マイレージ、マイライフ(2009)


 
 
以前、その人の財布の中を見ればその人の暮らしぶりがわかる・・
そんな話を聞いたことを思い出しました。
財布の中がスッキリ整理されていれば、部屋も整理されているし
小銭やレシートやカードで溢れ返っていれば
部屋も荷物でいっぱいだというのです。
 
「リストラ宣告人」の仕事をするライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)は
一年のほとんどを飛行機で旅して過ごしています。
コンパクトにまとめられた必要最低限の荷物
空港のセキュリティ・チェックをカードをかざすだけでスムーズに通り過ぎる
無駄のないスマートな行動。
 
余計な荷物は持たない主義。
 
そんな彼なわけですから、プライベートでも家族の絆は薄く
結婚願望もありません。
殺風景な部屋でも寂しくなんかないのです。
自分にとって必要最低限の「モノ」だけがあればいいこと。
唯一の生きがいはマイレージを1000万マイルためることだけです。
 
だけれど人は変わります。
どんな時に変わるのか?
それは恋をしたときです。
 
ライアンは旅先のバーでアレックス(ヴェラ・ファーミガ)に出会います。
同じ価値観、お互い理解しあえる、会話の切り返しのよさ
そして大人。
ふたりは意気投合し、ベッドイン。
カジュアルな関係を続けることになります。
 
そして新人社員ナタリー(アナ・ケンドリック)と共に仕事をするようになり
若い女性の感受性の豊かさに、経験が少ないがための失敗や努力に
ライアンは人間らしい心を取り戻していくのです。
 
ついにアレックスときちんとした関係を築こうと決心したライアン。
しかしアレックスには家族がいたのです。
彼女の大人の余裕は夫と子どもがいたからだったのです。
 
もとの旅の生活に戻るライアン。
でも何かが違う・・寂しい。
彼にとってアレックス以上に相性のいい女性はいないのです。
だから余計に哀しい。
 
一生仕事ができるわけでもない。
ずっと若いわけでもない。
そのことに気が付くときがやってきたのです。
 
リストラされる人々を演じたのは
実際にリストラ経験のある一般の人たちだそうです。
ドキュメンタリー風でリアルでしたね、見ていて辛くなりました。
私たちも急に解雇を言い渡されたら、同じような態度をとることでしょう。
 
ジョージ・クルーニーはスーツ姿が一番素敵
ネクタイの似合う男性です。
もしあなたの財布の中身がスッキリしているなら
この作品の主人公に、生き方に、共感するかもしれない・・
そう思います。
 

 
【解説】allcinemaより
「JUNO/ジュノ」「サンキュー・スモーキング」のジェイソン・ライトマン監督がウォルター・カーンの同名小説を基に、現代人を取り巻く様々な問題をスマートに描き出すハートフル・ヒューマン・ストーリー。リストラ宣告人として全米を飛び回り、煩わしい人間関係を回避して身軽で気ままな人生を送ってきた主人公が、2人の女性との出会いをきっかけに、それまでの生き方や人とのつながりについて見つめ直していく姿を、シニカルな中にも優しい眼差しを込めて綴る。主演は「フィクサー」のジョージ・クルーニー、共演に「ディパーテッド」のヴェラ・ファミーガ、「トワイライト~初恋~」のアナ・ケンドリック
 企業のリストラ対象者に解雇を通告する“リストラ宣告人”の仕事で年間322日間も出張しているライアン・ビンガム。自らの講演でも謳っている“バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない”をモットーに人間関係も仕事もあっさりと淡泊にこなし、結婚願望も持たず家族とも距離を置いたまま、ただマイレージを1000万マイル貯めることが目下の人生目標となっていた。だがそんな彼も、2人の女性と出会ったことで人生の転機が訪れる。ひとりは、ライアンと同様に出張で飛び回っているキャリアウーマンのアレックス。同じ価値観を持つ彼女とはすぐに意気投合し、互いに割り切った関係を楽しむことに。もうひとりは、将来を有望視され入社してきた典型的現代っ子の新人ナタリー。彼女は、ネット上で解雇通告を行い出張を廃止する、というライアンの立場を脅かす合理化案を提案、さらには彼女の教育係に当てられてしまう。しかしライアンは、そんな彼女たちと接していくうち、これまでないがしろにしていた人との“つながり”の大切さに気付かされていく…。