原題は「Anuja」
第97回アカデミー短編実写賞ノミネート作品
インドの洋裁工場で1日14時間(休憩はわずか15分)
不当な賃金で働いているパラクとアヌジャの姉妹
ある日工場長のもとに9歳になるアヌジャを学校に通わせるようにと
教育省の人間がやってきます
アヌジャには特別な数学の才能があると言うのです
しかし授業料は400ルピー
それでもどうしてもアヌジャを学校に行かせたいお姉ちゃんは
工場の端切れでこっそり作ったバックを売り、お金を工面しようとします
しかしアヌジャの計算力を知った工場長はアヌジャに会社の経理を頼み
入学試験と同じ日時に事務所に来るように命令します
従わなければクビだと
はたしてアヌジャは学校に通うことと、仕事を続けること
どちらを選ぶのか
確かに姉妹はスラムに住む最下層の人間ですが
そのかわり豊かであるはずの、私たちが失ったものを持っています
お姉ちゃんは新聞の花嫁募集の広告を見て
いつかお金持ちと結婚できることを夢みています
そんなこと無理だとわかっているのに
どんな男がいいか姉妹で笑い転げる
お姉ちゃんが作った40ルピーのバックを400ルピーとぼったくり
ショッピングモールで2つも売ってしまう妹
ご婦人もわかっていて好意で買ってくれたのでしょう
こっそり裏口から逃がしてくれた警備員のおじさん
この映画は、インド・デリーでストリートチルドレンや
働く子供たちを支援するインドのサラーム・バーラック・トラスト(SBT)など
コミュニティパートナーの協力を得て
(非営利・非政府組織で地域・行政・住民をつなぐ制度や団体)
非営利の制作会社「Shine Glob」によって制作、撮影されたそうです
アヌジャがどちらを選んだか、結末は描かれていません
代わりに子どもたちに映画を見せて
自分ならどうするか考えさせるんですね
そしてもうひとつ、お姉ちゃんが唯一覚えているという
母親から教えてもらったおとぎ話
ペットのマングースと留守番していた娘が蛇に襲われ
マングースは娘を助けるため蛇を噛み殺します
しかし帰宅した父親はマングースの口についた血を見て
マングースが娘を殺したと勘違いしてしまい
マングースを殴り殺してしまう、というもの
このお話でも、その後娘がどうなったかは、わかりません
なんと監督は元哲学者(笑)
娘を助けたせいで殺されたマングース
アヌジャを助けようとしたお姉ちゃんも
同じように酷い目に遭うかもしれない
インドではお金の問題よりもっと
簡単に学校に通えない問題があるんですね
そのことを予期するかのように
お姉ちゃんは指に針を刺してしまいます
約20分という短さなので
インドの子どもたちだけでなく
日本の教育現場でも見せてはいかがでしょうか
Netflixで見れますけど(笑)
【解説】Netflixより
搾取工場で働くなか、賢い9歳の少女にめぐってきた学校に通うチャンス。自分と姉の将来がかかった難しい選択を迫られる少女の運命は。
出演:サジダ・パタン、アナーニャ・シャンバーグ、ナゲシュ・ボーンスレー
2025|年齢制限:13+|23分|ヒューマンドラマ