恋におちて(1984)


デヴッド・リーン監督「逢いびき」のリメイク

今でいうダブル不倫

 

しかも不倫とはまったく無関係のような

妻子ある普通のサラリーマン、フランクと(デ・ニーロ)と

裕福な主婦モリー(ストリープ)が

突然恋に「おちて」しまいます

 

 

クリスマス近いある日、プレゼントを買い込んだふたりが

本屋の通路でばったり、床に荷物を落として

お互いのパートナーへのプレゼントの本が行き違ってしまいました

 

その半年後、偶然地下鉄で再会したふたり

ごく日常的な挨拶を交わして、さようなら

でも、なぜか相手のことが気になってしまいます

 
あ~、「ときめき」ですね()

ずっと長い間忘れていた「ときめき」が蘇った

 

フランクは改札で、再びモリーに逢えるかも知れないと待ち続けます

でも心の中では「なにをやっているんだ」という気持ちも芽生えます

諦めかけて帰ろうとしたとき、彼女はやってきました

 

モリーは入院している実父のお見舞いのため

フランクは通勤のため、いつしか駅から駅までを一緒に過ごすようになり

時には食事デートもするようになります

 

男性と女性って、この時期がいちばん楽しくて

いい時期かも知れませんね

友だち以上、恋人未満

 

ついにふたりは一線を超えようとします

でもしなかった

正確には女性の方が「やっぱりできない」と断ります

 

なぜ、できなかったのか

私にはわかりません()

 

やがてモリーの父親が死に

連絡手段であった病室と電話がつながらなくなり

電車で彼女と逢う機会もなくなってしまいます

ニューヨークからデトロイトへの転勤を決めるフランク

そして妻に彼女との関係を話してしまうのです

(隠し通せよ)
 

妻は夫の変化に気が付いていました

なにもなかった(精神的不倫)ほうが余計悪いと夫を罵る

 

どこまで浮気を許すか、主婦の座を守るかって個人差があると思いますけど

他の女性と話をしただけで嫉妬するオンナも多いですからね()

でもヤキモチも真っ黒こげになるまで焼くより

ほどよい色加減でやめておいたほうが可愛い女でいられると思います

 

デトロイトに旅立つ日「最後に一目だけ逢いたい」とモリーに電話する

モリーの夫は「もう電話しないでくれ」とフランクに言います

彼女の夫も妻の変化に気が付いていたのです

 

時間ギリギリまでモリーを待つフランク

(もっと早く連絡してやれよ)
雨の中車を飛ばしフランクに逢いにいこうとするモリー

だけど長い長い踏切がふたりの間を拒むのでした

 

でも縁があれば、人間必ず再会できるものだと私は信じています

二度と逢えないということは、それきりだということなのです

 

そして再びのクリスマス・シーズン

同じ本屋で再会するフランクとモリー

 

あとの展開は視聴者の想像にまかせて

ここで見つめ合うふたりでジ・エンドだったほう

が私的にはよかったと思います

電車に飛び乗りキスシーンは蛇足でしょう

でも全体的に見やすく、見終えたあとも爽やかな印象

 

どんなに満たされていて、どんなに家庭の平和があっても

人の心は動くときは動いてしまうもの

そんな普通の人間をデ・ニーロとストリープが好演しています

 

【解説】allcinemaより

いくつになっても変わることのない恋愛感情を、デ・ニーロとストリープの名優共演で描いた大人の純愛(不倫)映画。クリスマス・イヴのニューヨークの書店で運命的な出会いをしたフランクとモリー。ふたりは同じ通勤列車に乗り合わせた事をきっかけに急速にお互いを意識し始め、デートを重ねる度に精神的にも魅かれ合って行く。だが、それぞれには申し分のない家庭があり、いけないと思いながらも互いの感情を抑えられなくなってきた頃、双方の家族に浮気がばれてしまう……。おしゃれで上品なニューヨーカーの生活ぶりを生かし、それでいて“十代の恋”のような切ない感覚を思い起こさせる素晴らしい脚本が雰囲気を盛り上げる中、二人の演技が実に自然なムードで展開するまことにロマンチックな大人の恋愛作品。キメの細かい二人の心情描写(駅でモリーを待つフランクの描写や、着て行く洋服に迷うモリーなど)を積み重ね、ゆっくりと次第に大きくなっていく二人の感情を描き出した監督の力量も素晴らしい。また、デ・ニーロの“普通のおじさん”ぽい姿や、ストリープの柔らかな美しさもいい。