原題は「LES LYONNAIS」(ザ・リヨン)
ひさびさに痺れる映画に出会えました
重厚で緊迫感あふれる演出
しかも超かっこいい
通称モモン(ジェラール・ランヴァン)の孫の洗礼式に集まった
モモンの家族と友人たち
そのとき、かって「リヨンの男たち」と呼ばれた強盗団の
元仲間のセルジュ(チェッキー・カリョ)が
娘のリルと孫に会いに行き警察に捕ったという連絡がはいります
モモンと友人たち、リルの夫とその仲間はセルジュを救い出そうとし
見事成功ますが
セルジュを追うスペインの麻薬組織ゼルビブ一味からセルジュだけでなく
モモンを含め「リヨンの男たち」元メンバーや家族までが
命を狙われることになります
フランスのギャングは仁義と義理(友情ともいえる)を
それこそ命懸けで大事にするのですね
そのかわり裏切り者は容赦しない、しかもただでは殺さない
それは警察も同じで、犯罪を犯したギャングは死ぬ寸前まで拷問されます
そのかわり密告者にはかなりの恩赦を与える
モモンは警察と、麻薬組織両方からセルジュの居場所を尋ねられます
しかし決してモモンは口を割らない、かっての親友を裏切らない
モモンはロマ族でジプシーのキャンプで育ち
幼い頃から差別され、同年代の子たちからは虐められてきたんですね
それを助けてくれたのがセルジュだったのです
ふたりが17歳になったとき、ふざけての一握りのサクランボを盗んでしまい
それが思わぬ重罪となり刑務所に入れられてしまう
それからふたりは窃盗などで生計を立てるようになり
大物ギャングに見込まれ強盗団に入り働くようになります
しかしモモンに恋人ができ、彼女が妊娠したことで
モモンは足を洗い、独立しようと考えます
そのためには大物ギャングとその部下を消すしかない
主人公たちと殺す、殺される側の的確なアングル
アジトのトレーラーハウスになだれ込む圧倒的な数の警官隊
首を吊られる愛犬
ベッドに放り込まれる生首
リアルな描写にぞくぞくする
伏線の使い方も非常に良く出来ていて
クレジットカードの流れから
武士の情けを思わせる、辛いラストシーンまで
一気に見せてくれます
その、枯れた爺さまたちの渋くて素敵なこと
まるで私のためにあるような映画(笑)
唯一の難点は現在の主人公たちと
若い頃を演じた俳優の顔が似ていないということ
しかし100分で見事にまとめ上げたコンパクトさ
思わず続けて2回見てしまいました(笑)
久々のお気に入り献上です
【解説】allcinema より
「あるいは裏切りという名の犬」のオリヴィエ・マルシャル監督が、フランスに実在した伝説のギャング、エドモン・ヴィダルの自叙伝を基に、彼の激動の半生とギャング同士の熱き友情を、フィクションを織り交ぜ骨太に描き出した犯罪ドラマ。主演は「この愛のために撃て」のジェラール・ランヴァン、共演に「ニキータ」「ドーベルマン」のチェッキー・カリョ。
フランス犯罪史にその名を刻むギャング、エドモン・ヴィダル(通称モモン)。しかしとうの昔に足を洗った彼は、還暦を迎えた今、犯罪とは無縁の穏やかな日々を送っていた。そんなある日、かつて数々の犯罪を一緒に行ってきた幼なじみの親友セルジュが、13年の逃亡の末に捕まったことを知る。最初は愛する家族のために傍観を決め込むモモンだったが、セルジュとの友情を断ち切ることが出来ず、彼を奪還するための計画に手を貸してしまう。