アパートの鍵貸します(1960)




人生にはモテ期が何度かくるというけれど
それって男性と別れたときに集中するような気がします(笑)
映画でも、そんな物語が多いですよね。

クリスマスには定番な名作のひとつ。
妻子ある上司が若い娘と逢引きする・・
保険会社で働くバドは、そのために自分の部屋を提供します。

不倫ものですが、そこは巨匠ワイルダー監督
振られ方もチャーミング、ドロドロしていませんね。
見終えたあとは晴れやかな気分にさえなれます。

最初は自分の小遣い稼ぎのため、出世のため
女好きの上司たちのために食事とお酒を用意し部屋を貸す。
でも部長の愛人はなんと密かに思いを寄せていたエレベーターガール、フラン。

仕事では快活でユーモアのセンスがある素敵な彼女。
だけど部長の不倫相手は自分だけじゃなかった。
奥さんと離婚するなんて嘘、ずっと裏切られていた・・・
彼女はバドの部屋にある睡眠薬を大量に飲んでしまいます。

その時からバドは急激に変わるのです。
フランの命を助ける、もう自殺させない。
自分のことより、出世より
恋を、彼女を選んだ瞬間。

冴えない男と、バカな女
だけど誠実さが、純粋さが
男を強く、素敵にしていきます。
間違えられて兄に殴られたときの、バドの幸せそうな顔。

古典ラブストリーの中でもさすがの傑作。
何度か目でも、やはりいい映画でした。



【解説】allcinemaより
出世の足掛かりにと、上役の情事のためにせっせと自分のアパートを貸している会社員バド(レモン)。だが、人事部長のシェルドレイク(マクマレイ)が連れ込んで来たエレベーターガールのフラン(マクレーン)は、バドの意中の人だった……。B・ワイルダー監督・脚本(ダイアモンドとの共作)による都会派コメディの代表作。鍵やテニスラケットなど小道具を上手く使い、サラリーマンの悲哀と恋物語を鮮やかに描出している。主人公バドのやるせなさを見事に体現しているレモン、またレモンならずともほのかな恋心を抱かせるマクレーン(オスカー候補)の可愛らしさ、これがなければ、いかにワイルダーとは言え、ここまでの名作とはならなかったであろう。本作に憧れて作られた日本のTVドラマの何と多いことよ!