何がジェーンに起ったか?(1962)

皆が見ている前で傲慢に「アイスクリームが食べたい」と

パパにねだるベビ−・ジェ−ン

「ブランチにも買ってやってね、パパ」

「ジェ−ンの優しさを忘れないでね」とママ

「死んでも忘れるものですか」とブランチ

原題は「What Ever Happened to Baby Jane?

ベティ・デイヴィスジョーン・クロフォードの不仲説で有名な映画で

原因はフランチョット・トーン(クロフォードの2番目の夫)との

三角関係だったとも言われていますが(笑)

監督のロバート・アルドリッチは何年も

デイヴィスとクロフォードの共演作を考えていて

ヘンリー・ファレルの同名小説(1960) を映画化するにあたって

プロデューサーと合意

当時ベティ・デイヴィス(1908〜89)54歳

姉を演じたジョーン・クロフォード(1904〜1977)57歳

1957年以降主演作に恵まれなかったクロフォードにとっては

スクリーン復帰作となり(ペプシコーラの取締役として生計を立てていた)

デイヴィスはすでに決まっていたブロードウェイの「イグアナの夜」を蹴って

出演を決意したそうです

しかもあのメイクは、デイヴィス自身によるものだそうです(笑)

カメラはデイヴィスがスカーレット・オハラ役で主演を切望していた

風と共に去りぬ」のアーネスト・ホーラー

クロフォードが恐怖のあまり車椅子を回転させるシーンなんて

凄くいいですね

大物女優ふたりの共演が発表されたときからお互いの確執が報じられ

(「ミルドレッド・ピアース」の監督マイケル・カーティス

ミルドレッド役にデイヴィスを切望しておりクロフォードに批判的だった)

撮影中もふたりが不仲だと宣伝されますが

問題は映画が公開された後なんですね(笑)

デイヴィスの演技ばかり評価され、デイヴィスだけオスカーにノミネート

まるでデイヴィスのひとり舞台だと感じたクロフォードは

デイヴィスが受賞しないよう反対運動を行ったうえ

授賞式に出演できなかった主演女優賞のアン・バンクロフト代理人として

オスカー像を手にしたのです

アルドリッチは「ふるえて眠れ」(1964)で

再びデイヴィスとクロフォードの姉妹役を予定していたそうですが

この事件をきっかけにオリヴィア・デ・ハヴィランドの代役が決定

以後クロフォードは生涯デイヴィスとアルドリッチに恨むことになり

アルドリッチを「身の毛がよだつ下品なものを愛する男」と非難しますが

「だから私はミス・クロフォードを愛しているのか」と

アルドリッチは答えたそうです(笑)

1917年、子役スターとして人気絶頂のベビー・ジェーン・ハドソン

ステージは満席、ジェーン人形は多売、父親から溺愛されています

妹の活躍に嫉妬する姉のブランチ

そして1935年、ジェーンは酒浸りとなり

プロデューサーから見る価値もないと映画の公開を打ち切られてしまいます

一方で姉のブランチは演技派女優として成功し大金持ちになっていました

そして車の衝突事故

昔の映画なので気長ですが、運びが巧いんですね

1962年になり、ブランチの主演映画がテレビで放映されています

ブランチは今でも人気で、隣に住むのがブランチだと知った奥さんは

花を届けることにします(奥さんの娘役はデイヴィスの実娘)

かっての事故で下半身不随となり車椅子生活を送るブランチの

世話をしている妹のジェーンは適当に奥さんをあしらいます

 

ブランチに雇われている家政婦のエルヴァイラは、ジェーンは病気で

精神科医に相談し施設に入れたほうがいいとブランチに助言しますが

そのことを知ったジェーンはエルヴァイラをクビにし

ブランチの可愛がっていた小鳥が逃げたと嘘をつき

小鳥やネズミの死骸を食事に入れ

ブランチは何も食べれず飢えていきます

 

ジェーンは幼いころと同じ、真っ白なフリフリのドレスに巻き髪のまま

真っ白な化粧をし、酒で狂ってしまったものの

もの凄く頭はいい

再びベビー・ジェーンとして舞台に立つため

新聞広告でピアニストを募集するブランチ

やって来たのはマザコンでデブで無職のエドウィンでした

金目的なためとはいえ、自称英国人だけあって紳士なんですね(笑)

エドウィンを気に入るジェーン

机の引き出しに残っていたチョコを食べていたブランチは

ジェーンは彼女のサインを真似て小切手を切っていたことを知ります

隣の奥さんに助けを求めるため、窓から手紙を投げるもののジェーンに拾われ

精神科医に至急来てくれるよう電話しているところを見つかってしまう

ベッドに縛り付けられてしまうブランチ

不審に思いやって来たエルヴァイラが、ジェーンが留守を見計らい

ブランチを助けようとしますが

帰って来たジェーンにハンマーで殴り殺されてしまいます

ブランチの車いすを使いエルヴァイラを車に隠すジェーン

いつもナイスなタイミングでやってくる隣の奥さん(笑)

金を受け取るためやって来たエドウィンは、偶然瀕死のブランチを見つけると

急いで逃げ出し警察に通報

 

行方不明になったエルヴァイラの捜査のため警察がやってくると

ジェーンはブランチを車に乗せ海岸に行きます

ジェーンがスターだった時、パパが海辺に家を建てようと約束したから

もう死ぬと悟ったブランチは事故の真相をジェーンに教えます

あの日のジェーンは泥酔していて車を運転できる状態じゃなかった

屋敷の門を開けようと車を降りたジェーンをブランチが殺そうとしたのです

それはずっと美人で人気者だった妹が憎かったから

車をよけたジェーンは逃げますが酔っていて何も覚えておらず

ブランチは門に激突し背骨を骨折、車を脱出し倒れていたところを助けられ

ジェーンが事故を起こしたことにされてしまったのです

 

「私たちは今までずっと仲良くできたということ?」

「アイスクリームを買ってあげる」

姉を許し姉のためにアイスクリームを買いに行くジェーンが

一瞬とても美しく見える

通報を受けたパトロール警官がジェーンを追うと

海岸で日光浴していた人々が集まって来てジェーンを囲みます

昔のように皆が自分に注目している

アイスクリームを持ち踊り続けるジェーン

 

警察はブランチを保護しますが

彼女が生きているか、死んでいるのかは明かされません

 

 

【解説】映画.COMより

かつてベビー・ジェーンという名で子役として活躍したジェーン。そして美しいスターだったが、事故で不具となったその姉ブランチ。年老いたふたりは古い屋敷で隠遁生活を送っていた。ジェーンは酒に溺れ、異常な行動を繰り返し、そのあげく体の不自由なブランチに暴力を振るうようになる。追い詰められていくブランチに、やがてジェーンは……? 女性を主人公にした映画でも数々の名作を残したロバート・アルドリッチ、その代表作とも呼べるサスペンス。ジェーン役のベティ・デイビスは鬼気迫る怪演。

1962年製作/134分/アメリ
原題:What Ever Happened to Baby Jane?