ヤギと男と男と壁と(2009)

 
豪華キャストの怪演による
ヤギを目ヂカラで殺す訓練をするという
ちょっと風変わりな戦争コメディ
 
原題は「The Men Who Stare at Goats」(ヤギを見つめる男たち)
この覚えにくい邦題は何でしょう(笑)
 
軍隊に超能力とヒッピー思想を取り入れるという
かなり間抜けで、うさんくさいことを
いかつい軍のおじ様たちが取り組むのです
いちばん笑える武器は「キラキラ眼力」(笑)
 
 
しかもこれが実話に基づいているというからすごい
ちゃんとした「実録・アメリカ超能力部隊」という原作もあるそうです
 
 
 
中盤までは、記者のボブ(ユアン・マクレガー)と
特殊部隊「ジェダイの戦士」のリン(クルーニー)が
イラクで旅するロードムービーのような展開
 
これは、ユアン・マクレガーが主演していること自体がギャグなのですね
オビワンが出てきて「フォース」や「ダークサイド」といった単語が飛び交い
SWファンならクスリとしてしまうシーンも多いでしょう
 
 
米軍の「超能力部隊・新地球軍」の設立メンバーだったリンは
陸軍小隊長ビル(ジェフ・ブリッジス)の
「愛と平和の精神」に基づき訓練で頭角を現し
透視能力を開花させ、隊でナンバー2のエスパーとなります
 
 
 
そんなリンの才能に嫉妬した同じ部隊のラリー(ケヴィン・スペイシー)は
超能力開発のために新人をLSDと洗脳実験したところ
廃人にしてしまい、その責任をビルになすりつけます
ビルは隊を追われ、そしてビルを失った新地球軍は
ヤギを使った殺傷実験を始めるようになったというのです
 
 
後半の展開は、リンとボブは誘拐犯に拉致されたり
地雷に吹き飛ばされたりして砂漠を彷徨うことになります
 
そして救助されたヘリで連れていかれた場所は
新地球軍で行っていた特殊能力の実験を続けるための
ラリーが設立した会社だったのです
 
 
 
混浴コミュニティーだとか
男性器におもりをぶら下げたりだとか
何が超能力か全くわからないオバカな修行は
ヒッピー文化、ニューエイジ文化
そして米軍をおちょくっているのだそうです
 
ベトナム戦争敗戦後、米軍にリベラル思想が入り込み
平和主義志向になるかと思いきや
逆にカルト宗教軍団化してしまい
殺人集団になってしまったというオチ
 
 
もう少しシニカルにしたなら作品もカルトになれたのに
ボブが壁をすり抜けるというラストで
肝心のテーマからずれてしまいました
 
残念だったと思います
 

 
【解説】allcinemaより
アメリカ軍が超能力を使った部隊の研究にマジメに取り組んでいた、というにわかには信じがたい事実を暴いたノンフィクション『実録・アメリカ超能力部隊』を基に、米軍極秘部隊の驚愕の実態をジョージ・クルーニーはじめ豪華キャストで映画化した異色の実録ブラック・コメディ。監督は俳優としてのみならず、「グッドナイト&グッドラック」では共同脚本も手掛けるなどマルチに活躍するグラント・ヘスロヴ
 2003年。崖っぷちのローカル新聞記者ボブは、開戦間もないイラク戦争の取材を敢行すべくクウェートへ向かう。そしてひょんなことから、かつて耳にした米陸軍極秘部隊の優秀なエスパー兵士リン・キャシディと出会い、彼の旅に同行することに。やがて自らジェダイ戦士を名乗るリンは、ボブに超能力部隊をめぐる驚愕の顛末を語り始める。ベトナム帰りの軍人ビルがニューエイジ思想の影響の下に創立した超能力部隊“新地球軍”では、“ラブ&ピース”の精神で戦争を終わらせるべく、奇想天外な超能力の研究開発に取り組んでいく。だがやがて、部隊内部での対立がエスカレート、リンとビルは相前後して隊を離れることになるのだが…。