チャンス(1979)




好い映画でした。
レインマン」のような「フォレスト・ガンプ/一期一会 」のような。

ただ、いかにもハリウッド的な笑えるというよりは
冷ややかに感じるコメディではありますけれど。

人間として何かが足りない人には
そのぶん特別な才能を神様はちゃんと与えてくれる。
私はそんなふうに信じたいと思います。

庭師のチャンスはご主人様の死により屋敷を出ることになります。
でも庭師のわりには品のいい態度に服装
幼いころからメイドに面倒を見てもらってきました。

彼の一日はテレビを見ることと庭をいじること。
一度も家を出たことはないのです。
はじめての外の町、どうやって食事をしたらいいかもわからない。
でも幸か不幸か富豪のマダムの車に足を挟まれ怪我をしてしまい
彼女の屋敷で面倒を見てもらえることになります。

彼は見た目は普通と変わらない
だけれど発達障害なのでしょう。
テレビと、あとは庭のことしか、植物のことにしか興味がありません。
でもチャンスのその四季を通じての植物の成長の話が
財界の大物の、大統領の心まで動かしてしまうのです。

チャンスは何もしていない
だけど、みんなを前向きにしてハッピーにしてくれる
そんな人。

ラストの水面を歩いていくシーンの解釈は難しいですね。
もしかしてチャンスは天使だったのでしょうか。

人が無欲であることは難しい。
でも無欲な人に出逢ったとき
人は幸せを感じるかも知れないですね。

そう、幼子を見る時のように。



【解説】allcinemaより
 「さらば冬のかもめ」のハル・アシュビーが、政治やマスコミなどに対する諷刺を暗に散りばめ、ふとしたことから大統領にまで祭り上げられる男の姿をコミカルに描いた作品。数十年屋敷から出たことのない庭師チャンスは、主人の死をきっかけに解雇、突然世間に放り込まれる。見るもの全てが珍しい彼は、そこで余命いくばくも無い財界大物を夫に持つ美しい貴婦人が乗る高級車に轢かれ、屋敷に招かれることに……。主演を演じるのは“ピンク・パンサー”のP・セラーズ。