるはず

ちなみにアレン・ファンが選ぶベスト3は
「アニーホール」「マンハッタン」「マッチポイント」
ということです(妥当なトコですね 笑)



【解説】allcinemaより
 いまなお毎年1本のペースで精力的に作品を撮り続けるウディ・アレンの生い立ちから輝かしい経歴、さらには創作の秘密に迫る、ウディ・アレン公認のヒューマン・ドキュメンタリー。ウディ・アレンの身内やかつての恋人たち、あるいは歴代のミューズら映画関係者が彼の素顔を披露し、ウディ・アレン自身が自らの哲学や人生観を語る充実のインタビューと、過去作をはじめとした豊富な映像資料をもとに、ウディ・アレンの知られざる人物像を網羅的に紐解いていく。