エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス (2022)

原題も「Everything Everywhere All at Onceなんでも どこでも いっぺんに

ミシェル・ヨーのカンフーアクション

 

アメリカでコインランドリーを営む中国人移民の主婦エヴリンが

全宇宙をブラックホールに吸い込み滅ぼそうとしている悪女ジョブ・トゥバギと

マルチバースの世界にいる自分の能力を使って戦う・・というものですが

実にわかりにくい(笑)

脚本が悪いのか、翻訳が悪いのか、宣伝が悪いのか

伝えたいことがほとんど伝わって来ない悲劇(笑)

 

【観覧注意 ここからネタバレ】

いくつもある人生の選択での分かれ道

もし違う学校に進学していたら

もし違う職業を選んでいたら

もし今の夫(妻)と結婚しなかったら

スターか、シェフか、金持ちだったかも

違う自分になっていたかも知れない

その違ったかも知れない自分が

宇宙のどこかに存在しているという仮説が

マルチバース(多元宇宙、並行宇宙)

エヴリンは最悪

コインランドリーの経営がうまくいっておらず

少しでも税金の支払いを少なくするため確定申告の準備

なのに甲斐性のない夫のウェイモンドはエヴリンに離婚を申し立てようとしている

認知症の父親の介護

娘のジョイは太り過ぎ、タトゥ―を入れ、定職につかず、家にもよりつかない

たまに帰ると恋人だと連れてきたのは女性

気に食わない、気に食わない

何もかも理解できない

 

申告がおかしいと税務署から呼ばれたエヴリン

職員のディアドラからカラオケマシンは経費で落とせないと

やり直しを命令され

思わずディアドラを殴ってしまうエヴリン

ディアドラが警備員をよぶと

ウェイモンドはいきなりリップクリームを取り出して食べ

エストポーチを使って警備員たちと戦いはじめます

税務署の職員は全員マルチバースでは

ジョブ・トゥバギ(衣装がたまらなく可愛い)の手下だったのです

エヴリンはジョブ・トゥバギを倒すため選ばれた戦士でした

しかしマルチバースの自分の能力をダウンロードするためには

誰も思いつかないような馬鹿なことをしなければいけません

しかも全員が強いというわけではない(笑)

カンフースターのエヴリンはミシェル・ヨー

セルフパロディなんですね

彼女自身も大スターでお金持ちなのに、さらに大富豪と結婚

キレッキレのカンフーアクションは今も健在

しかもミシェル・ヨー、還暦を迎えていたとは(笑)

ウェイモンドにやり直したいと迫られるシーンは

ウォン・カーウァイの「花様年華」のパロディ

ソーセージの世界は「2001年宇宙の旅」

指がソーセージの猿人が、そのソーセージを振って

ほかの(ちゃんとした指のある)猿人を殺すことを覚え

結果、指がソーセージの猿人が進化し人間になったのです

レミーのおいしいレストラン」は比較的新しいので

若い人でもわかりますね

ここでは料理を教えるのはネズミではなくアライグマ

ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」に対抗したか(笑)

 

一番怖かったのは愛犬家をディスったこと(笑)

おじいちゃんはパワードスーツ着て

アバター」みたいになります

エヴリンはカンフースターをダウンロードしてカンフーとして戦います

でも敵も全員、宇宙のどこかではカンフーの達人(笑)

それだけではなかなか勝てない

エヴリンはシェフのエヴリンからヘラやナイフの使い方を

歌手になったエヴリンから肺活量を

ピザ屋の看板持ちのエヴリンから防弾盾の扱いを

追加ダウンロードします

そのたびに何か馬鹿なことをしなきゃいけない

 

敵も馬鹿なことをしなきゃいけない

別宇宙からスマホでアイディア聞くんかい

しかもネタがダブルブッキングかい(笑)

さらにジョブ・トゥバギは娘のジョイでした

保守的な中国人で古い考えのエヴリンは

ジョイのやること全てが気に入らず否定してきました

ジョイは自分の人生が壊されたのは母親のせいだと思ってる

だからこんな世界滅ぼしてしまおう

ジョブ・トゥバギを作り出したのはエヴリンだったのです

だからといって、いくらジョイが悪の帝王でも

娘を殺せるはずがない

エヴリンはジョイを認ようと努力し、救おうとします

 

終盤の展開はディズニー(ピクサー)みたいでしたね(笑)

「私ときどきレッサーパンダ」のオマージュ(パクリとも言う)でしょうか

 

娘の愛と夫の愛を取り戻そうとするエヴリン

家庭を救うことこそが、宇宙を救うことだと知ったのです

そしてたとえ宇宙のどこにいても、親子は親子

生命が誕生しなかった、岩と石だけの星でも

母と娘の絆がなくなることはありません

 

優しいだけがとりえの夫は言う

君は何にでもなれた

やさしくなろう、戦うのはやめよう

 

税金もきちんと収めよう(笑)

このレビュー読んだ人の中にはきっと

「え?そんな内容だったの」と思う人もいるでしょうね(笑)

私も正直、映画のスピードに理解がついていくのが難しかったです

でも公開時のアメリカでは

「娘に会いたくなった」「お母さんに電話しよう」と

涙する観客も多くいたそうです

 

そしてアメリカ人(娘)と移民(母)との

切っても切れない関係

 

なるほど、そういう物語だったのかと理解すれば納得ですね

(それでも、ゲロとモザイクはいらんかったが 笑)

 



【解説】映画.COMより

カンフーとマルチバース(並行宇宙)の要素を掛け合わせ、生活に追われるごく普通の中年女性が、マルチバースを行き来し、カンフーマスターとなって世界を救うことになる姿を描いた異色のアクションアドベンチャー。奇想天外な設定で話題を呼んだ「スイス・アーミー・マン」の監督コンビのダニエルズ(ダニエル・クワンダニエル・シャイナート)が手がけた。
経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親と、いつまでも反抗期が終わらない娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン。いっぱいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、まさかの救世主として覚醒。全人類の命運をかけた壮大な戦いに身を投じる。
エヴリン役は「シャン・チー テン・リングスの伝説」「グリーン・デスティニー」で知られるミシェル・ヨー1980年代に子役として「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」「グーニーズ」などに出演して人気を博し、本作で20年ぶりにハリウッドの劇場公開映画に復帰を果たしたキー・ホイ・クァンが、夫のウェイモンドを演じて話題に。悪役ディアドラ役は「ハロウィン」シリーズのジェイミー・リー・カーティスが務めた。第95アカデミー賞では作品、監督、脚本、主演女優ほか同年度最多の10部門11ノミネートを果たした。

2022年製作/139分/Gアメリ