ラグタイム(1981)



アカデミー賞8部門もノミネートされながら

1つも受賞できなかった映画ということですが


汚れた顔の天使」など8本の映画で共演しているコンビ

ジェームズ・キャグニーとパット・オブライエン

(共に81歳)の最後の出演作

ツウの方にとっては感慨深いものがあるのではないでしょうか



1910
年代のニューヨーク

いろいろな事件が次第に結びついていきます


マジンン・スクェアの裸像を下ろせとパーティに怒鳴り込んで来た男ハリー

この裸像は彼の妻イヴリン(エリザベス・マクガヴァン)がモデルであり

この像を設計したホワイト(ノーマン・メイラー)は

イヴリンのかっての愛人でした

それを拒否したホワイトはハリーに撃たれてしまいます


弁護士はイヴリンに嘘の証言させ

金と引き換えにハリーとの離婚を承知させます

イブリンの裁判は注目され、時の人となり女優に転身



そして幼い娘を連れ切り絵をする男、ターテと知合います

ターテは金がなく、妻に浮気されていました

しかし彼の描いたパラパラ絵本が雑貨屋に気に入られ

成功のチャンスを掴むのです


イヴリンに一目惚れしてストーカー化した男(ブラッド・ドッリフ)

彼はイベント会社を経営する一家の夫人の弟でした

ある日の食事中、その家の庭で黒人の赤ん坊が発見され

赤ん坊の母親セーラも警察に捕まりました

夫人(メアリー・スティーンバージェン)は

セーラと赤ん坊を引き取ることにします




そこに突然やってきた、赤ん坊の父親だと名乗る男

ジャズピアニストのコールハウス(ハワード・E・ロリンズ)

コールハウスはセーラに結婚を申し込み

すべて順調にいくように思われました


ここまでがだいぶ長いのですが(笑)

ここからやっと話がエキサイトしていきます


その帰り道、消防団員たちに嫌がらせをされ

新車のシートには馬糞をつけられたコールハウス

やがて新車はボロボロに

そのうえ副大統領に陳情に行ったセーラが

警備員になぐられて死んでしまうのです




コールハウスは弟が作った爆弾で消防隊長コンクリンの家を爆破

モーガン図書館を占拠し車を元通りにすることを要求します


ウォルド警視総監(ジェームズ・キャグニー)にも

黒人指導者ワシントンの説得にも応じないコールハウス

ついに警察はコールハウスに新車を与える決意をします

コールハウスも仲間を逃がすなら降伏するいいます

なのに射殺されてしまうのです




悪徳消防隊長コンクリンにはなんのお咎めもなく

(せめてコイツが殺されたら気分がいいものを)

爆弾を作った弟は逃げ切り

ハリーは無実で、精神病院からも退院

いい人だと思っていた夫人は、しれっとターテと駆け落ちします


もともとは非暴力で愛情の深い人間が

テロでしか自分の要求を伝えることができなくなってしまう状況

世の中、理不尽なことだらけ


それが今では黒人だけではなくイスラム教徒や共産主義者LGBTなど

差別も複雑で多岐にわたっているのでしょう




助演男優賞にノミネートされたハワード・E・ロリンズがいい

悪性リンパ腫で若くして亡くなられたそうで、主演作は少ないそうですが

生きていたらデンゼル・ワシントン並の大物になっていたのではと思います


ちなみに仲間役でチョコっと出ているのがサミュエル・L・ジャクソン

今とは違い微妙に演技が下手なのが微笑ましくて笑えます



今世紀初頭。第一次大戦を前にしたアメリカを舞台に、混乱の時代に生きる様々な人間のドラマを、「カッコーの巣の上で」「アマデウス」の巨匠ミロス・フォアマンが描いた群像ドラマ。妻をモデルにしたマジソン・スクエアの銅像を巡って繰り広げられる夫の青年による建設者の射殺事件。その一方で展開する、赤ん坊と恋人を捨てた黒人ピアニストの話など、様々な人間たちが織り成す人間ドラマによって混沌とした時代を表現していく。