白熱(1949)





タイトルがいいです、とてもシンプル
これだけで、とてもいい映画の香り

古典的名作と数えられている作品のひとつだそうです

とにかく凶暴な強盗で、用心深く、人の命などなんとも思わない
そんなギャングのボス、コーディ(ジェームズ・キャグニー

だけれど超マザコン(笑)
(ママは「ヨーク軍曹」でも、さすがのママ)

そして女性には甘いフェミニストなのでしょう
浮気癖のある、嘘つきで強欲な
妻も簡単に許してしまいます
極悪人なのに、その人間らしさが絶妙

男の子をもつ母親の心情もよく伝わりましたね
たまたま悪い道に、悪い仲間に、悪い女に
かかわっただけ

違う道を目指したなら
成功したかもしれないのに
世界一になれたのかもしれないのに

家族の関係、心理的な描写
これがギャング映画の帝王俳優キャグニーの演技
人間的な魅力を見せつけます

ラストのガスタンクとの自爆も凄まじかったですね
やはり傑作でしょう



【解説】allcinemaより
この映画や「死の谷」など、ウォルシュの絶好調時を思うと、今のハード・アクションなんてちゃんちゃらオカシくって観てられない。暴力は溢れてるけど、映画自体の活動(アクション)が無いんですよ、今の映画は。もう出だしの列車強盗からして凄いよ、こっちは。汽車がトンネル入って、アッと思うと一件落着してんだ。とにかくキャグニー、本気で狂ってるもの。超マザコンでさ、母ちゃんの言うことは何でもハイハイよく聞くのに、仲間の意見には耳も傾けない独善ぶり。唯一信頼を置くムショ仲間が、警察のスパイ(E・オブライエン)ってのも皮肉で、この辺の伏線の張り方は見事。女房(V・メイヨ)と部下(S・コクラン)の姦通を知るや、あっさり彼奴をバラし、母も死んだヤケのやんぱちで、大化学工場の給料ドロのヤマをふんで、警官隊とめちゃくちゃな銃撃戦をし、親友の裏切りもなんのその、最後は呵々と笑って、石油タンクに火を放って自爆しちゃう。犯罪者の鑑だね。ここまで徹底してワルやってくれると、なんかスガスガしい。ウォルシュ演出(得意の叙情は一切無し)も超特急で、有無を言わせぬとはこのことだ! 観てるうち、自分もバリバリ人を殺してる気にさせるヤバ~い映画。後に「法律対ギャング」としてリメイク。