原作はジュリアン・バーンズの同名小説
「THE SENSE OF AN ENDING」(終わりの感覚)
アプローチは「さざなみ」(2016)に似ていて
シャーロット・ランプリングがさすがの凄み
終盤はミステリー調の展開になっていきます
趣味のライカの中古専門店を営むトニーに
離婚した妻マーガレットから、娘の妊婦教室に付き添ってと頼まれます
娘のから「同性愛のカップルもいるから余計なことは言わないで」と
釘を刺されるトニー
そのひとことがトニーが傲慢な男だという伏線になっています
ある日弁護士事務所から、トニー宛にセーラという女性の遺品が残されている
しかしセーラの娘が引き渡しを拒否している知らせがきます
トニーは弁護士であるマーガレットに相談します
その遺品をどうしても手に入れたいらしい
セーラとは誰なのかマーガレットが訊ねると
なぜか大学時代に出会ったベロニカという女性の話をします
トニーがライカのコレクターになったのはベロニカの影響でした
次に、高校の時の転校生エイドリアンについて語ります
彼は文学や歴史を独自の哲学で解釈するタイプで
ふたりは親友になり、卒業後も連絡を取っていました
セーラ(エミリー・モーティマー)はベロニカのお母さんでした
詩人になりたいというトニーに詩を朗読したり
目玉焼きを作ろうとして失敗したり、ちっちゃいバイバイで見送る
トニーはセーラから目が離せません
ベロニカは感づき、トニーに別れを告げました
その後「ベロニカと付き合っている」とエイドリアンから知らせがきて
トニーは「自分のことは気にするな」と祝福の手紙を書きます
しかしエイドリアンは浴室で手首を切って自殺
トニーはかっての友人たちと連絡を取り
エイドリアンの話しをした時、友人たちは不思議な顔をしました
「エイドリアンにベロニカを紹介したのはお前じゃないか」
全く記憶にない
弁護士事務所を通じ、ベロニカと会うことに漕ぎつけたトニー
セーラが残した遺品はエイドリアンの日記でした
しかしベロニカは日記は燃やしたと告げ、一通の「手紙」を渡しました
それはトニーがエイドリアンに宛てた復讐の手紙でした
ベロニカはどんなみだらな女で、セーラに逢えと勧める
記憶にない、だけど間違いなく自分の筆跡
そこから先はベロニカ(シャーロット・ランプリング)にストーカー
記憶の美化といい、この男の習性ってなんなんでしょうね(笑)
彼女の住所を探り、毎日待ち伏せ
ある日ベロニカがエイドリアンそっくりの若い男といるのを見て
ベロニカとエイドリアンの子だと確信します
しかし付き添いの男性から聞いたのは「ベロニカはおねえさん」
ベロニカの心情は一切描かれません
トニーもエドリアンも母親に奪われ
母は妊娠、エイドリアンは自殺、生まれてきた弟は障碍者
セーラはなぜ、エイドリアンの日記をトニーに渡そうとしたのか
何が書かれてあったのか
わかったのはトニーがベロニカを紹介し、セーラと引き合わせ
そして手紙でエイドリアンを殺したということ
だけどこの男、反省はしていません
娘の出産に立ち会い、マーガレットに鈍感な夫だったことを詫び
過去は再び美化され、やりなおせるつもりでいる
まあ、いちばん悪いのはセーラだけどな(笑)
ベロニカにも女性としての幸せもあったのだろうか
言えるのは、女は男のように若い頃の思い出にしがみつかないもの
【解説】allcinemaより
ジュリアン・バーンズのブッカー賞受賞作『終わりの感覚』をジム・ブロードベントとシャーロット・ランプリングの共演で映画化したミステリー・ドラマ。穏やかな引退生活を送る主人公が、1冊の日記の存在をきっかけに、かつての親友と初恋の女性との苦い青春の記憶を呼び覚まし、その不確かさを思い知らされて過去の真実を突きつけられるさまを切なくも感動的に描き出す。監督は「めぐり逢わせのお弁当」のリテーシュ・バトラ。
ロンドンで中古カメラ店を営みながら平穏な年金生活を送っていたトニー。ある日、法律事務所から一通の手紙が届く。そこには、初恋の女性ベロニカの母親セーラが亡くなり、一冊の日記が彼に遺贈されたと記されていた。しかしその日記は、トニーの学生時代の親友エイドリアンのものだった。彼はトニーと別れたベロニカと交際し、やがて自ら命を絶ってしまった。そんなエイドリアンの日記をがなぜセーラが持っていたのか。しかも今はベロニカのもとにあり、トニーへの引き渡しを拒んでいるという。思いがけず過去の記憶と向き合い、日記を読まなければとの思いを募らせ、ベロニカとの再会を決意するトニーだったが…。