エレファント・ウィスパラー 聖なる象との絆(2022)

原題は「The Elephant Whisperers ゾウの囁き)

こういう生態系ドキュメンタリーを好んで見るのは

ダーウィンが来た!」のファンならともかく(笑)

映画ツウでも、そう多くないのではないでしょうか

 

私も含め、アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞の

ノミネートを受けて見た人がほとんどだと思います(笑)

でも良かったです

世界で最後に残る桃源郷はインドかもしれません

 

監督は自然動物や社会的テーマを撮り活躍する女性写真家

カルティキ・ゴンサルヴェスで本作が映画デビュー作

わずか40分のこの作品に費やした期間は

なんと7年間()

インド南部タミルナードゥ州ムドゥマライ国立公園の森林局に

運び込まれた瀕死の子象ラグ

母親は感電死し、犬に尻尾を食いちぎられていました

 

飼育を任されたのはこの地域で100年以上にわたり

代々ゾウの調教をしているタミル人のボマンと

夫を虎に殺され、娘を亡くした過去があるベッレ夫人でした

野生のゾウの乳児の飼育に成功した例はなく

ボマンとベッレ夫人もはじめての経験

ふたりに出来るのは、わが子のよう愛情を注ぎ世話をするだけ

特にベッレ夫人は娘が戻ってきたと可愛がります

成人した象は脳みそだけで5kgもあるそうで

地球上で最も賢いとされている動物のひとつなんだそうです

ボマンとベッレ夫人に育てられたラグはふたりの言葉を理解するし

喜びや悲しみといった感情もあり

ボマンとベッレ夫人が嬉しい時は喜びをわかちあい

哀しい時は寄り添いなぐさめます

ラグが4歳になったとき

迷子になった生後5ヶ月の子象アンムがやってきます

いままでふたりの愛情をひとり占めしていたラグは

ヤキモチを焼いて拗ねてしまう(それがまた可愛い 笑)

でもやがてアンムを受け入れ、面倒をみてやるようになり一緒に遊ぶ

人間の姉妹となにも変わりません(笑)

ボマンとベッレ夫人、ラグとアンムは

一緒に暮らすうち固い絆で結ばれていきます

そしてボマンとベッレ夫人は結婚式を挙げました

本当の夫婦、ラグとアンムの両親になる

もう孤独じゃない

しかしラグが7歳になったとき

森林局から担当者が代わることが伝えられます

最初ボマンは反対しますが

給料を得てやっている公務の仕事なんですね

断れるものではありません

そしてラグにも大人になる時が近づいていたのです

やがて繁殖の季節もやってくるのでしょう

インドのゾウは動物園のゾウように

ただ保護されているだけじゃないんですね

神聖視され(ガネーシャ神は人間の身体にゾウの頭をもっている)

人間と一緒にお祭りなど行事にも参加(模様と花輪で飾られる)

森で重労働の手伝いもする

とはいえ、同じ国立公園内にある保護施設

ボマンを見つけたラグが駆け寄って来る

たまらないですね(笑)

いくつになっても子どもは子ども

3歳になったアンムにも

やがて旅立つ日がやって来るのでしょう

フサフサした前髪が長いアンム

ボマンとベッレ夫人はその前髪を撫で、可愛く結んであげるのです

 

誰にでも天から与えられた仕事が、宿命がある

この森で暮らす素朴で純粋な人々にも

自然を守りながら、野生動物と共に暮らすという

使命が与えらえているのです

それに答えた時、幸福が待っている

(成功か失敗かは問題じゃない)

 

人間より野生動物が劣ることは一切ない

シンプルでわかりやすく

自然も、動物も、人間も最大限に美しく描かれた

しかもインドでしか作れない映画

ちなみにヒンドゥー教ガネーシャ神は

日本の聖天様(歓喜天と同じ起源をもっている

どんな願いも叶えてくれる万能の神様

 

そのかわり、感謝の気持ちがなかったり

半端な信仰心だと猛烈に怖い

とんだしっぺ返しにあいますのでご注意を

年に1度は誠心誠意の気持ちを込めてお祈りください

 

 

【解説】Netflix () 式ページより

2022年齢制限:7+40分自然・生態系ドキュメンタリー

南インドで野生の象の保護に人生をささげる夫婦、ボムマンとベリー。親を亡くした子象ラグとその親代わりとなった2人が築いた、唯一無二の家族のきずなを映し出す。

2023アカデミー賞ノミネート

カルティキ・ゴンサルヴェス監督によるネイチャードキュメンタリー。