シャーロック・ホームズの冒険(1970)




ビリー・ワイルダー版ホームズ。
ワイルダー監督らしくコミカルで見やすいですね。

ホームズの明かされる事のなかった事件簿。
コナン・ドイルの原作の映画化ではなく
オリジナルの脚本ということです。
原題は「private life」というだけあって
推理よりもホームズとワトスンの私生活のほうに重点がおかれています。

出産を望むロシア人の有名プリマから
相手になってほしいと頼まれるホームズ。
謝礼は何とストラディバリウス!
それは困った、でも女性の誘いを断るなんて失礼だし
ホームズは自分はチャイコフスキーと同じと言って逃れます。

楽しく若い女バレリーナとダンスをして楽しんでいたワトスンは
そんなホームズのお相手だと思われてしまいます。
ダンスの相手はいつの間にか男性ダンサーに。
「バレエ界には多いのよ」と美男子たちから
熱い眼差しで見つめられてしまい逃げ出すハメに。

そんな噂が世間に広まるのは時間の問題
さあ大変だと騒ぐワトスン。
そういえばホームズは女性と付き合ったことがあるのか?
もしかしたら本当に・・・

そこにホームズの住居の住所が書いた紙きれを持った
テムズ川からひきあげられた記憶をなくした謎の美女が現れます。

ワイルダー・ワールド炸裂!笑
こんな作品が埋もれていたなんて全く知りませんでした。
クラッシックではありますが風情があります。
ビクトリア朝の町並みなど美術も大変素晴らしい。

女性はガブリエルという名で行方不明の夫を探しに来たのです。
ホームズの兄、マイクロソフトはこの事件にかかわるなと警告してきます。
止められると余計に気になる。笑

日傘でのモールス信号
変色した指輪
聖書ヨナ記
丁寧に組み立てられた伏線も楽しい。

ホームズ、ワトスン、ガブリエルの
謎を解くためのスコットランドまでへの珍道中。

古き、良き、のんびりとしたコメディミステリー。
ワイルダー監督ファンには絶対オススメです。



【解説allcinema】より
 B・ワイルダーによる、小粋でひねりをきかせたホームズ譚。ある夜ホームズの部屋に担ぎ込まれてきた記憶を失った美女。ホームズの推理で記憶を取り戻した彼女は、あらためて行方不明の夫の捜索を依頼する。やがてその事件は、ネス湖の伝説の怪獣へと彼らを導いていく……。兄のマイクロフト役のC・リーがカッコイイ。