
原題は「Weapons」(武器)
ペンシルベニア州メイブルックの小学校
3年生のクラスの授業に現れた生徒はアレックスただひとり
ほかの17人の児童たちは、深夜2時17分
自宅の家の寝室から抜け出し姿を消してしまったのです
保護者から失踪事件の犯人として疑われ
事件の謎を解明しようと、アレックスの家を訪れると
家の窓は内側から新聞紙でふさがれていました

今年度、全米トップのホラー映画で
日本で公開されてからも面白いと話題になっていますね
3,800万ドルの製作費に対して(現時点で)2億6,830万ドルもの
興行収入を記録しているということです

いわゆる「羅生門形式」で登場人物のそれぞれにスポットが当てられ
特に謎の老婆グラディスを演じた エイミー・マディガンが怪演
(エド・ハリスが旦那だっていうだけでズルいのに 笑)
しかも役作りの全ては彼女にまかせたそう
今年度の賞レースのメインのひとりになるのは間違いないでしょう

もうひとつの注目は依存症患者のリアル
監督のザック・クレッガーもかっては重度のアルコール依存症で(現在は断酒)
彼が幼い頃、彼の父もアルコール依存症(肝硬変)で亡くなったそうです

「Weapons」のO(オー)の中に描かれた△と
エンドクレジットにも現れる三角形も
アルコール依存症の援助グループ 「アルコホーリクス・アノニマス」の
ロゴマークをもとにしているそうです

ただ私的には、この映画がこれほど多くの若者に受け入れられたのは
現代社会における若者の不満があるんじゃないかと思いました
つまり、高齢者によって自分たちの将来への希望が奪われている
身内の生活介助(ヤングケアラー)
医療費や年金や介護保険の負担
国の制作により増え続ける莫大な借金の返済義務
大人は「助け合わないと」と言うけれど
その怒りがキッズ・ウェポンズとなって襲いかかるのです
でも奪われたものは二度と戻らないという結末

謎の老婆が黒魔術師なのか、本物の魔女だったのはわからずじまい
(労咳 (consumption)=結核という古い呼び名を使っていることから何世紀も生きていることをうかがわせる)
でも彼女のような人間は、案外身近にいるのかも知れません
(早苗にあのメイクをさせたい・・とは口が裂けても言えませんが 笑)

子どもたちが深夜の住宅街を走るシーンには
「アラレちゃんのキーンかよ!」と、ちょっと笑ってしまいました(笑)

水曜日の深夜2時17分
17人の子どもたちが家を抜け出し消息不明となります
生徒たちが行方不明になったことで保護者たちから責められ
校長(ベネディクト・ウォン)から休職を言い渡されてしまいます

アレックスの安否を案じたジャスティンが
彼の家を訪ね(鍵がかかってる)新聞が貼られた窓から中の様子を伺うと
両親の様子がおかしい
アレックスが虐待にあっているのではないかと校長に通報します

車にペンキで「WITCH」と落書きされたジャスティンが警察に行くと
元恋人だった警察官のポール(オールデン・エアエンライク)と再会
(既婚の)ポールをバーに呼び出し
禁酒中だという彼に酒を勧めそのまま朝まで過ごします
ジャスティンはアルコール依存症で、ポールも元アルコール依存症なんですね
おまけにポールの上司は嫁の父親で、嫁にも頭が上がらない状態
すぐに浮気はバレてしまいます
(スーパーでジャスティンに襲いかかるポールの嫁がコワイ)

さらにポールは空き巣しようとしていた
ジェームズ (オースティン・エイブラムス)を捕まえ捜索中
ジェームズがポケットに入れていた注射針を指に刺してしまい
(エイズを恐れ)思わずジェームズを殴り倒してしまいますが
パトカーのドライブレコーダーにその様子が録画されていることに気づき
二度と目の前に現れないことを条件にジェームズを解放します

消息不明になった児童のひとり(アレックスを虐めていたマシュー)の
父親アーチャー(ジョシュ・ブローリン)は
警察の捜査に満足できず、自ら捜査を始めることにします
自宅の防犯カメラ(スマートドアベル)の映像と
同級生のベイリーの自宅の映像を見比べ
同じ方向に向かっていることを確認します

子どもたちが消えた理由をジャスティンは知ってるはずだと
彼女を尾行していると(「WITCH」の落書きもアーチャーの仕業)
そこに血眼になった校長が現れジャスティンを殺そうとします
必然的にアーチャーはジャスティンを助けることになり
ジャスティンを追った校長は車にはねられ死亡してしまいます

その数日前、校長は(ジャスティンからの報告により)
学校にアレックスの保護者を呼んでいました
しかしやって来たのは両親ではなく大叔母のグラディス
さらにグラディスは校長の(ゲイのパートナーと暮らしている)自宅を訪ね
パートナーと(アレックスの母親が盗んだ)ジャスティンの髪の毛を巻いた
木の枝の棘で自らの手を切り血液を滴らせると
校長はパートナーを殺害
次に「キーン!」走りでジャスティンを探しに行ったのです

その頃アレックスの家にはジェームズが忍び込み
銀の食器などを盗んでいると、意識のないアレックスの両親を見つけます
不審に思いながら地下室に向かうとやはり意識のない子どもたち
その場を逃げ出し、リサイクルショップに銀食器を売りに行くと
壁には子どもたちを見つけたら5万ドルの懸賞金のポスター
懸賞金欲しさに警察に向かうジェームズですがポールに見つかってしまいます

ポールから逃げる途中、老婆ジャスティンの姿を見るジェームズ
森の中にある住まいのテントに潜り、怖くて使用済みの注射器を構えていると
そこにポールがやってきて注射器を彼の顔に刺してしまいます
(またしてもエイズを心配するポール)
ジェームズは警察に向かったのは消息不明の子どもたちを見つけたからだと
ポールをアレックスの家に案内することにします
手錠をかけられパトカーに閉じ込められるジェームズ
ところがアレックスの家を訪ねたポールは何時間経っても戻って来ません
やがて日が暮れ、やっとポールが出てきたと思ったら
ジェームズは家の中に引きずり込まれてしまいます

アレックスの回想シーン
アレックスの家に住むようになったグラディスは最初瀕死の状態でした
翌日父親が学校に迎えに来ず、歩いて帰宅すると
両親は動かず口もきけず椅子に座ったまま
元気を取り戻したグラディス、このことを話せば両親を殺し合わせると脅し
さらに両親のエネルギーだけでは不十分で
クラスメイト全員の持ち物を持ってくるよう命じます
回復したらこの家を去ることを条件に
アレックスは道具箱に貼ってあるクラスメイト全員の名札を持ち帰り
グラディスに渡します
その夜子どもたちはアレックスの家に引き寄せられたのでした

グラディスは魔術師というか、魔力のある木の枝を使って
髪の毛をもとにその人の精気を奪ったり、操ったりすることが出来るんですね
そうしてグラディスは活き活きさを取り戻し
アレックスは動けなくなった両親と子どもたちに
毎日(缶詰の)食事を与えなければならなくなります
(ドナーの生命が奪われると、グラディスの活力も失われると思われる)

子どもたちの失踪事件の犯人はジャスティンではなく
他にいると気付いたアーチャーは
マシューとベイリーが向かったと思われる地図をジャスティンに見せると
そこにはアレックスの家があるといいます
子どもたちを見つけようとアレックスの家に向かうふたり
それに気付いたグラディスは
この家から立ち去る必要があることをアレックスに伝えると
塩で結界をつくり自分の部屋に閉じこもります

アーチャーとジャスティンがアレックスの家に入ると、ポールとジェームズに襲われ
ジャスティンはポールの銃を奪いふたりを殺害
地下室で子どもたちを見つけアーチャーはマシューを探しますが
グラディスに操られてしまいジャスティンを殺そうとします
結界を超えてしまったアレックスも両親に襲われますが
グラディスのかつらの裏から彼女の本物の髪の毛を見つけると
グラディスの真似をして髪の毛を木の枝に巻きつけそれを折ります

すると17人の子どもたちが突然覚醒
グラディスは子どもたちに追い詰められ噛みちぎられてしまいます
しかしグラディスの死によって意識を取り戻したのは
アーチャーひとりだけでした
その後、子ども(誰? 笑)のナレーションによって
アレックスの両親は精神病院に入院し
彼が別の叔母に引き取られ町を離れたこと
子どもたちは全員家に帰り
今年からまた話し始めた人もいることが語られたのでした
【解説】映画.COMよりコメディアン、脚本家、監督、俳優など多彩に活躍し、2022年に発表した監督作「バーバリアン」が高い評価を受けたザック・クレッガーが、監督・脚本・音楽を手がけたホラー。
舞台は静かな郊外の町。ある水曜日の深夜2時17分、子どもたち17人が突然ベッドを抜け出し、暗闇の中へ走り出したまま姿を消す。消息を絶ったのは、ある学校の教室の生徒たちだけだった。なぜ彼らは、同じ時刻に突如として姿を消したのか。疑いの目が向けられた担任教師ガンディは、残された手がかりをもとに集団失踪事件の真相に迫ろうとするが、この日を境に不可解な事件が町で相次ぎ、やがて町全体が狂気に包まれていく。
物語は登場キャラクターそれぞれの視点で描かれ、モキュメンタリー風の演出も相まって、全米では公開後に観客の考察が飛び交い、スマッシュヒットを記録した。出演はジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、オールデン・エアエンライク、オースティン・エイブラムス、ベネディクト・ウォンら。
2025年製作/128分/R18+/アメリカ
原題または英題:Weapons
配給:ワーナー・ブラザース映画