原題は「THE MIRROR CRACK'D 」(鏡の亀裂)
ミステリーとしては傑作と言い難いですが(笑)
いろいろな意味で面白く、興味深かったです
アガサ・クリスティの映画化といえば
とにかく豪華キャストだということ
その中でも本作は特に豪華絢爛ではないでしょうか
エリザベス・テイラー、48歳
キム・ノヴァック、47歳
おじさまになっても二枚目、ロック・ハドソン(この5年後AIDS死)
おじさまになってもチャラい、トニー・カーティス
ミス・マープルのアンジェラ・ランズベリー(ジェシカおばさんにしか見えんがな)
は65歳(1925年生まれの同じ年)
ベスの相手役で若手俳優のピアーズ・ブロスナンは全く気付かない(笑)
リズと ハドソンは「ジャイアンツ」(1956)から
夫婦やってるんじゃないかというくらい息がぴったりだし
キム・ノヴァック(衰えを知らない美貌とスタイル!)と
トニー・カーティスは超楽しそうに演じてる
リズとキム・ノヴァックの笑顔でポーズをとり
コミカルに、そして強力に侮辱しあうシーンは
本気にしか見えません(さすが大女優 笑)
1953年、イギリスのセント・メアリー・ミード村
ハリウッドの大物女優マリーナ・ラッド(エリザベス・テイラー)と
彼女の夫で監督のジェイソン・ラッド( ロック・ハドソン)は
映画会社が開催したレセプションに地元の人々を招きます
ミス・マープルは転んで怪我をしてしまい、退散してしまいますが
マリーナは熱狂的なファンと名乗るヘザーという女性の
退屈な話に付き合わされていました
あまりの長話にマリーナが耐えきれないと思ったのか
ジェイソンはふたりにカクテルを用意
しかしヘザーがカクテルをこぼしてしまったので
マリーナは自分のカクテルを渡しました
その時マリーナの古くからのライバルで新作の共演者の
ローラ・ブリュースター(キム・ノヴァック)が
プロデューサーで夫のマーティ・フェン(トニー・カーティス)と到着
マリーナはローラがやって来たことに激怒しますが
マリーナはローラとカメラに向かってサービス
しばらくするとあたりが騒然とし、ヘザーがソファで息絶えていました
カクテルには致死量の薬物が入っていたのです
その後、遊び心で犯人捜しをしようとしたジェイソンの秘書エラが
花粉症のスプレーに毒物を入れられ殺されます
普通に考えればヘザーにカクテルを用意したジェイソンか
カクテルを渡したマリーナ
ふたりのどちらか(あるいは両方)が犯人だと思うわけですが
まさかのその通り(笑)
謎解きミステリーというより、単純な復讐もの
マリーナは妊娠中に麻疹を患い、産まれた子どもは重い脳疾患でした
そのため彼女は神経症になり女優業も長い期間休養していました
それがまさか復帰のパーティで、マリーナに麻疹をうつした本人が現れるとは
ヘザーは第二次世界大戦中、麻疹の検疫から抜け出し舞台を見に行き
マリーナからサインをもらい彼女の頬にキスまでしたのです
ドイツ麻疹の検疫から抜け出し、テニスパーティにやってきた
熱烈な女性ファンにサインをしたことで自らも感染してしまい
長女は耳が聞こえず、部分的に失明し、重度の発達障害をもって産まれた・・
という実話をもとにしたと言われているそうです
(クリスティは偶然の一致と否定 ← どっちでもいいがな)
ラスト、マリーナは罪人として生きることよりも
美しく死ぬことを選びます
「クレオパトラ」(1963)か!(笑)
ヒロインは死にますが、事件解決が先に立つし
全体的に登場人物もおちゃめで明るいので
重苦しい雰囲気は一切ありません
ただ新型コロナも、妊婦にどのような影響を与えるか
まだよくわかっていないのだから、軽症でも感染の疑いのある人は
安易に他人と接触しないで欲しい、とは
今の時代本気で思いました
【解説】allcinema より
「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」に続いて、アガサ・クリスティのミステリを豪華キャストで映画化した作品。今回は、ミス・マープル物の『鏡は横にひび割れて』を原作に、「007」シリーズのG・ハミルトンが監督し、出演陣にはA・ランズベリー、E・テイラー、R・ハドソン等を迎えている。ロンドン郊外の小さな町で撮影されていた映画『スコットランドの女王メアリー』の歓迎パーティ会場で殺人事件が発生した。推理好きで有名な老婦人ミス・マープルはさっそく独自に調査を開始するのだが……。