
「なめたらいかんぜよ!」の名セリフ以外何も知らずに鑑賞
夏目雅子が「鬼龍院花子」という役名で主役だと思っていたのに
それさえもまったく違っていたというザマでございます(笑)

花子のもとに駆け付ける松恵(夏目雅子)のシーンから始まり
時は遡って大正7年秋
土佐の鬼龍院家の親分で「九反田の鬼政」と恐れられる
子沢山の白井家から拓(ひらく)という男の子を養子を貰いに行きます
そこで12歳になる姉の松恵(仙道敦子)を見た鬼政は
「賢そうな顔をしている」と松恵も引き取ることにします

その日の夜のうちに拓は脱走
残された松恵は養女になりますが
鬼政の妾の牡丹(中村晃子)と笑若(新藤恵美)と同じような扱いで
鬼龍院家で暮らすようになります
鬼政は末長組組長(内田良平)とその妻の秋尾 (夏木マリ)とライバルで
それも縄張りとかではなく、土佐闘犬
鬼政の手下の兼松(夏木勲)が飼う土佐闘犬「海神」が
末長の自慢の横綱犬を負かしたことから逆恨みされいさかいとなり
「海神」が殺されてしまいます
仕返しとして鬼政は末長家に行き女中のつる(佳那晃子)をさらうと
末長と海辺で決闘
地元の有力者で土佐電鉄の株主、御前こと須田(丹波哲郎)が仲裁に入り
鬼政に調子に乗らないよう注意します
御前仰せの通り、鬼政はただ力任せに暴れるガキ大将のような男
そのうえ暴力だけでなく、性欲も制御できない
男も女も権力で従わせ「モノ」としか見ないような男なんですね
これを昭和ロマンという人もいるかも知れませんが
たぶんイマドキのZ世代の女性がこの映画を見たら
クソつまらないという厳しいジャッジを下されると思います(笑)
ただ脚本の高田宏治が、鬼政のように支離滅裂で
本物の破滅型の生きざまだったそうで
こういう人間が昭和には本当にいたこと知ると
また違った目線で楽しめるかも知れませんね
末長組から拉致られたつるが鬼政の子を妊娠すると
まるで女将気取りになり、やがて娘の花子を出産
鬼政は花子を寵愛します
それでも鬼政に尽くし続ける歌でしたが
酒に溺れるようになり、やがて病に倒れます
須田から土佐電鉄のスト破りを依頼された鬼政でしたが
高知商業の教師で、労働者の味方となりストライキに加担していた
田辺恭介(山本圭)に惚れ込み彼の支援を決意
須田のもとに申し開きに向かうと、すでに須田は末長と手を結んでいました

田辺はストライキの首謀者として逮捕され
学校卒業後、小学校教師として働いていた松恵は
鬼政に命じられた差し入れを持って田辺のもとに面会にやってくると
(田辺の活動に共感した)松恵に惚れてしまう田辺

鬼政は田辺が釈放されたら花子と結婚させるつもりでしたが
花子ではなく、松恵と一緒になりたいという田辺に鬼政は激怒
田辺の小指を詰めさせたうえ
松恵を呼び出し(他の男に処女を奪われる前に)手篭めにしようとします
(松恵が枕元にあったグラスを割り自殺しようとしたことから未遂に終る)
鬼龍院家を出て田辺と暮らすようになる松恵

鬼政は花子を山根組の権藤(誠直也)と縁組させ
イケメンで優しい(祭で赤いリボンの髪飾りを贈る)権藤に花子もぞっこん
すぐに結婚式が行われますが、祝宴の最中に歌が倒れてしまいます

歌は腸チフスと診断され隔離され、それを知った松恵は
(鬼政と何事もなかったように)鬼龍院家に戻ると
感染も恐れず歌の介護を申し出ます
歌は松恵を厳しく育ててきたことを
「自身のような人生を送らせたくなかった」 と言い残し、息を引き取ります

女の心情が全く表現できていないのが五社英雄流(笑)
でも女優を「いい女」に撮るのは最高にうまい
カメラは大映に戦後第一号で入所し

昭和12年、大阪で田辺と平和に暮らす松恵のもとに
花子の夫の権藤が抗争の犠牲となり死に
つるが家出したという知らせが入ります

その夜(権藤の死で気がふれてしまった)花子が
夜店を歩いていると末長組の若い衆にさらわれ
花子を心配してつけていた田辺が刺殺されてしまいます
花子を救おうと末長組に向かった鬼政は
手下とともにダイナマイトで末長家を爆破
しかし(末長組の若い衆を権藤だと思い込んでいる)花子は
鬼政の助けを拒否するのでした

徳島では田辺の葬儀がとり行われ
手を合わせにきた松恵を罵倒する田辺の父親に
「鬼政の娘じゃき、なめたらいかんぜよ」と、勝手に骨壺に手を突っ込み
持ち込んだ容器に分骨として遺灰を持ち帰る松恵

その後、鬼政は網走刑務所に服役し獄中死
松恵の元には花子から助けを求めるハガキが届きます
(花子が遊郭で働くまでのいきさつが全くわからない 笑)
遊郭を出た松恵は、桟橋で花子のハガキを破り川に捨てると
静かに立ち去ったのでした
【解説】映画.COMより
名匠・五社英雄監督が、直木賞作家・宮尾登美子の同名小説を映画化。大正末期から昭和にかけての土佐を舞台に、侠客・鬼龍院政五郎と彼を取り巻く女たちの凄まじくも絢爛な愛憎劇を、仲代達矢、夏目雅子、岩下志麻らの共演で描く。大正10年。土佐の侠客・鬼龍院政五郎は、松恵という養女をとる。政五郎は正妻である歌のほかに複数の愛人を囲っており、愛人に産ませた娘・花子を溺愛するように。政五郎の身の回りの世話をしながら成長した松恵は、政五郎の反対を押し切って女学校に入学。やがて高校教師の田辺と恋に落ちるが……。
1982年製作/146分/日本
配給:東映