ニンフォマニアック Vol.1 (2013)


 
 
「何も感じないわ!何も感じないのよ!」
 
 
「奇蹟の海」よりは受け入れられましたけれども。笑
映像と裏腹に台詞は抽象的で文芸風。
過激なセックスシーンがあるものの
ポルノやAVというよりは哲学的な作品でしょう。
 
女性が「感じるため」の度がだんだんと過ぎていき
より過激な刺激を求めていく・・
そういう過程を描いているのだと思います。
ヒロインのジョーにとっては色情や多淫・・
性の欲望を満たすことがすべてなのです。
 
怪我を負って倒れていたジョーを見つけた謎の初老の男セリグマン。
救急車も警察も呼ばないでという彼女を家に連れて行き介護します。
彼女にいったい何があったのかと尋ねるセリグマン。
ジョーは思いつくことから、少しづつ自分の過去を話し始めます。

男を多人数ひっかける話を 渓流釣りにたとえたり
エドガー・アラン・ポーの断酒によるせん妄を語ったり
フィボナッチ数だの、バロック音楽だの、とても博学なセリグマン。
 
たぶんジョーのような女性は、見た目や年齢は関係なく
セリグマンのようなインテリな男性は好きなタイプなのだと思います。
自分の父親がそうだったように。
 
この作品で一番インパクトがあったのは3章の「H夫人 」。
ユマ・サーマン演じるH夫人は凄まじかったですね。笑
三人の子供達を引き連れてジョーの部屋にやってきて
「見て!ここが淫らなベッドよ!」と見せつけたり
キレていて怖すぎます、でもリアル。
 
5章の「リトル・オルガン・スクール」が一番落ち着いて見れるかも。
唯一心があり、バッハのポリフォニーとジョーのセックスを対比させた演出は
美しく良く出来ていたと思います。
 
主題歌のメタルもなかなか良かったですね。
ラムシュタインというドイツのバンドだそうです。
 
世の中の甘い恋愛映画を嘲笑うような挑発的な作品。
予告を兼ねたエンディングではVol.2はもっと過激そうですね。
複数、SM、暴力・・
 
でもこのラストなのです。
もうVol.2も見るしかないでしょう。
 

 
【解説】シネマトゥディより
ダンサー・イン・ザ・ダーク』、『メランコリア』などの鬼才、ラース・フォン・トリアーがセックスを題材にして放つ2部作ドラマの前編。幼少時代から性に執着し、さまざまな男たちと体を重ねてきた女性の思春期から20代までの遍歴がつづられていく。ヒロインにふんする『アンチクライスト』などのシャルロット・ゲンズブールを筆頭に、ステラン・スカルスガルドシャイア・ラブーフユマ・サーマンといった豪華な顔ぶれが集結。実力派である彼らが繰り出すストーリー展開はもちろん、物議を醸した過激なセックス描写にも目を奪われる。