マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(2011)

 
「言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。
 やってほしいことがあれば、女に頼みなさい」
 
 
メリル・ストリープが素晴らしい。
 
役を演じるのではなく、自分の中に取り込む・・
本人になりきっていて、もはや演技には見えません。
長年にわたって主役級を演じ続けている
これが大女優の実力。
 
元イギリス首相、マーガレット・サッチャー氏(1925-2013)。
少女時代から下院議員、そして首相となってからの強硬な政策を
晩年、認知症となった彼女の回想というかたちで描いていきます。
 
イギリスってレディーファーストで
紳士の国のイメージが強かったのですけれど。
1950年代はまだ見事な男社会、階級社会。
女性が社会進出することがいかに厳しかったのかがわかります。
 
しかしどんなパワハラ、セクハラにも負けない
しがらみにもとらわれない、最後まで自分の信念を貫く。
だけどサッチャー氏の経済改革や反共主義
猛烈な抗議を巻き起こすこともありました。
 
そんな彼女を「鉄の女」と批判した旧ソ連メディア。
しかしそのあだ名をサッチャー氏自ら
気に入ってしまったというのだから(笑)
本当に強い、強い女。
 
でも夫のことは本当に愛していたのですね。
外弁慶というのでしょうか
料理上手とか家庭的な女性でなかったでしょうが
夫には素直で良い妻であったような気がします。
 
彼女の政策がすべて正しかったわけではないでしょう。
だけど女性の地位向上、政治への参加の道を
大きく切り開いてくれたことは確かだと思います。
 
働く女性に見てほしいですね。
そして「あなたも負けるな」と言いたい(笑)
そんな作品でした。
 

 
【解説】allcinemaより
主演のメリル・ストリープがみごとアカデミー主演女優賞を獲得した伝記ドラマ。男勝りの決断力とリーダーシップで“鉄の女”の異名をとった英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの人生と知られざる素顔を家族との関わりを軸に描き出していく。共演は「アイリス」「家族の庭」のジム・ブロードベント。監督は「マンマ・ミーア!」のフィリダ・ロイド
 孤独な晩年を送る86歳のマーガレット・サッチャー。すでに他界した夫デニスの幻想を相手にしてしまうこともしばしば。そんな彼女は、ふと自らの人生を振り返る。市長も務めた父の影響で政治家を志すようになったマーガレットは、やがて下院議員選挙に立候補するがあえなく落選。失意の彼女を実業家のデニス・サッチャーが優しく励まし2人は結婚。子どもにも恵まれ、幸せな家庭を築くが、政治への意欲を失わないマーガレットは、ついに下院議員への当選を果たす。男たちが支配してきた世界に飛び込んだマーガレットは、様々な困難に強靱な意志で立ち向かい、着々と政界での地位を高めていくのだが…。