原題は「STARLET」(スターレット =愛犬の名前)
「STARLET」には「小さな星」や「スターの卵」という意味もあるそうです
それにしても毎度のことながら副題でネタバレする配給会社のやり方はなんだ
しかもチワワじゃなくてミックスだし(笑)
邦題のせいで損していますが、評判通りいい映画でした、
ラストは突然で「え?」となりますが、この終わり方でよかったと思います
ヒロインは女友達とその彼氏の家に間借りしていて、テレビゲームばかりやっている
女友達は彼氏にお金を貸していて、借金のカタに車まで持っていかれます
あとから彼女らの職業はAV女優だと判明するんですが
マイノリティってLGBTだけでなく、このような職業も人たちも入るんですね
しかも世間に顔を公表しているので、男性からは好奇の眼差しで見られる
だけど本当の彼女は真面目でやさしい女性
老婆の送迎も親切心からだし、どうにもならない女友達にも優しい
上司の言うことを守り、一緒に働くスタッフに労いの言葉も忘れない
ファンにも笑顔を絶やさず一緒に写真も撮る
どんな仕事でも誠意をもってやっていれば結果が出るし、大きな仕事に繋がっていく
誠意は老婆にも伝わり、老婆から真実を告げられることになります
その時彼女は、自分の真実を伝えることができるのか
【ここからネタバレあらすじ】
ロサンゼルス、女友達のメリッサとその彼氏の家に間借りして
メリッサとテレビゲームばかりしているジェーンは、自室を模様替えしようと
ガレージセール巡りに出かけ、老婦人から花瓶代わりに魔法瓶を購入します
いざ花を生けようとしたら、中には1万ドルもの大金が入っていました
当たり前のように洋服などを買に行き、浪費するジェーン
しかし途中で気が咎め、残ったお金を老婦人に返そうと訪ねて行きますが
返品は受け付けない門前払い、ジェーンはなんとかお金を返そうと
老婦人が家から出てくるのを待ち、老婦人の乗るタクシーを尾行
スーパーで買い物を終えた老婦人を家まで送ると申し出ます
老婦人の家に上がり込んだジェーンはエッフェル塔の置物の多さに驚きます
彼女はパリに憧れていて唯一の趣味はビンゴゲームだと知ります
もっと打ち解けようと「喉が渇いた」とコップに水道水をもらいますが
その水をスターレットに飲ませ、また自分が飲むという仕草に老婦人は激怒
ジェーンは送迎があったら電話してと電話番号を書いたメモを残して去りました
後日ジェーンは老婦人の参加するビンゴ大会に行き、自宅まで車で送る途中
突然老婦人は催涙スプレーをジェーンにかけ、詐欺師だとわめきます
警察が出動する騒ぎとなり、さすがに懲りたジェーンはひとり家へ帰りました
すると(警察から説教をされたと思われる)老婦人から謝罪の電話がきて
また送迎をお願いしたいと頼んできました
老婦人の名はセイディといいました、ジェーンに買い物の送迎をしてもらうと
インスタントコーヒーを淹れてふたりは庭に行き話をしました
ジェーンはそれとなく魔法瓶の話をしますがセイディは「不良品だったか」と聞き
そうでないと答えると魔法瓶の話題はそれきりになってしまいました
セイディはギャンブラーの夫に先立たれ、子どもはいないと言いました
ジェーンはセイディを翌日の朝食に誘います
ふたりはファミレスに向かい朝から食欲旺盛なセイディにジェーンはびっくり
ジェーンが会計しようとすると、すかさずセイディが支払い
夫の職業を覚えているか一生使いきれないほどの大金があると言います
そして免許を返納してから、夫の墓参りをしていないというセイディのため
ジェーンはお墓へ連れて行く約束をします
墓参りのあと、カフェでコーヒーを飲んでいるとメリッサから電話があり
給料を踏み倒されたので事務所まで送ってほしいと頼まれます
ジェーンはセイディを家まで送る途中で彼女を拾うことにしました
セイディが気の強そうなメリッサのことを「何の仕事をしているの」と尋ねると
ジェーンは「派遣会社のようなもの」と答えます
メリッサは事務所で(クスリで仕事をさぼったのに)給料を支払えと騒ぎ出し
社長から1カ月の謹慎を言い渡されました
一方新作の撮影が決まったジェーンは、メリッサにスターレットの世話を頼みます
ジェーンが留守の間、スターレットが札束で遊んでいるのを見たメリッサは
ジェーンの部屋に入り大金を見つけます
ジェーンが帰ると借金のカタに持っていかれたはずのメリッサの車が戻っていて
メリッサはご機嫌でニコニコしていました
セイディが、なぜ雄なのにスターレットという名前かと尋ねると
ジェーンは先に名前を決めてから保護センターに行ったと説明しました
恋人はスターレットだけか尋ねられると、仕事の関係で恋愛はできないと答えます
ジェーンがセイディに夫との馴れ初めを聞くと、動物園でプロポーズされたと言います
早速ジェーンはセイディをその動物園に連れて行きますがすでに閉館していました
移転先に行こうかと誘うと、セイディはここが思い出の動物園だという
ジェーンに何も料金を払わないのは悪いと思っているセイディに
(新作DVDのPRのため出張するので)スターレットの世話をセイディに頼みます
会場はファンとのサイン会や握手会で賑わい、ジェーンは人気があるようで
社長はあと2~3本撮ったら胸に手を加えようと提案
そこに謹慎中のメリッサが彼氏とやって来て勝手に営業し追い出され
社長はジェーンにメリッサと付き合うのはやめるように言います
そのころセイディが庭の手入れをしていると、スターレットがいなくなります
セイディーは必死に近所を探し回り、疲れ切ってしまいました
スターレットは見つかりましたが、仕事から戻ったジェーンに
「もう関わらないで」と家に引きこもってしまいます
メリッサの彼氏が家をAV撮影用のスタジオに改造してしまい
ジェーンの部屋まで無断で撮影場所として使ってしまいます
居場所を失ったジェーンはセイディとパリ旅行を計画します
しかし頑なに拒否するセイディ
そこでジェーンはビンゴ大会に行き「私が勝ったらパリに行く」と勝手に言い出し
売店ですべてのビンゴシートを買って、懸命にスタンプを押しまくります
なのにまさかのセイディがビンゴ!
機嫌を直したセイディは、ジェーンとパリ旅行の計画を立てることにします
しかしパリ行きを知ったメリッサが、大金を旅行に使うなんてどうかしていると
いつか大金を拾ったらどうするかの話を持ち出し、狂ったようにキレてまいます
(メリッサは大金を自分のために使ってくれると思い込んでいた)
メリッサの態度に耐えきれなくなったジェーンは家を出る決意をし
社長が用意してくれたシェアハウスに引っ越します
メリッサは彼氏から「金づるを追い出して家賃はどうする」と責められますが
それでも怒りが収まらないメリッサは、今度はセイディの家に押しかけ
「最初はもうすぐ死にそうな老人に同情しているだけだと思っていたけど
金を盗んだ罪悪感から親切にしているだけ」と暴露するのです
しばらくの間唖然としていたセイディは、パリ行きのスーツケースから
準備した衣類を取り出そうとしますが
パリ行きの日、ジェーンが迎えに来ると
セイディはスーツケースを持って車に乗り込み夫の墓へ寄ってほしいと頼みます
墓の前に着くと「あなたのほうが早いから」花を手向けてきてほしいと頼みます
墓石を見つけると、そこには「偉大なる父親」と刻まれていました
さらにその隣には「愛しい娘」の墓がありました
セイディに娘がいたことを知ったジェーンは
(夫がギャンブラーというのも作り話だろう)
セイディの待つ車へ戻っても声が出ませんでした
【ネタバレあらすじ終了】
ジェーンの母親は薬物依存症のようで、娘と疎遠
それでもジェーンはやさしい女の子だから母親に会いたい
厳しく、時には暖かい眼差しを向けてくれるセイディに母性を感じたのかも知れません
セイディも、だんだんとジェーンを娘のように愛おしく思う
そんな時スターレットがいなくなり、ジェーンに嫌われてしまう恐怖
愛する人との別れはもう二度とごめん、ジェーンを突き放してしまう
メリッサはどうしようもないダメな女の子だけど、ジェーンのことは信じていて
大金を見つけても、没収された車を取り戻すだけネコババして、使い込んだ様子はない
大金はいつか親友(自分)が困ったとき出してくれると思っていた
なのに先のない老婆とのパリ旅行で、大金を使い切ってしまうという
セイディは魔法瓶の中の1万ドルは記憶にないけれど
メリッサのような(頭の悪い)女の子が、作り話をしているとは思えない
パリ旅行をキャンセルするより、お互い本当のことを知る時が来たと悟ったのです
飛行機の中、ホテル、パリ観光時間はたっぷりある
ジェーンはメリッサと違って賢い女の子
セイディから受け取ったバトンの意味をすぐに理解します
ついに本当のことを告白しなければならない
それは大金の話ではなく(ジェーンは返せるし、セイディもお金に困っていない)
最愛(母親)の人に、自分がマイノリティと告げる勇気
ここで映画は終わりますが
もし私がセイディだったら、ジェーンにこう言おうと思います
詐欺でも犯罪でもない、ちゃんとした社長のいる会社なんだろ?
あんたは美人だし、その綺麗な脚で寂しい男を助けるパワーがある
もっと自分の仕事に誇りを持って、世間からの偏見なんて笑い飛ばすのさ
さあパリを楽しもう!
【解説】映画.comよりロサンゼルスを舞台に、若きポルノ女優と孤独な老婦人が織りなす交流を描いたヒューマンドラマ。女優を目指しながらポルノ女優として働くジェーンは、愛犬のチワワや同業の友人メリッサらと一緒に暮らしていた。ある日、ガレージセールでポットを購入した彼女は、その中から1万ドルもの札束を発見する。ジェーンは売主の老女セイディのもとへお金を返しに行くが、ポットを返品しに来たと勘違いされて門前払いされてしまう。困ったジェーンは偶然を装ってセイディに近づき、買い物の送迎をしたり一緒にビンゴゲームに出かけたりするようになるが……。ジェーン役に、文豪アーネスト・ヘミングウェイのひ孫でモデルのドリー・ヘミングウェイ。