にがい米(1948)

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原題も「RISO AMARO」(苦い米)

面白かったですね

まず田植えが背景になっているところ

イタリアはパスタの国というイメージが強いですが

実は水田面積は日本よりはるかに多く

ヨーロッパでは主要な米の生産国であるということ

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舞台は19485イタリア北部のトリノから始まります

そこにはイタリア中から集まった出稼ぎ労働者、それも女性ばかりが

ヴェルチェッリ行きの列車を待っています

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日本より気候は暖かいのでしょうか

女たちは徴兵の軍隊によって残された寮に収容され

お喋りは禁止で歌で思ってることを表現する

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太ももも露わな薄着(ほぼ下着 笑)で田植えをし

駄賃は現金ではなく収穫した米

重労働にもかかわらず、重いコメを田舎まで持ち帰るほうが大切とは

それだけ当時の食糧事情は乏しかったのでしょう

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その女たちに紛れ込むのが

警察に追われている泥棒のワルテル(ヴィットリオ・ガスマン)の愛人

フランチェスカ(ドリス・ダウリング)

しかも彼女はワルテルから預かった盗品のダイヤのネックレスを預かっています

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フランチェスカが隠したネックレスを偶然見てしまった

シルヴァーナ(シルヴァーナ・マンガーノ)は

その宝石の虜になってしまいます

贋作だとも知らずに

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実直でシルヴァーナに夢中の兵士のマルコ(ラフ・ヴァローネ)ではなく

ダンスがうまく強引なワルテルに夢中になってしまいます

しかも彼が収穫された農場の米を盗むという計画にまで

加担してしまうのです

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やはりいちばんの見どころは、シルヴァーナ・マンガーノ

ちょっと太目で、いかにも健康的な肉体が眩しい

(わき毛が気になりすぎる 笑)

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対称的に細目で都会的、モデルのようなドリス・ダウリング

ほかにも赤ん坊を抱いた年増の女や、蓮っ葉な女たちなど

女性賛美するイタリア人らしく、女性の撮り方は実にうまい

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ワルテルの悪だくみに気付いたフランチェスカ

マルコに協力を依頼します

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40日間の田植えが終わり、祭りの最中シルヴァーナ は水路の堤防を外し

洪水をおこし田植えの終わった田んぼを溢れさせます

慌てた女たちはスコップを持ち田んぼから水を排水する

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しかし盗んだ米を積んだトラックはぬかるみにはまってしまい

(米の扱いがまるで土砂 笑)

ネックレスは偽物だと知ったシルヴァーナは

ワルテルを射殺してしまいます

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こんな男に身体を捧げたうえ、仲間を裏切ってしまうなんて

後悔してもしきれない

そして自らも飛び降り自殺してしまいます

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翌朝、故郷に帰る女たちは

この浅はかで、純真で、哀れな女の遺体に

貴重なひとにぎりの米を撒いて去っていくのでした

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さすがネオリアリズモの傑作のひとつ

最初から最後までカット割りのかっこよさ

しかも記録映画のようなリアリティ

そしてタイトルがいい

「にがい米」だけで映画のストーリーを思い出せる

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ちなみにこの作品で世界中の男たちを虜にした

当時18歳のシルヴァーナ・マンガーノ

名プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスに見初められ

翌年結婚したそうです(59歳で死別)

 

 

【解説】KINENOTEより
ルイジ・デ・ラウレンティス(「シーラ山の狼」の製作者ディーノ・デ・ラウレンティスの弟)が製作を担当した一九四九年度作品で、ディーノは蔭で製作を統括した。「荒野の抱擁」のジュゼッペ・デ・サンティスの監督作品で、「荒野の抱擁」と同様彼とカルロ・リッツァーニ、ジャンニ・プッチーニの協力ストーリーから、以上三人とコルラード・アルヴァロ、カルロ・ミュッソ、イーヴォ・ペリッリが脚本を執筆している。撮影は「戦火のかなた」「荒野の抱擁」のオテロ・マルテリ、音楽はゴッフレード・ペトラッシの担当。主演は「シーラ山の狼」のヴィットリオ・ガスマン、「白い国境線」のラフ・ヴァローネ、アメリカ女優ドリス・ダウリング(失われた週末)と「シーラ山の狼」で日本に紹介されたシルヴァーナ・マンガーノが初めて大役に抜擢されて主演する。他にマリア・グラツィア・フランチャ、チッコ・リッソーネらが出演。北伊ポー河流域の水田地帯に、毎年多数の女が田植え・田草取り労働に出稼ぎする。これらモンディーナと呼ばれる女達の生態をドキュメンタリ的にとらえながらイタリア戦後派人物群のメロドラマを展開する作品で、現地ロケの効果を生かしたデ・サンティスのダイナミックな演出と、シルヴァーナ・マンガーノの魅力とで評判になった。