ハロルドとモード 少年は虹を渡る(1971)

「何をやっても構わない でも死んじゃだめだ 生きなさい」

原題は「Harold and Maude

モラルのかけらもない

全くもって軌道の外れたトンデモ映画

総合失調症患者の妄想か?思ったのですが

見終えたあとには、心に残るものがありました

今、生きづらいと思っている人に見てほしい

ベトナム戦争反戦というテーマを背景に

なんの説明も、余計なカットもない

ハル・アシュビーのセンスが光

異色のアメリカン・ニューシネマ

狂言自殺を繰り返す19歳のハロルド

困った母親は彼を心療内科に通わせたり

軍隊に入れようとしたり

結婚させようとお見合いで女性を紹介しても上手くいきません

自殺以外のハロルドの趣味は見ず知らずの人の葬儀に出ること

そこで自由奔放なトンデモおばあちゃん、モードと知り合います

79歳にしてヌードモデル(笑)

他人の車を勝手に乗り回し暴走

果ては取り締まりの白バイまで盗んで逃走

排気ガスで死に掛けている街路樹を森まで運んで植える

ハロルドがモードに「好きだ」と告白すると「私も好きよ」

「愛している」と言えば「私も愛している」

年だから、おばあちゃんだから

もっと若い女性を探しなさいなんて決して言わない

ハロルドの全てを受け入れてくれるのです

ハロルドがモードの手を握ると腕には番号

彼女がナチス強制収容所の生き残りだったことがわかります

さらにハロルドがなぜ死マネをするのか

学生時代に実験を誤り教室を爆破してしまい、家に逃げ帰ったところ

警官がやってきてハロルドが死んだと母親に伝えます

その時母親が倒れ込む姿を見て

自分が大切に思われていた事初めて知ったから

母親の愛を確認したかっただけ

でも母親はそれ以来ハロルドのことを嘘つきと

信じられなくなっていました

モードの80歳の誕生日にプロポーズするつもりのハロルド

しかしその日モードは死ぬ決意をしていました

自分の死をってハロルドに生きる尊さを伝えるために

「こんなに素晴らしい人生の終わりはいわ」

ジャガーを改造した霊柩車を走らせ崖から落ちるハロルド

やっぱり死んではいませんでした

でも今度は母親の愛を得るためじゃない

命を無駄にしてはいけないことを教えられたから

モードから贈られたバンジョーを弾きながら去っていくハロルド

たくさんの金言が散りばめられていてそして笑え

こういう破天荒な映画が、今はすっかりなくなってしまいましたね(笑)

お気に入りにさせていただきます

 

 

【解説】映画.COMより

さらば冬のかもめ」「シャンプー」「帰郷」といった名作で知られるハル・アシュビーの監督第2作。広大な邸宅に住み、ほしいものは何でも手に入る立場にありながら、死に取りつかれた自殺マニアの少年ハロルドは、ある時、80歳の老女モードと出会う。生きる喜びに満ちていたモードとハロルドはやがて互いに愛し合うようになるが……。ふたりの交流を通じて、愛すること、生きることの素晴らしさを描いた青春映画。日本でも上演された大ヒット舞台劇の映画化作品。1972年日本初公開。2010年「ZIGGY FILMS '70S '70年代アメリカ映画伝説」でリバイバル上映。

1971年製作/91分/アメリ
原題:Harold And Maude
配給:日本スカイウェイ、アダンソニア