インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013)

 
 
「金の匂いがしない」
 
60年代、ニューヨークのフォーク音楽シーンの中心人物のひとり
2002年にガンで亡くなったデイヴ・ヴァン・ロンクの回想録。
1週間ほどの間に起こった、彼の不運続きな出来事。
 
めずらしく劇場鑑賞。上映している劇場が少ないので
新宿のちょっとレトロなミニシアターまで行きました。
駅が大きくて、電車を降りてからまず東口まで行き方がわからない・・
まあ、そんなことはどうでもいいのですが。笑
 
見ている最中や、見終った直後は
意味もよくわからないし、あまり面白いと感じませんでした。
だけど時間の経過とともにじんわりと
なんだか良い映画だった、そんな気がしてきたのです。
 
特別な才能や実力はあるけれど、あまりお金にならずそれでは生活できない。
かといってほかの仕事もなかなかできない。
そういう人って世の中には結構いるのかも知れません。
自分の意志を曲げれない、人の意見が聞けない
そして他人から見たらろくでもない、人でなしの生活をしてしまうのです。
 
フォーク歌手のルーウィン・デイヴィ(オスカー・アイザック)
お金も住む場所もなく知人の家に泊まり歩いています。
そんな女友達のひとり、ジーン(キャリー・マリガン)を
ルーウィンは妊娠させてしまい、中絶費用を迫られています。
 
ルーウィンを罵倒し悪態をつくジーンが
あまりに凄まじすぎて笑えます。
ルーウィンはとても女性蔑視な男なのでしょう。
彼と寝てしまったときに
ジーンには許せないことが、きっとあったのです。
 
彼の預かった猫の飼い主に吐いたひどい暴言や
女性シンガー(ナンシー・ブレイクというカントリー界では有名な方だそうです)
に飛ばしたとんでもない野次を思うと
セックスでも女性にひどい発言をしてしまう、そんな気がします。
 
友人の誘いに乗ってシカゴへ向かったルーウィン。
途中で倒れた人間も、猫もおきざりにしていきます。
シカゴで仕事は得られず、帰り道に車で猫を跳ねてしまいます。
ミュージシャンを辞めて船乗りになろうと決心しますがうまくいきません。
なにもかもが不運。
 
ひどい男には、ひどい仕打ちだけがまっているのです・・
 
だけれど、こんなにも自分勝手で
無責任で
自由な
そういう本音で生きる人生にも、また憧れると思うのです。
できないし、することもないでしょうけれど。
 
男性の見る映画でしょう。
女性が見るよりたぶん感動するような
そんな気がします。
 

 
【解説】allcinemaより
ジョエル&イーサン・コーエン監督が、60年代にボブ・ディランらとともにニューヨーク・グリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シーンで活躍したデイヴ・ヴァン・ロンクをモデルに描く感動の音楽ドラマ。才能はありながらも不器用ゆえに成功から見放された名もなきフォーク・シンガーが、猫を相棒に繰り広げる冴えない流浪の日々を、ペーソスとユーモアを織り交ぜしみじみとした筆致で綴る。2013年のカンヌ国際映画祭ではみごと次席にあたるグランプリを獲得。主演はオスカー・アイザック、共演にキャリー・マリガンジャスティン・ティンバーレイクギャレット・ヘドランドジョン・グッドマン。また、「オー・ブラザー!」でもコーエン兄弟とタッグを組んだT=ボーン・バーネットがエグゼクティブ音楽プロデューサーを務める。
 1961年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ。音楽に対してだけは頑固で、それ以外のことにはまるで無頓着なしがないフォーク・シンガーのルーウィン・デイヴィス。金も家もなく、知人の家を転々とするその日暮らしの日々を送っていた。そんなある日、泊めてもらった家の飼い猫が逃げ出してしまい、成り行きから猫を抱えたまま行動するハメに。おまけに、手を出した友人の彼女からは妊娠したと責められる始末。たまらず、ギターと猫を抱えてニューヨークから逃げ出すルーウィンだったが…。