ブラックホーク・ダウン(2001)

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原題も「BLACK HAWK DOWN」 (ブラックホークの墜落を確認)

1993103日、アメリカ軍の統合特殊作戦コマンド(JSOC)が

ソマリア民兵のアイディード将軍の側近二人を捕らえる作戦で

(後に「モガディシュの戦闘」と名づけられる)

1機目のヘリ「スーパー61」が墜落した時の交信

2機目の墜落は「スーパー64」、衛生兵を降ろしたのは「スーパー68」)

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さすがハリウッドの名プロデューサーであり大ヒットメーカー

ジェリー・ブラッカイマー

元祖映像の魔術師リドリー・スコットがタッグを組んだだけあって面白い

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ほぼ史実に基づいた、ドキュメンタリー風エンターテインメント

政治的なことや、戦闘の裏側の意味については解説程度でしか描かない

アメリカ側の視点と感性だけで、余計な感情を煽る演出はすべて排除

ただ命令に従い、市街戦で戦う兵士たちの友情と勇気

戦死しても、誰一人置き去りにしないという熱い思い

そして上官からの命令系統のややこしさ

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だからといって、ソマリア民兵や市民の生活の苦しさ

家族を失った哀しみや、アメリカ軍による莫大な被害もしっかり伝えている

こういう作り方もあるんだと考えさせられる傑作

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冷戦終結後、ソマリア内戦は泥沼化し難民の飢餓が国際的な課題なっていました

国際連合UN)は食糧援助を行う平和維持活動から

平和強制活動という名の軍事的介入を行

アイディード派による軍事的包囲をやめさせ、飢餓状態を救おうとしていました

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そこで当時の米軍は大統領ビル・クリントン

国連軍とは別に単独で作戦をうことにします

 

任務は当初30分程度で終了する予定でしたが

実際には夜をまたぎ15時間にもおよび

多くの犠牲を払うことになってしまいます

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なぜか

ソマリア民兵によってブラックホークが撃墜されたから

しかも半端なかたちで

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民兵のリーダーたちを捕らえるという任務は成功したものの

車両で展開している地上部隊(デルタフォース)を確認できないまま

ひたすらに戦線を維持します

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やっと車両が到着し人質を乗せるものの

今度は2機目のブラックホークが撃墜されてしまう

パイロットたちが生きているか死んでいるかもわからない

しかしレンジャーたちは救出に向かうのです

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武器と兵力は圧倒的にアメリカ軍のほうが凄いのだけど

ソマリア民兵は殺っても殺っても、大群で押し寄せゾンビそのもの

しかも大勢の市民を盾にし、市民か民兵かわからない

とにかく撃って撃って撃ちまくって前に進むしかない

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援軍が来るのを励みに戦闘を諦めないパイロット

しかし、ついに銃弾は底をついてしまい

衣類は盗まれ、裸にされた遺体は住民に引きずり回される

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104日早朝、ようやく米軍第10山岳師団と

マレーシアとパキスタンの国連部隊が救援にやってきて

午前630分、国連のパキスタン・スタジアムに撤退します

差し出されたコップ1杯の水に生きていることを実感する

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「側近を捕らえる」という「作戦上」は成功しましたが

アメリカ軍は2機のヘリコプターを失い

18名のアメリカ兵が殺害され74人が負傷(後に1人死亡)

国連兵2人が死亡、9人が負傷

ソマリア民兵・市民死傷者は1,000名以上におよび

至上最悪の市街戦として歴史を刻むことになります

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当然、悲惨なシーンが作品の大半を占めるわけですが

それよりも、国のためでも名誉のためでもなく

仲間のために戦っている兵士たちがあまりにカッコいい

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デュラントを助けに行く、デルタフォースのシュガードとゴードン

「自分も行っていいですか?」とハンヴィーに駆け寄る兵士、出撃を決意するトーマス

思い出しただけでもグッとくるシーンがいっぱい

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そしてデルタフォースの古参兵"フート"ギブソンを演じたエリック・バナ

「故郷に戻ると皆に聞かれる“お前は何故戦う? 戦争中毒なのか?”と」

「俺は何も答えない、連中には何故俺たちが戦うのか分からないからだ」と

エヴァーズマンに言い残し、スティールたちレンジャー隊と

再び戦地に戻っていく

捕虜になったアメリカ兵と、残してきた遺体を取り戻すために

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これは反則(笑)

エリック・バナに痺れずにはいられません

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始めた理由がなんであれ、始めた以上は最後までやめることができない

それが戦争

そして兵士たち(敵国の民兵も)は「英雄」でも「人殺し」でもなく

私たちと同じ、家族も、思いやりも、常識もある

普通の「人間」であることにかわりはないのです

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戦争がどのように人の命を奪い、悲惨なのか

わかりやすいし、感情移入できる

もっと上位ランキングになってもいいはずなのに

公開からわずか20年で「映画遺産」になってしまったひとつ





【解説】allcinema より

かつて、米ソ冷戦時代、アメリカはエチオピアを支援するソ連に対抗してソマリアへの資金援助、武器供与を続けた。やがて、ソ連邦崩壊による冷戦終結とともに戦略的価値の低下したソマリアから手を引くアメリカ。米ソ撤退後、ソマリアでは氏族間の対立が表面化し、冷戦時代にもたらさされた大量の武器が内戦を激化させることとなる。世界の警察官を自負するアメリカは内戦を終結させるべく軍事介入するが、敵対するアディード将軍の本拠地への奇襲作戦に失敗、数百人のソマリア人と18名の米軍兵士の死者を出す結果となった。この時、米兵の死者がソマリア市民によって引きずり回されるシーンがテレビによって全米に放送された。これを機に、クリントン政権ソマリアから完全撤退、軍事介入は完全に失敗に終わった。米軍が経験したベトナム戦争以来最大の銃撃戦となったこのアメリカの軍事作戦を「グラディエーター」のリドリー・スコット監督がジョシュ・ハートネットユアン・マクレガー主演で映画化した衝撃の戦争アクション。“市街地戦”という究極の無秩序、混沌状況における壮絶な戦闘シーンを臨場感たっぷりに描く。
 1993年、泥沼化する内戦を鎮圧するためソマリアに兵士を派遣したアメリカ。なかなか収束しない内戦に焦り始めたクリントン政権は、103日、ついに敵対するアディード政権の本拠地への奇襲作戦を決行するため特殊部隊を投入した。作戦はものの1時間足らずで終了するはずだった。しかし、敵の思わぬ逆襲に遭い、ヘリコプター(ブラックホーク)が撃墜されてしまう。敵の最前線で孤立する兵士たち。やがて、救助に向かった2機目も撃墜されてしまう。その間にも、兵士たちは必死に応戦するが、一人また一人と仲間が倒れていく……。