花嫁と角砂糖(2011)

 
 
イラン映画といえば「別離」という作品が
アカデミー賞外国語映画賞などの大きな賞をいくつか受賞したことで
話題になりましたね。
日本でも意外にも多くのイラン映画が上映されてきたようですが
私はたぶんこの作品が初体験になると思います。
 
アラブの国々はとても戒律が厳しいとか
テロリストが多く存在しているのではないかとか
いつも戦争をしているような、そんな勝手なイメージを持っていました。
でも実際のイラン人は、スマフォを使い液晶テレビでサッカー観戦。
女の子はキティちゃんのプリント柄のお洋服。笑
それほど私たち日本人と違わない生活です。
 
家族のありかたなどは、ちょっと昔の日本人や
現在でも田舎の3世代や4世代が暮らす大家族と
似ているくらいなのではないでしょうか。
 
ある家庭の四人姉妹の末妹、バサンドの嫁入りが決まり
結婚式に出席するために親戚中の人々が集まってきます。
お相手の男性は裕福な家庭で外国で仕事するエリート。
集まった女達は、そのことはとても娘にとっても家にとっても
素晴らしいことだと囁きあいます。
 
国の治安や経済には、国民にとってもやはり不安はあるのでしょう。
そんな中、金持ちと結婚できたのは幸せなこと。
バサンドもそのことはよくわかっているのです。
 
だけど本当はバサンドには好きあっている従兄弟がいました。
結婚式でその従兄弟との再会。
でも自分たちの気持ちを、口にも態度にも一切出すことはありません。
ただ寂しい瞳の、見つめる先を床に落とすだけ。
 
結婚式の翌朝におじさんが急死してしまい
急きょお葬式が行われるというドタバタがあったり
料理が足りないと大騒ぎしたり
親せきが大勢集まった時の騒動を親近感いっぱいに描いています。
 
なんとなく昔の邦画の名作のような味わいがありました。
(実際にミルキャリミ監督は小津監督と黒澤明監督の大ファンだそうです)
そして美的感覚の鋭さにはとても感心してしまいます。
ヒロインの表情の撮り方、衣装、背景、綺麗でした。
つつましく、奥ゆかしい。
 
イランには素晴らしい秀作がいくつもあるそうです。
またいつか、素敵なイラン映画に出逢えたらいいなと思います。
 

 
【詳細】NHKネットクラブより
砂漠近くのイランの古都。静かで平和に暮らす家庭がにわかに騒々しくなる。末娘パサントの結婚準備が始まり、姉たちと家族は祝いのうたげをしつらえるのに大忙し。親せきが大勢集まってくるが、みなさまざまな事情を抱えている。そんな中、予想もしなかったある事態が起きて状況は一変。イランの人々の日常と非日常が展開していく。多くの登場人物の会話と心理を丁寧に描写していくストーリーとカメラワークが見どころ。