アンフィニッシュ・ライフ(2005)

「ふたりはゲイなんでしょ?」

 

原題は「An Unfinished Life 」(未完の人生)

ラッセ・ハルストレムの本気らしさが感じられなかったのは

登場するのが犬ではなく、猫だったからなのか(笑)

男の子ではなく、女の子だからだったのか

それとも演技達者すぎるキャストのせいだったのか

なんとワインスタイン兄弟が制作した大量の残余作品のひとつで

ミラマックス社の棚に2年間保管されたのち

公開されたということ(日本では未公開)

思わず、ジェニファー・ロペス

ハーヴェィ・ワインスタインの誘いを断ったせいか?と

勘ぐってしまいましたが(笑)

制作者側と問題を起こしたのはハルストレムのほうだったそうです

何が原因だったのでしょうね

恋人のゲイリー(ダミアン・ルイス)から

日常的にDVを受けているジーン(ジェニファー・ロペス)は
11歳の娘グリフに、次に暴力を受けたら逃げると約束したと責められ

車に荷物を詰め込み、あてもなく旅にでますが車が故障

通りすがりのバイクに助けられ、とりあえずの荷物だけ持ち

交通事故で死んだ夫グリフィンの父親アイナー(ロバート・レッドフォード)が

牧場を営むワイオミングにある小さな村を訪れます

突然のジーンの訪問に、厳しい態度のアイナー

しかしグリフがグリフィンの子だと聞かされると

お金が貯まるまで部屋を貸してほしいというジーンの頼みに

しぶしぶ応じるのでした

同じ頃、村に1年前アイナーの牧場を襲った熊が現れ

アイナーの隣人で幼馴染のミッチ(モーガン・フリーマン)は

アイナーの牧場の牛を守ろうとし、熊に襲われ重傷を負ってしまいます

今でも歩けず、モルヒネが必要なほど痛みに苦しんでいました

アイナーは毎日ミッチに注射を打ち、食事を届け

ミッチがこんな身体になったのは

(息子が死に、妻が出て行ったせいで)自分が酒に酔いつぶれ

その場にいなかったせいだと責任を感じています

(その日から禁酒も誓った)

熊を見つけたアイナーは熊を銃殺しようとしますが

熊は保護され動物園に預けられることになります

村に2つしかないダイナーのひとつで働くことになったジー

(小さな村なので皆がジーンの過去を知っている)

そこで保安官のカーティスジョシュ・ルーカス)と知り合い

カーティスが彼女に気があることを察してか

ゲイリーからのストーカー禁止法?の書類を見せ

守ってもらえるよう彼を頼ります

娘のグリフは、母親が男にかまってばかりのせいか逞しい

勝手にあるものでサンドイッチを作って食べ

アイナーからミッチにもサンドと飲み物を届けるよう命令される

傷跡だらけのミッチを見てたじろぐものの、彼女は聡明な女の子なんですね

素直「はい」と従う潔さ、牧場の猫たちに名前を付け可愛がり

(父親のものだったのだろう)古いツリーハウスで過ごすのがお気に入り

ミッチはグリフが、死んだグリフィンそっくりだと言います

アイナーはグリフとミッチに頼まれた熊の餌やり(ハチミチがポイント)をしたり

乗馬を教え、輪投げを教え、車の修理を教え

車の運転まで教えてしまう(笑)

アイナーの片腕として牧場の仕事を手伝うグリフ

さすがの頑固で融通のきかないアイナーでも

これはもう1000%俺の孫に違いない(笑)

しかしグリフィンの墓や、自宅付近に煙草の吸殻が見つかり

ジーンの恋人ゲイリーがやって来たことに気付きます

カーティスによると村のモーテルに泊まっているということ

ただしアイナーは無断で家宅侵入でもされない限り

ゲイリーを撃つことはできないし

警察も事件を起こさない限り逮捕できないことを告げられます

アイナーはジーンに、ゲイリーとちゃんと別れていなかったのか

グリフィンを死なせただけじゃない

保安官のことも弄(もてあそ)ぶつもりなのか、と詰め寄ります

アイナーの言っていることに間違いはない

確かにロデオチャンピオンだったグリフィンが死んだのは

会場に向かう途中、自分が居眠り運転したせい

でも私だけが助かったのは、きっとお腹にグリフがいたから

そう言い残すとグリフを連れ出て行くのでした

ダイナーの同僚ニーナの世話になることになったジー

ところがグリフはおじいちゃんのところに帰ってしまう

グリフを追おうとするジーンに、ニーナは自分の娘が川で溺死したことを教えます

それはほんの1分目を離しただけだった、その1分を取り戻したい

子どもを失うこと以上の苦しみはないのよと

(アイナーと和解することが最良の策)

おじいちゃんのところに戻ったグリフは

ミッチから「熊を森に返してくれ」と頼まれたアイナーに協力

(人間に危害があるからと、生態系を狂わせるべきではない?)

しかし熊の救出中、グリフが誤ってトラックのギアを押してしまったせいで

アイナーは荷台から転落し骨折、熊は逃げ出してしまいます

アイナーが病院で治療を受けている頃

熊は牧場に向かい、ミッチと対峙していましたが

ミッチの念が通じたのか、熊は振り向きそのまま森に帰ったのでした

逃げた熊が心配で病院を抜け出したアイナーは

そこにやって来た、ゲイリーの車のタイヤとエンジンをライフルで撃ったうえ

ゲイリーをボコボコに殴ります(ざまあみろ)

それでも救急車を呼んだところは人道的(笑)

これからもここで暮らしてもいいかと尋ねるジーンに

グリフが好い子なのは、育て方がよかったからだと

アイナーは初めてジーンを褒めます

動物園から熊が逃げた重要参考人として

アイナーの事情聴取に来たカーティスは

何も聞かずそのまま引き上げるのでした

世の中には、法律より大切なこともあるのだから

 

 

【解説】映画.COMより

名匠ラッセ・ハルストレムが、ジェニファー・ロペスロバート・レッドフォードら豪華キャストを迎えて描いたヒューマンドラマ。恋人の暴力に耐え切れなくなったシングルマザーのジーンは、11歳の娘グリフを連れて家を出る。行くあてのないジーンは、事故死した元夫の父アイナーが身体の不自由な親友ミッチと共に暮らす牧場に転がり込む。息子の死がジーンのせいだと考えるアイナーは、仕方なくふたりを受け入れるが……。

2005年製作/108分/アメリ
原題:An Unfinished Life