あまりよく出来た脚本とは思えませんでしたが
そのわりには何度も泣きそうになりました(笑)
南極に置き去りにされた15匹のカラフト犬
その後の話はほとんど想像によるものですが
あまりにも見るのが辛い
8頭が脱出し野生化
7頭が鎖に繋がれたまま餓死か凍死のいずれか
氷の間から魚を獲ったり、群れでアザラシを狩るシーンはリアル
動物愛護も今ほど厳しくなかったでしょうし
CGの無い実際のロケですから、本当の映像でしょうか
撮影にはエスキモー犬が使われたということ
この俳優犬たちが、可愛くて、風格があって
けなげな演技がまた素晴らしい
犬ぞりで人間に鞭打たれ、怪我をしても重い荷物を運び
吹雪の中、身体を丸めて寒さをしのいでいる姿に
犬小屋ぐらい作れや!という熱い思いになり
北大講師の地質学者で犬係の潮田(健さん)が
犬を可愛がるあまり自分の部屋に入れてしまう気持ちがよくわかる
京大の研究者で犬の訓練士の越智(渡瀬恒彦)は
潮田が犬を甘やかすのがいけないと愚痴る
第2次越冬隊と引継ぎ交代するための撤退で
潮田と越智は犬たちが逃げないよう
首輪をいつもよりきつく締め、基地を後にしますが
悪天候のため第2次越冬隊の南極への上陸は中止になり
犬たちは昭和基地に置き去りにされるのです
そのとき日本は「犬たちを連れ帰って、かわりに人間を残してこい」と
世界中から攻撃されたそうです
そんな非難に耐える男の役をやらせたら
高倉健の上をいく俳優はいない
貴重な樺太犬を寄付してくれた家庭一軒一軒回り謝罪し
南極で産まれたシロの子を預けます
リキの飼い主だった姉妹の、幼い妹の怒りはわかるけれど
子犬に罪はないんだから、犬に対してあの態度はないよな
やがて第3次越冬隊の計画が持ち上がり
南極で育ったタロとジロだけが生き延びていたのです
音楽は当時「炎のランナー」(1982)や「ブレードランナー」(1982)で
注目を浴びていたヴァンゲリスが引き受けたという奇跡
タロとジロとの再会を感動的に盛り上げ、泣ける(笑)
タロとジロ役の2頭は撮影後
渡瀬恒彦さんの愛犬になったそうです
【解説】KINENOTEより
南極観測隊が悪天候に阻まれ、やむなく南極の地に置き去りにしてきた十五匹のカラフト犬の生への闘いと、観測隊員たちの姿を描く。脚本は「人生劇場(1983)」の野上龍雄、「色ざんげ(1983)」の佐治乾、「暗室」の石堂淑朗、「キタキツネ物語 THE FOX IN THE QUEST OF THE NORTHERN SUN」の蔵原惟繕の共同執筆。監督は「青春の門 自立篇(1982)」の蔵原惟繕、撮影は「キタキツネ物語 THE FOX IN THE QUEST OF THE NORTHERN SUN」の椎塚彰がそれぞれ担当。
昭和三十三年二月、南極の昭和基地から第一次越冬隊員が第二次隊員と交替すべく観測船“宗谷”へと“昭和号”で空輸された。だが、例年にない悪天候のため第二次隊員は昭和基地へは飛ばず、第二次越冬は中止と決定した。犬係の潮田と越智は、基地に残された十五匹の犬を救うべく“昭和号”を飛ばしてくれるよう小沢隊長に食いさがったが、満身創庚の“宗谷”には、これ以上南極の海にとどまる力はなかった。初夏、潮田は北海道大学講師の職を辞し、樺太犬を供出してくれた人々を訪ね歩く謝罪の旅に出た。なかには「どうして連れて帰って来なかったの!」と激しく怒りをぶつけてくる少女・麻子もいた。潮田の謝罪の旅を知った越智は稚内に向かう。稚内では学術探険に貢献したとして十五匹の犬の銅像が建てられ、その除幕式が行なわれていた。集った人々の中に潮田の姿を見つけ、外国人記者がぶしつけな質問を浴びせた。「この手で殺してやればよかった」と悲痛な表情で語る潮田を見守る越智。その頃、南極では犬たちの生きるためのすさまじい戦いが展開されていた。戦いは首輪を抜け出すことからはじまり悪戦苦闘の末に自由を得たのは十五頭のうち八頭だった。基地に食物のないことを知った犬たちは、餌を求めてさすらいの旅に出る。集団でアザラシを襲い、凍りついた氷塊の中に見える小魚を掘り出して喰べる犬たち。そのうち、獲物を探しながら足をすべらせ氷海に呑まれてしまう犬、狂ったように走り氷原に姿を消して帰らないもの、仲間の数は次第に減っていく。先導犬のシロも潮田、越智と共に犬ぞり探険行で見つけた思い出の鯨の死骸の中に入り込んだまま、息たえた。またリーダー格のリキもシャチに襲われ悲運の死を遂げる。一方、第三次越冬隊が組織されることをニュースで知った潮田と越智は進んでその隊員に加えて貰うよう頼み込んだ。宗谷からヘリで昭和基地に着いた二人は、鎖につながれたまま死んでいる犬たちを見つけ慟哭する。涙にくもった潮田と越智の眼が、不意に丘の上の二頭の犬をとらえた。二頭はタロとジロだった。二人は大声をあげて駆けだした。