「思ってるだけで何もしないんじゃな、愛してないのと同じなんだよ」
山田洋次の「ニュー・シネマ・パラダイス」(1988)
トトが満男で、エレナが泉、アルフレードが寅さん(笑)
主人公は妻と死別し、中学3年のひとり娘と暮らす小説家になった満男(吉岡秀隆)
出版社が企画したサイン会で初恋の人、泉(後藤久美子)と再会します
ふたりは神保町でスナックしているリリー(浅丘ルリ子)のところに行き
その夜、泉は「とらや」に泊まることにしました
彼らがいつでも、どこに行っても思い出すのは「寅さん」のことばかり
怒りっぽくって、惚れっぽくって、頭も悪いし、お金もない、そんなダメ男
だけど人生の節目には、別れ道には、いつも寅さんのアドバイスがある
寅さんがいてくれたから今の自分たちがいる
フランスを拠点に国連難民高等弁務官事務所で働いている泉が
絶縁状態の父親(橋爪功)が病気で倒れ、入居している介護施設を訪ねるため
日本に帰ってきたことを満男は「とらや」で知ります
そしてさくらの勧めもあり
翌日、満男は神奈川の介護施設まで車で送っていくことになりました
ここでも橋爪功の糞爺ぶりが最低で最高(笑)
走馬灯のように頭の中を駆け巡る、泉との辛くて甘い「あの頃」の出来事
そして別れの成田空港
別れのキスは、頬とか額のほうが良かったですね
(注:ここからベベちゃんの妄想)
ちょっと戸惑う満男に「これがヨーロッパ式挨拶、感謝の証なのよ」と
「本当は“あの時”みたいに唇を奪いたかったけど」と笑い
後ろ姿でバイバイしながら急ぎ足で飛行機に乗る泉
なぜなら満男の変わらないやさしさに、我慢しきれない涙が溢れて止まらなかったから
ラストは、歴代マドンナたちひとりひとりが「寅さん!」「寅ちゃん!」とだけ
シンプルに呼びかける
そして「よお!」「おう!」「来たのか~」という寅さんの笑顔(妄想終了)
それにしても、吉岡秀隆が役に入り込みたせいかどうかは知らんが
目つきがホラーすぎて、気持ち悪いと思ったのは私だけ?
でも、泣きそうになる(笑)
タイトルも「お帰り」より、「ありがとう 寅さん」が正解
ジェンダーも、年齢も、差別も関係ない
自分にとって大切なものを好きになる、信じる
人間の道理を、誰よりわかりやすい言葉で教えてくれた寅さん
「あぁ生まれてきて良かったな、って思うことが何べんかあるじゃない?
そのために人間生きてんじゃねえのか
そのうちお前にもそういう時が来るよ、な? まぁ、がんばれ」
ありがとう、寅さん
【解説】allcinema より
故・渥美清扮するフーテンの寅さんが毎回マドンナに恋しては、家族を巻き込み大騒動を繰り広げる巨匠・山田洋次監督による国民的人情喜劇「男はつらいよ」シリーズ。過去49作つくられた同シリーズが、第1作から50周年となる2019年、22年ぶりにスクリーンに復活して贈る記念すべきシリーズ第50作。小説家となった寅次郎の甥・満男と初恋の女性・イズミとの再会の物語を軸に、懐かしの面々が織りなす笑いと涙の人情模様が綴られる。寅さん自身も4Kデジタル修復された過去シリーズからの映像でふんだんに登場。キャストには倍賞千恵子、吉岡秀隆、前田吟、夏木マリ、美保純、佐藤蛾次郎、そして歴代最多マドンナの浅丘ルリ子らお馴染みの面々が再集結し、後藤久美子も本作で久々に女優復帰を果たした。
サラリーマンを辞めて念願の小説家になった満男。今は妻に先立たれ、中学3年生の娘ユリと2人暮らし。最新刊の評判は上々ながら、どうしても次回作への意欲が湧いてこない。そんな中、妻の七回忌の法要で久々に葛飾の実家を訪れた満男。両親や近所の人たちと昔話に花を咲かせるが、思い出の中心にはいつも騒々しい伯父・寅次郎がいた。ある日、書店でサイン会を行った満男は、初恋の人・イズミと思わぬ