ザ・メニュー(2022)

「私は、自分が食べたいものを食べるわ」

 

原題はThe Menu

ジャンルはサスペンス・コメディになっていますが

内容的には、「不条理系映画」寄りだと思います

理屈で理解しようとせず、映画の世界観を感覚的に楽しむ・・

というもの

 

今が旬のアニャ・テイラー=ジョイちゃんが

薄っぺらっぺらのワンピース姿でほとんど過ごしているというだけで

おっさんたちがアニャちゃんの美しさを讃え

☆ひとつが☆4まで跳ね上がったような作品

ちなみに私はアニャちゃんの特別なファンでないので

☆ひとつのままです(笑)

褒めるとここがあるとすれば、洗練されたカメラワーク

デヴィッド・リンチ の「ロスト・ハイウェイ 」や

マルホランド・ドライブ」のピーター・デミングが撮影監督といえば

おわかりいただけると思います

 

専用の船でしか行くことができない孤島に建てられている

予約が取れないことで有名な超高級レストラン「ホーソン」に

料理への造詣が深いタイラー(ニコラス・ホルト)に誘われ

1250ドル(約18万円)のコース料理を食べに同行することになった

マーゴ(アニャ・テイラー・ジョイ)

行きの船の中で手の込んだ牡蠣の前菜が出されると

「普通に牡蠣が食べたい」というマーゴ

それには私も同意見

あれとこれと”マリアージュ”みたいな複雑な味って

美味しいんだか不味いんだか、わからなくなるんですよね(笑)

島につくとマスターエルサホン・チャウ)から

マーゴは招待された客ではないことを知らされます

タイラーはパートナーが急に来れなくなった(フラれた)ため

代役としてマーゴを誘ったんですね

他のゲストは、料理評論家のリリアン(ジャネット・マクティア)と

彼女の編集者テッド(ポール・アデルスタイン)

裕福な常連客リチャード(リード・バーニー )と妻のアン

落ち目の映画スターのジョージ(ジョン・レグイザモ)と

彼のアシスタントのフェリシティーと、ビジネスパートナーのソレンとデイブ

そしてカリスマシェフ、スロウィック(レイフ・ファインズ)の

アルコール依存症の母親リンダでした

究極のフルコースの最初のメニューは

パンに付けるソースだけ(パンはない 笑)

2品目が出される前にスロウィックは父親が暴力を振るろくでなしで

母親を守るために父親の太ももをハサミで刺したという昔話を語ると

ハサミが刺さった肉料理が運ばれてくる

3品目には招待客の悪事がレーザー印刷されたトルティー

明らかに変すぎて食が進まないマーゴ

一方のタイラーは出てきた料理をこれでもかと称えます

逃げようとするマーゴですがエルサに見つかり、トイレを探すふりをします

トイレの窓から外を見ると、大きな羽を運んでいるのが見え

そこに突然シェフのスロウィックが入ってきて

「女子トイレですけど」というマーゴに

なぜ食事を食べないのか、一体何者かと問い詰めます

4品目のメニューの考案者だと、スロウィックが副料理長のジェレミーを紹介すると

突然副料理長が拳銃で自分の口の中を撃ち自殺

その後料理が運ばれます

つまり「死」もコースの中のひとつということ

さすがに手の込んだヤラセ言うもいましたが

こういう余興には耐え切れないと、リチャードが席を立ち去ろうとする

スタッフは留まるよう彼を捕まえ、彼の左手薬指を切ってしまいます

さらにレストランの所有者であるダグ・ベリックが大きな羽根を付けられ

(エンジェル投資家(個人投資家やシード投資家の通称)に対するジョーク)

海に沈められてしまいます

(どこからどう吊るされていたんだよ 笑)

 

5品目は、スロウィックにセクハラされたという従業員キャサリン

彼の太ももをハサミで刺し、女性客と一緒にテーブルにつきます

 

スロウィックは、ゲストたちに招待した理由を

彼の仕事に対する情熱を失う一因となったからだと説明

夜が明けるまでに全員が死ぬことを発表します

ジョージが、なぜ自分が殺されなければいけないのか聞く

スロウィックの休日の唯一の楽しみがテレビを見ることで

ジョージが主演していた映画がつまらなかったから

彼のアシスタントのフェリシティーについては

実家が裕福で大学を奨学金無しで卒業したから(笑)

リリアンは「昔、酷評された評論家」

リチャード夫妻は11回も来店しているのに

「たったひとつのメニューも覚えていない」

聖書で禁じられた罪を犯した者に、シェフが神に代わって裁定をくだす

「罪の報酬は死です」 という思想が背景にあるようですが

映画がつまらないとか(この映画だって相当いい加減よ 笑)

親が学費払ったからなんて、こじつけもいいところ

 

 

料理評論家のリリアンがキャサリンの気を惹こうと

レストランを始めるのを手伝って欲しいと頼むと

キャサリンはゲストを殺し、スタッフ全員が自殺することを提案したのは

自分なんだと教えます

(キャサリンがシェフに口説かれただけで、よく全員自殺を承知したな 笑)

男性客には45秒の時間を与えられ

レストランから出て島から脱出するチャンスが与えられます

しかしタイラーだけは脱出しようとしませんでした

そしてすぐに逃げた男性全員がスタッフに捕まり連れ戻されます

(やった意味がわからない 笑)

スロウィックはマーゴを呼ぶと

マーゴが自分たちと同じ客に奉仕する側の人間だと言い当て

自分側に付いてスタッフとして死ぬか

ゲストと一緒に死ぬかを決めるよう迫ります

マーゴは本当はエリンという名の娼婦で

タイラーに頼まれてこのディナーに参加したこと

クライアントのひとりはリチャード (父娘プレイが趣味)だったことも明かします

スロウィックは、タイラーは全員死ぬことを事前に知らされていて

殺されるとわかってマーゴを代役に選んことを教えます

スタッフ側になることを選ぶマーゴ

スロウィックは「食通気取り」のタイラーに料理を作るよう命じます

まともな料理を作れなかったタイラーは

スロウィックに何かを耳打ちされると、落ち込んでその場を去ります

(最後まで何を言われたか明かさない手抜き 笑)

 

スロウィックはマーゴにスモークハウス(燻製場)に

デザートに使う樽を取りに行くよう命じると

マーゴはタイラーが物置で首を吊っているのを見ます

途中にあるスロウィックの家に忍び込むと

そこには「月間最優秀従業員賞」の賞状と

ハンバーガーを作る料理人、若き日のスロウィックの写真がありました

そこに(嫉妬にかられた)エルサがやって来て

彼女に襲われたマーゴはもみ合いの末エルサの胸を刺し死なせてしまいます

無線を見つけたマーゴは助けを求め、樽を持ってレストランに戻ると

すぐに沿岸警備隊のデイルが到着

ゲストたちが救われたと思い安堵したのもつかの間

デイルもスロウィックに雇われているスタッフの一員でした

 

最後の料理はは「スモア」

アメリカのキャンプファイヤーで作られる伝統的デザートで

焼いたマシュマロとチョコレートをグラハムクラッカーで挟んだもの

デザートの前にマーゴは賭けにでます

ここの料理では満足できない、「チーズバーガーが食べたい」と

マーゴの予想は的中し「月間最優秀従業員賞」のスロウィックのプライドを刺激

しかもこのバーガーが、どんな洒落た料理より一番美味しそう(笑)

 

次にマーゴは美味しいけど食べ切れないので、持ち帰りたいと頼みます

「月間最優秀従業員賞」は断れない(笑)

しかもちゃんとお持ち帰り容器まである

マーゴは解放され小型船で島を脱出

残ったゲストにチョコレートの帽子とマシュマロの服を被せられ

「私たちは今日、清められ、溶けて、新しく生まれ変わるのです」

というスロウィックの言葉とともに火が放たれます

全てのコース料理の完成です

マーゴは海上で燃え上がるレストランを見つめながら

テイクアウトしたハンバーガーにかじりついたのでした

 

 

【解説】映画.COMより

レイフ・ファインズ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルトの共演で、孤島にある高級レストランに隠された秘密が明らかになっていく様を描いたサスペンス。HBOのドラマシリーズ「メディア王 華麗なる一族」で注目されたマーク・マイロッド監督がメガホンをとり、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」「ドント・ルック・アップ」のアダム・マッケイがプロデューサーを務めた。
有名シェフのジュリアン・スローヴィクが極上の料理をふるまい、なかなか予約が取れないことで知られる孤島のレストランにやってきたカップルのマーゴとタイラー。目にも舌にも麗しい料理の数々にタイラーは感動しきりだったが、マーゴはふとしたことから違和感を覚え、それをきっかけに次第にレストランは不穏な空気に包まれていく。レストランのメニューのひとつひとつには想定外のサプライズが添えられていたが、その裏に隠された秘密や、ミステリアスなスローヴィクの正体が徐々に明らかになっていく。
「クイーンズ・ギャンビット」「ラストナイト・イン・ソーホー」のアニヤ・テイラー=ジョイと、「マッド・マックス 怒りのデスロード」「女王陛下のお気に入り」のニコラス・ホルトカップルを演じ、謎に包まれた名シェフのスローヴィクを、「グランド・ブダペスト・ホテル」「キングスマン ファースト・エージェント」のレイフ・ファインズが演じた。

2022年製作/107分/R15+/アメリ
原題または英題:The Menu